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だらだら綴る『Inscryption』感想:やりこみ編


 この記事は『Inscryption』の本編と追加コンテンツの感想を記した記事です。ゲームのネタバレが多く含まれますので未プレイの方はご注意ください。


★前回のあらすじ
 親友にオススメされたゲーム『Inscryption』をプレイしてみたところ、演出とゲームシステムの両方が素晴らしくとても楽しめた。特にACT1の出来がかなり良かったな、と振り返っていると追加コンテンツの存在に気づき…


「Kaycee's Mod」現る

 「Kaycee's Mod」は2021年12月15日にベータ版が配信され、2022年3月18日に正式リリースされた『Inscryption』の拡張コンテンツです。私はゲームをクリアするまで全く存在を知りませんでした。

 内容は「ACT1に追加要素を加えたエンドレスモード」で、チャレンジと称された縛りルールを追加しながらクリアを目指します。まさしく私が求めていたものでは?

 ただ、性格上「高難易度コンテンツ」というのがあまり得意ではなく、あくまで自分で決めた目標までを達成するのが私のプレイスタイルなので、そこまでやりこむつもりはありませんでした。少なくとも、この時点では。

おや、設定が面白いぞ

 ちょっと触ってまず思ったのがコレ。追加コンテンツですが、作中的に時系列では本編前の話を描いています。本編時点で亡くなっているキャラクターのケイシーさんが「作ってたゲームが急に3Dになって驚いたりしたけどMod作った」というだいぶ強引なストーリーが好きです。

 Modということで本編にはないカードやアイテムが多数存在しており、新たな戦略を模索することができるのですが、ちゃんとレシーがそれぞれに対応した台詞を言ってくれるのがまた嬉しい。やっぱり彼との対話あってこそのACT1ですもん。

オタマジャクシに親でも殺された?
ってぐらいのボロクソ解説すき

 また、縛り要素のチャレンジによって発生する「本来のゲーム上であり得ない挙動」を見た時の反応もいいんですよ。個人的に好きな台詞はボス用トーテム設定時の「トーテム?ボス戦向けに?」と驚いた後の「そうか。これは気に入った。」とご満悦になるやつ。

 そして、縛りを背負いながらクリアした後に公開される「開発ログ」ではOLD_DATAについての謎を含めた裏話的な話を見ることができます。ですが、どちらかというと少しずつレシーに感情移入するケイシーの描写が同じプレイヤーとして共感出来ていい…

オコジョが助けを求めてきてるのに爆笑するケイシー

 こんな感じで「思ったより難易度以外の面での魅力がある」と分かったため、いつもなら適当に遊んで済ます私がちょっと本気になってしまったのです。

チャレンジの洗礼

 序盤はそもそも重い縛りが存在せず、ただただ新カードや新マスにワクワクしながら遊べて楽しいんです。しかし、周回を重ねてチャレンジが増えるにつれて余裕がなくなっていくのが「縛りプレイ」というもの。

 まず辛かったのが、すべての戦いで-1点スタートする「傾いた天秤」で、ワンターンキルなどが狙いづらくなることから長期戦化しやすく、デッキの質が試されがちです。

 また、通常戦闘全部にトーテムを配る「全トーテムバトル」は本当に厄介で、トーテムマス自体が難易度が運に左右されやすいのに、その試行回数が増えてしまう=やばい印のマスを引く可能性が高くなるのが非常に危険。

 そして、極めつけが「ロウソク1本」。道中一度だけ負けてもいい、というルールがなくなるだけならいいんですが、ボス戦にスモークのカードが貰えないというのがかなり厳しいです。

 こういった難易度の高いチャレンジは積み込みすぎるとクリアが遠のくので、できるだけ簡単な縛りを入れてチャレンンジポイントを調整したいところです。そのため後半は「フックなし・クローバーなし・小さなカバン・皮の価値高騰」の4点セットをほぼ必ずOnにしていた記憶があります。

「ボス戦後のレアなし」も入れっぱなしだったなぁ
そのせいで新しいレアカードがアンロックされても
なかなかお目にかかれなかった…

対策必須の「グリズリーボス」

 そして、難関の「リス魚」突破後にとうとう現れるチャレンジが「グリズリーボス」。本編のチュートリアル場面でサクサク勝ち過ぎるとマイティ・リープ持ちのグリズリーが8枚出てくるあのイベントが、3度のボス戦すべてにおいて強制的に発生するという地獄の縛りです。

