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はじめに(note書籍)

障害福祉の仕事でご飯を食べさせてもらうようになり、もうすぐ丸19年。前はそんなことを思ってもなかったんですが、こうやってnoteで書くことが増え、少しずつですが書くことを楽しめるようになってきました。読みやすい文章になれば仕事がうまくいくと思うことも増え、最近は自分でもびっくりですが「本を書いてみたい」と思っています。

私事ですが、今年は厄年にあたります。厄と書くとあまりよい気持ちにはならないので、「役年」と表現していて、「役割の年」と考えるようにしています。

役割ってなんだろうって考えると、今の自分に置かれている立場がそうであるような気がします。支援現場での仕事が少なくなり、管理職として働くことが増え、外部団体での役員や役割も少しずつ増えてきて、それはそれで誰かに必要とされていることでもあってとてもありがたいことです。

個人的には、役年とは関係なく、今も、これからも、書くことを楽しみたいし、書き続けることで読んでくれる人にも楽しんでもらいたいです。それに、書くことは自分の思考を整理でき、相手に伝えるチカラも鍛えられると感じていて、書くことで得られるチカラは、支援者として働き続けるために必要なことでもあります。

そんな人生の節目を迎えて、今年もなにかにチャレンジしたいと思うようになり、日々のnoteでの発信は続けながらも、何かひとつのテーマ(本のタイトルのようなもの)で連載することを今年はチャレンジしてみたく、それが結果的に書籍みたいな形になったら最高だなぁと思って、勝手ながらnote書籍をやることにしました。出版される書籍の文字数は、一般的に8〜12万字みたいなので、文字数が全てではないですが、まずは12万字を目標に書き進めていきたいと思います。でも、note書籍といっても、12万字を一気に公開するのはハードルが高すぎるので、連載ものとして3,000文字を40ぐらいに分けて公開していきます。

タイトルへの思い

今回、note書籍のタイトルは、「自閉症の就労支援をはじめる人へ」としました。副題は「〜人権とQOLを大切に支援する〜」です。自閉症や発達障害にスポットを当て、権利擁護の視点も交えた「人権」と「QOL(生活の質)」を改めて考えながら、就労支援の具体的な進め方を自分なりにまとめてみたいと思っています。

タイトルにある「人権」。どうしても書籍のテーマに入れたくて、そんな思いも少し書いておきます。

2022年8月、分担執筆させてもらった「ゼロから始める就労支援ガイドブック」が刊行されました。僕は「就労支援の心構え」を執筆させてもらい、心構えとはなにか?について、改めて考えた時間でもありました。分担執筆は、自分なりの想いや考え方を見直す良い機会となり、参考書籍を色々と読み漁り、自分なりに大事にしていることを言語化できたのはとてもありがたかったです。

執筆の時、改めて思ったのは、前の法人(社会福祉法人森と木)が大切にしていた権利擁護や虐待防止などのいわゆる「人権感覚」のこと。障害のある人の人権をどう考えるかは、9年間勤務する中で上司からたくさんのことを教えてもらいました。法人を利用する障害のある人をどのように大切にし、人権に重きを置いた支援をどのように進めるのがよいかをたくさん学ばせてもらいました。それは、今の自分の土台となっていることは間違いなくって、岸田さんが執筆された2冊からも引用させてもらっています。

それに、今の法人(社会福祉法人北摂杉の子会)では、2ヶ月に1回のペースで開催される権利擁護虐待防止委員会が10年近く継続開催されていて、権利擁護に関するクレドを作成するなど、人権意識を高く持つスタッフが多い法人でもあり、そこでの刺激もたくさんもらっています。また、法人は、理念、ミッション、ビジョン、コアバリューと法人独自の価値観をきちんと言語化して現場への浸透を図っていて、分かりやすい言葉で人権意識を高める仕組み作りは今もたくさんの学びがあり、自分にとって「人権」は今もこれからも大切にしたいキーワードです。

人権と就労支援

就労支援は「働くを支援すること」ですが、「誰と働くか」「どこで働くか」「どんな仕事をしたいか」は人それぞれ。就労支援は支援者が自分の価値観を押し付けることなく進めることが重要で、そこには「人権を大切にする価値観」が支援者には必須であるように思っています。

note書籍は、普段の仕事である就労支援の進め方を分かりやすく伝えるとともに、「人権」の視点も交えて考えていきたいと思っています。ニーズベースの支援、自己選択と自己決定の支援、ご本人中心の意思決定支援など、就労支援を利用する人の気持ちや考え方を大切にした支援のあり方について一緒に考える機会になればと思っています。

また、後半は、「人権」に加えて「多様性」「ビジネス」なども交えて、これからの就労支援を考えていきます。日本は、障害者雇用促進法による法廷雇用率の影響で障害者雇用は増加傾向にありますが、障害者雇用代行ビジネスなどのポジティブではない雇用も生まれているので、法律や雇用率制度だけに囚われない新たな就労支援のあり方も考えていきたいと思っています。

とは言っても、あまり難しい内容を書くこともできないですし、支援現場での経験をまとめるぐらいしかできない気がします。タイトルを「自閉症の就労支援をはじめる人へ」としているので、どちらかというと、初任者の人や障害福祉、就労支援をあまり知らない人が読みやすく、楽しめる内容になることを目指して書き進めてたいと思います。

自閉症にもスポット当てて

障害福祉の仕事は、僕にとってはとても楽しい仕事です。自閉症や知的障害、発達障害のある人との関わりは毎日色んな発見や気づきがあって、奥の深さに魅力を感じます。特に、就労支援の仕事は、「働くことが好き」な自分にとっては障害福祉の中でも一番好きな分野で、もっと勉強して、もっと就労支援がうまくなって、目の前の利用者の方の役に立てることを増やしていきたいと思っています。

それに、今の法人では、自閉症のある人との関わりが多くなりました。律儀で、素直で、裏表のないところに良さを感じますし、強みになると思うことはたくさんあります。企業の人からも、一緒に働く中で強みと評価する話をたくさん聞かせてもらい、職場で必要とされ、戦力として活躍する姿から、自閉症の人たちに多くの可能性を感じます。

自閉症の人が持つ特有の世界観や文化はとても魅力です。でも、見えない障害でもあるため、周囲環境との相性がよくないと強みは一気に弱みへと変化し、不適応へ進んでしまうこともあります。そのため、自閉症の支援を進める上で、周囲の理解は必要不可欠です。言い方を変えれば、理解さえあればその人らしく働くことは可能で、個人の強みと職場環境がうまくマッチングすれば活躍の可能性は広がり、そんな就労支援をしたくてこれまで取り組んできました。

本書は、こうすればうまくいく、といったハウツーではないですが、自閉症の特性を理解しながら働くを支援するためにはどうすればいいかについて、今、僕が所属する「ジョブジョイントおおさか」の就労支援の取り組みを中心にまとめていきます。2011年から取り組む自閉症や発達障害のある人の就労支援について、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思っています。

このnote書籍が誰かの役に立つことを願って、今年中の完成を目指していきます。随時、公開していきますので、楽しみながら読んでもらえたらうれしいです。

2023年1月30日

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