見出し画像

発達障害学生のニーズを考えてみる

大学生の就活支援を始めて約10年。「就活のススメ」「就活のハジメ」には、毎年多くの学生さんが参加してくれています。先日も、「先輩の話」と題したプログラムを提供し、会場は良い感じに盛り上がり、先輩のご協力あって毎年盛会に開催できていて、嬉しい限りです。



さて、今日は、学生ニーズを考えてみたいと思います。

発達障害学生の全体像

まずは、発達障害学生の全体像を見るために、日本学生支援機構の調査(2020年)から。ここでは、高等教育機関における発達障害のある学生が7,654人いるとのことで、全学生に占める在籍率は約0.2%。1,000人に2人ぐらいの数となります。ただ、学校関係者の方に話を聞く限りでは、現場感覚として100人に1〜2人はいる(もっと多い大学もある)感じで、調査結果が示す0.2%の10倍はいそうな気がします。

上記の調査結果には、発達障害学生への支援内容も記載されていて、
▼授業支援
 ・配慮依頼文書の配布
 ・講義に対する配慮
 ・出席に関する配慮
 ・授業内容の代替、提出期限延長等
▼授業以外の支援
 ・専門家によるカウンセリング
 ・自己管理指導
 ・対人関係配慮
 ・就職支援情報の提供、支援機関の紹介
などが、調査結果の上位を占めるようです。

上記内容は、大学生の就活支援や学内での面談・講座実施など、僕らの現場感覚としても納得できる点は多く、この辺りに学生さんのニーズは見え隠れしてる感じがします。

学生さんをタイプ別で見てみると

それでは、調査結果を元に、もう少し深掘りして考えみたいと思います。今度は、学生さんをタイプ別で見てみます。
障害は、有る無しだけではなく、ご本人の状態像にも着目する必要があります。障害の程度(重い軽い)ではなく、ご本人の自立度、困り感、自己理解、障害受容、周囲環境や家族の理解などが深掘りするポイントでしょうか。

上からシンプルな要因、下にいくほど複雑な要因で考えてみると、以下のような感じでまとめてみました。

▼学生のタイプ(下に進むほど支援が必要)
・ある程度の事を自分なりに進めることができる
・困ってることを理解し、状況によって他者に相談できる
・困ってることは理解してるが、他者にその都度相談するのは苦手
・学生相談やキャリアセンターなどで定期面談があると相談することができる
・先生や職員と話すことで自己理解することができる
・本人の中で理想と現実のギャップがあり、自分のことを客観視できていない
・メンタル的なしんどさ多く、不安や緊張が高い
・不登校気味で、学校からの支援が本人に届かない
・家族は高望み、もしくは理解が少なく、本人ニーズと家族の思いにギャップがある
(*上記は、発達障害のある学生のみで考えています。)

こうやってみると、「学生ニーズ」はかなり多様化しています。家族など周囲環境も影響して、障害受容や自己理解の状況は個々それぞれですし、発達障害のある人が客観視を苦手とする分、就職先の希望や条件が高すぎるなどの理想と現実にギャップがある人も少なくないように思います。

学外連携から学生ニーズを考える

最後に、学外連携から学生ニーズを考えてみたいと思います。

上記の「学生のタイプ」で見てみると、上より下の方の学生さんに対して、学外との連携は生まれやすそうです。自立度というか、学生さんなりに学業や就活を一人で進めることが難しい人は、学生相談やキャリアセンターの学内サポートをまずは受けていくでしょうし、それでもうまくいかないなら、学外でのサポートでより専門的な支援を受けて学校生活とその後のことを学外連携も活用しながら進めていくことになります。

僕らの「就活のススメ」「就活のハジメ」も学外連携の一つとして、大学から問い合わせもらったり、学内の相談会や就活プログラムを担当させてもらったりしています。

学生ニーズから必要な支援を考えるなら、「要支援」となる学生さんの声に支援内容のヒントが隠れていて、「一緒に考えてくれる人」「専門的な見解を示してくれる人」「寄り添ってくれる人」を学生さんは期待しているような気もしてます。


僕らの大学生支援は、元々は法人内の相談支援現場での気づきから生まれ、大学に行った途端に生きづらさが表面化する学生さんが多く、大学に行ってから診断を受ける学生さんに何か役に立てることがあればと思ってスタートしました。教科書的に言うのなら、早期支援でしょうか。

発達障害特化型の就労支援で培った支援アイデアやノウハウを少しでも学生さんに還元し、結果的に早期支援になるのなら嬉しいですし、僕らとの出会いの中で学生さんや大学関係者の方々が何かの気づきやきっかけを得てもらえることができるなら、お金以上の価値があるように思います。


学生さんのニーズは多様化していて、複雑な事情の中で学生ニーズが生まれているように思いますが、少しでも学生さんのために役立つ大学生支援でありたいなぁと思っています。

学生ニーズを知り、考え続けることの大切さを感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?