 基本的にはカードのスペックだけでこれに勝つのは難しいので、アイテムを切らざるを得ないのですが、有効打となりえるものは限られます。一応、フック+ペンチを使えばデッキ内容を問わず1面はクリア突破できるようになっているので、2面以降を見据えてデッキとアイテムの調整をする必要があります。それが難しい。

 「グリズリーボス」の個人的な対処法は1ターンで決めることだと思っています。そのために最低でも1枚は盤面のグリズリーを戦線から外す必要があるので、「ハサミ」・商人から買える「皮はぎ用ナイフ」・絵画パズルの報酬で解禁される「時計」は確保必須。後は空いた1枚分のマスに攻撃して5点入れば無事突破です。

 5点を入れる方法として、ダイアウルフの2回攻撃印を利用するとか、二又攻撃などで横から援護を入れるとかがありますね。それらのカードがまだ手札に来ていないなら、ボスの第一段階を突破しないように盤面を調整してドローを稼ぐプレイングも必要になってきます。考えることが多い。

話それるけど、時計の説明台詞すき

思いもよらぬ相手との対戦

 「グリズリーボス」を突破した後にアンロックされる最後のチャレンジが「最後の相手」。最終ステージのボスが変わるといっても、わざわざ最後に持ってくるほどの相手って誰なんだ?と思い続けていました。

 いざ最終戦が始まると何やら海賊帽をかぶった髑髏が卓上に現れ、レシーも「存在を許すとしよう」と言って権限を彼にゆだねます。そして、謎の海賊との戦闘が始まるのです!

イベントの勢いに理解が追いつかなかった

 どこかでこの演出を見た記憶があるな、と思ったらコレ、ACT4でグリモラさんがやろうとしていたボス戦の骸骨なんですよね。あの時は削除が進んでしまったため戦えませんでしたが、こういった形で対戦の機会が訪れるとは思いもよりませんでした。

つまるところ海賊はグリモラの手下ってことなのに
最終戦のプレイ権利を譲ってあげるレシー優しいね
ちなみにACT2でわかる海賊の名前は「ロイヤル・ドミンゲス」

 実際に戦ってみると初期配置のモール・シーマンの防御性能が死のデッキ特有の「使い切り高火力」なカードと噛み合っており、全く油断できない相手です。互いの場の指定箇所にあるカード1枚ずつを破壊する「大砲」のギミックを活用するなどして、盾役をすぐに倒しておきたいところ。

 第一段階を突破すると船の害獣と呼ばれたいくつものカードをもらえるので、勢いそのままに第二段階も終わらせることができます。あれ、思ったより簡単だなぁ。

ここでドーン!

 少し油断させてからの第三段階でラスボス「リモンチェッロ号」が攻めかかってきます。月から攻撃力も体力も2倍にした凶悪なステータスをしています。ここで試されるのは持久力で、体力を削る途中でこちらのカードが切れてしまわないような構成になっていないと危ないです。

 …なんて真面目に考えていると、急にあちらの船員が裏切り始めます。しかもターンを経るごとに裏切りものは増えていく仕様。「裏切ることもない勇敢な骨どもだ!」って最初の台詞はどこに行ったんだ。あと船員の名前を逐一言ってるのも面白く、私が聞けた名前だけでも以下の通り。

・塩辛のダリル!どういうつもりだ!
・茶歯のバリー!アンタもか!
・ボニー・スプリンター…まさかアンタも…
・略奪のベゼルか?もっとマシな奴だと思ってたがな。
・イカレ野郎のオークス・ヘイワード、オレを裏切るのか!
・アシュトン・スワビー!この臆病者!

 この裏切りギミックも相まって総合的な難易度はレシーより低いように感じました。ただ、このわちゃわちゃした戦闘に船員の掛け声が響き続けるBGMがめちゃくちゃ合っていてとにかく楽しい。

初挑戦時はついでにヒドラ孵化に成功したのもいい思い出

 で、これを倒すと特殊エンディングに移行。そして公開される開発ログ「エントリー#11」ではケイシーの『Inscryption』に対する思い、という形で製作スタッフの気持ちが綴られています。1人のプレイヤーとしてこの文章はとても心に響きましたね。

 ありがとう『Inscryption』…

最終関門の突破作戦

 なんか終わりみたいな雰囲気がありましたが、まだやり残しがあります。それが全チャレンジをOnにした状態でのクリア実績「ドクロの嵐」の取得です。正直ここまでやる予定はなかったですが、もう勢いでクリアを目指します。

