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就労アセスメントとニーズアセスメント

最近、アセスメントを話題にすることが多いので、考えながら書いてみようと思います。

就労支援の現場でよく言われるのは「就労アセスメント」や「職業アセスメント」など。就労アセスメントは、就労継続支援B型に行く前の支給決定プロセスで活用され、いわゆる「就労移行支援の利用が相応しいかどうか」をアセスメントするためのものです。また、職業アセスメントのひとつとして存在するのが「職業評価」。これは障害者職業センターで実施されるもので、ジョブコーチ支援の必要性を評価したり、現在の職業準備性を標準的な項目でアセスメントするものとして使われています。

職業リハビリテーションでは、「ハードスキル」「ソフトスキル」という言葉があり、ハードスキルは「業務スキルそのもの」を表現し、ソフトスキルはコミュニケーションや振る舞いなど「業務に付随するスキル」を言います。先ほどの「就労アセスメント」や「職業アセスメント」では、「ハードスキル」と「ソフトスキル」を総合的にアセスメント(評価)されているようですが、ハードとソフトしか見ていないようにも感じ、現場感覚としては疑問を持つこともあります。

さて、タイトルにある「ニーズアセスメント」。ハードとソフトで分けるなら、ソフトに入るものでしょうか?個人的には、どちらの項目にも加えられていないように思い、「ハード」「ソフト」「ニーズ」の3つにアセスメントを分類するほうがなんだかしっくりきます。

ハードスキルやソフトスキルは、職場を想定して「ある程度求められること(要求水準)」に対して、基準値と比べて評価されています。スピードや手先の器用さ、挨拶や言葉遣い、集中力や注意力、臨機応変さなど、基準値との比較で良し悪しが決まってきます。

もちろん、職場の中である程度はちゃんと業務ができないと仕事にならないってことはあるでしょうから、基準値との比較でスピードが速いだの、手先が器用だのってことを評価することは大事なことです。ただ、アセスメントをした上で、例えばハードスキルがとても低かった場合、それだけで良し悪しをつけてしまっていいのでしょうか…。今回のブログの問いは、ここにあります。

ご本人との面談などでニーズアセスメントをした時、「パソコンできないけどこれから特訓したい」「頑張りたいので教えてほしい」と強く願うご本人のニーズがアセスメントされた時、これはハードスキルのアセスメント(もっと言うなら評価の良し悪し)にどのように反映されているのでしょうか?アセスメントをする際に、ご本人の希望は聞き取っているはずですが、アセスメント結果への反映の仕方が気になるところです。

前のブログでも書いたんですが、障害は「社会モデル」で考えるものと思います。今現在の就労準備性がアセスメントされる際、今もしくは今までの環境要因による影響も考慮した方がいいように思い、周囲環境(合理的配慮の有無や分かりやすく教えてくれる人の存在など…)による影響でスキルが未習得であることもきちんとアセスメントしたほうがいいように思っています。

ちなみに、僕らの現場では米国ノースカロライナのTEACCHで取り組まれているTTAPという就労アセスメントキットを活用しています(TTAPは、ティータップって読みます。)。TTAPは、就労支援を行うための個別支援計画作成のためのキットとして活用されることが多く、Transition(移行)のTが入っているように、学校→福祉、福祉→雇用などの移行期での活用を想定して作られたものです。TTAPでは、「芽生え」に着目してアセスメントします。芽生えですから、「成長の伸び代」とか「可能性」などと捉えることができます。現在の強みよりも「これから強みになりそうなこと」を芽生えとして着目し、芽生えを重点的に職業訓練することでその後の支援が上手くいくことを示唆するものとしてTTAPが活用されています。

話が少し逸れてしまいましたので、ニーズアセスメントの話に戻しますね。

「アセスメント」は、どうしても「医学モデル」になりがちです。今のスキルを断片的に評価していることも多く、環境との相互作用を評価するのもではあまりないのかもしれません。個人的に思うのは、アセスメントをする際に「ご本人なりの素直な気持ちや願い」についてもきちんとアセスメントに反映させたいってこと。例え、ご本人のニーズが理想と現実にギャップがあったとしても、ポジティブな可能性を信じてアセスメントに反映させたいなぁと、一支援員としてはそう思います。

最近、色んなところでアセスメントを話題にする話が多く、自分なりに考えてたくて書いてみました。まとまりなく、抽象的な書き方になってしまったので、もう少し具体的に書けるようこれからも考え続けたいと思います。


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