 挑戦前の初期デッキの選定ですが、私は「血」のデッキ(黒ヤギ、ムース、モグラ)を選びました。理由としては道中の「グリズリーボス」を突破するうえでダイアウルフなどの高火力アタッカーを出したいのでそのサポートに向いているからです。

 それに加えてこのゲームの仕様を利用します。実は各戦闘の初期手札4枚には必ず「0または1コストのカード」が加わるようになっています。そのため、黒ヤギ以外の0・1コストのカードがデッキになければ確定で初手に黒ヤギを持ってこれるわけです。

仕様は適当にネットで調べたものなので
詳しいところはわかんないや

 血デッキでこの仕様を利用するには序盤に1コストのモグラを「印の移植」や「焚火の失敗」などで早々に削除する必要があります。そして以降のマスで0・1コスト以外のカードを取り続けるように意識して行動すれば、黒ヤギの初手固定は崩れません。不可抗力でカードが加わるイベントを踏んだら速攻で消しに行きましょう。

 初手に固定する黒ヤギには堅実な印を付けたいところです。筆頭候補がカササギの「カササギの目」で、引き込みたい高火力カードを即座に持ってこれるのが強力。次点に挙がるのはゴキブリの「不死」で、黒ヤギを出すためのウサギを毎度要求してしまいますが何度でも高コストを出せるために戦線維持力が高いです。

 以上のややめんどくさいプレイングも加味しつつ、「グリズリーボス」の単独攻略時と同様にアイテム探しをしなくてはいけないので、クリアには大きく運が絡みます。でも勝ち筋は見えてきたのであとは挑戦あるのみ!

「ドクロの嵐」を攻略せよ

 まぁ作戦を立てたところで難易度高すぎて何度もゲームオーバーになる日々でした。こういうときは「1日2回」とか挑戦回数を決めることで根を詰めすぎないようにするのが心身のためになります。

 そんなある日の挑戦中、1面の途中で「グリズリーボス」用のアイテム収集が完了済みなのにアイテムマスを踏んでしまい、運搬ネズミがデッキにInしてしまいました。でもランダムとはいえ戦闘中のアイテム補充は強いんで後で印でも貰うかと考えて進行。

 するとその先で2回もゴキブリをもらうラッキーが発生。1つは黒ヤギに付けたのですが、もう1つの処遇を考えていた時にあることに気づきました。「この不死を運搬ネズミに付けたら無限にアイテム貰えるのでは?」と。

つまり作戦はこうだ!

 で、実際にこのコンボを成功するとすごい快適に進むんですね。「グリズリーボス」程度、相手のグリズリーをハサミで切ったり時計で貰ったりできるのでどうとでもなりますし。これは攻略行けるのでは!?と思いました。

 ただし、仕様で初手に黒ヤギは持ってこれてもネズミが引けるかは運次第なのが大きな弱点。しかも、後半になるにつれデッキがかさんで成功率が低下していきます。特に3面の道中で当たった「飛行虫軍団に二又攻撃トーテム」の通常戦闘ではコンボが揃うまでがギリギリで本当に危なかったです。

 対策としてデッキ圧縮はもちろん、絵筆マスでスライムくんにネズミを複製してもらったり、道中でカササギを拾ってサーチルートを確保したりと色々あがきます。そうして何とか最終戦にたどり着くことができました。

最終戦時のデッキ
基本的に5打点のグリズリーがエースカード
骨コストのカードがだいぶ事故要員だけどやるしかない!

 さぁ、海賊との決戦!まず1ターン目は蓄えていたハサミ2個でモール・シーマンを処理してグリズリーで攻撃。よし、順調な出だし。

 とか緊張感のあるのも最初だけ。2ターン目には運搬ネズミを引き当ててコンボが完成してしまいました。あとはもう好きなだけ蹂躙の限りを尽くして第一・第二段階は突破できました。

船からも追加のネズミ貰えたの笑っちゃった

 そして最後はリモンチェッロ号を倒すのみでしたが、もう「ハーピーの脚の扇」を持っていたので、グリズリーを浮かせたあと「魔法の漂白剤」で印を消せばゲームセットです。

 が、ここでネズミさんがアイテム枠をボスに無効な「時計」と「ハサミ」で埋めてしまい、漂白剤の取得が不可能になってしまいました。でも、ここまで来たらどんな手段でも「圧勝」してやりたい!

 そこで「雄アカシカ」のカードの「このターン捧げられた生贄の数と同攻撃力になる」能力を生かし、一度も船員を盤面に出させないままリモンチェッロ号を沈めることに成功!いやぁ爽快です。

ヤギとネズミの生死のサイクルを見守り続け
それを糧に80の攻撃力を得たアカシカの図
そりゃ信じられないでしょうよ
あと横の骨トークンの塔がやばい

 これにて「ドクロの嵐」の攻略完了です。いやぁ運が良かった。でも立ち回りをかなり頑張った結果だと思うので、なんだかんだ満足感はあります。(執筆時点で)取得率が0.8%の実績というのも納得の歯ごたえで楽しかったです!

今見ると捧げた生贄の数やばすぎるな…

実績回収の本編2周目

 そうそう、実績と言えば「Kaycee's Mod」以前に本編の実績でまだとってないやつが複数あるんですよね。調べた限り、通常プレイだと入手させる気のないような条件のものがチラホラ。じゃあ2周目行きますか。どうせなら、1周目ではできなかった遊びをしながら。

 ACT1は「Kaycee's Mod」の直後なのでめちゃくちゃぬるく感じます。後、カードプールが違うのを忘れて動くプレミが多かったです。ああ、この世界には便利なカッコウ君がいないんだね…

 ただ、基本的にこのルールに慣れきっているので進行はサクサク。「グリズリーボス」に鍛えられたプレイヤーのため「あまりにも早すぎるぞ。」を乗り越えたりできて気持ち良くなれます。

あとリス頭があることをいいことに
ぶっ壊れトーテムを作るのも楽しかった

 ACT2は取り逃した実績がどれもめんどくさくて苦労しました。菌学者を探すのとか、オボル貨を捧げるのとかはまだストーリー性があっていいんですが、666ダメージを与える実績はなんで作ったんですか?

 最適解とされる「エナジー同線」+「ハッスルメイジ」のボタンを永遠クリックするのはシンプルに面倒すぎる。一応、戦った後に手に入るプレミアムで好きなだけパックを引けるので、かなり自由なデッキ構築ができる点だけはいいポイントだと思います。

2色モックスとドローカードを大量に入れて
ウロボロスを引き込むだけのデッキが完成
無事ドレッジャーをワンキル出来ました

 ACT3は1周目の反省を踏まえてデッキ構築できたのが純粋に楽しかったです。必要以上にカードを入手せず、今持っているカードをちゃんと強化する。それだけでだいぶプレイ感が向上しました。あと、今更になって「スナイパー」と「タッチ・オブ・デス」の相性に気づいたり…

 また、1周目では上手くいかなかった「不シギ戦でのカードの送信」に成功したのも嬉しかったですね。受けとったプレイヤーは無事に私のカードを使って勝ってくれたそうです。

誰かに届くならこんなアホな名前にしなきゃよかった

 そしてなにより、隠しボスの菌学者戦が面白い。誰の配下でもなく1人でこの『Inscryption』の暗部を探っているようなキャラクターでしたが、まさか戦えるとは思っていませんでした。

 しかも本人のギミックは各ACTで見慣れた「カードの合体」で、早く素材を処理しないと中央に最強のボットが完成してしまう危険があります。ただ、フェーズが進んで私のカード同士も合体させ始めたときは笑ってしまいました。それはそっちにメリットなくない?

ウロボロスのステを引き継いだ
最強の孤独なウィズボット、爆誕

 そんなこんなで、各ACTを振り返りながらすべての実績の回収しました。ちょっと引っかかる面もあったけど、ちゃんと「遊びつくした」って気持ちにはなれますね。ここまでのプレイ時間は大体40時間くらいで、個人的には早く終わった方だなと思いました。

達成感たっぷり

全実績取得後の感想

 このゲーム、面白すぎる。システムとストーリーが上手くマッチした本編も良かったが、追加された「Kaycee's Mod」が挑戦的なゲーマーに対するアフターケアを担えるようになり、まさしく「完成」されたゲームとなったように思う。

 ちょっと偉ぶった書き方になりますが、こんな感想です。いやー、本当に「Kaycee's Mod」が出てきてくれて良かった。今後、ふと『Inscryption』をやりたくなった時にも活躍してくれそうです。

 といった具合で本記事はここまで!長文にお付き合いいただき誠にありがとうございました!またどこかの記事でお会いしましょう!

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