ハーモニーが危険な理由
誰かと話したい時
私たちは人と話をする時、どんな目的で話をしたいと思うのでしょうか?
相手に何か情報を伝える時、
相手を説得する時、
相手に要求する時、
自分の思いをわかってほしい時、
ただ、聴いてほしい時、
いろいろありますね。
「VUCA」という時代
さて、あなたは、「VUCA」という言葉をご存知ですか?
・変動的(Volatile)
・不確実(Uncertain)
・複雑(Complex)
・曖昧(Ambiguous)
の頭文字です。
世界は今、この「VUCA」の方向へ向かっている、と言われています。
リーダーや先生がこれまで積み上げてきた「知識」や「経験」だけでは解決できないことが、ますます増えていく、そんな誰も見たいことのない、いわば未知の世界へ突き進んでいる、とも言えます。
何故「対話」が必要か
どうして「対話」が必要なのか、という意味がここにあります。
誰かの知識や経験を教えてもらうという一方通行のやり取りでは、新たなものは何も生まれません。
でも「対話」がそこにあれば、私たちは二人から新たなものを生み出すことができます。
私もあなたも、それぞれに思考し刺激しあい、つながり、広がり、そして発見を共に見出すからです。
残念ながら私たちは学校で、ほぼ、記憶することしか学んでいません。
思考する習慣がなかったのです。受験勉強はとくにそうでした。
記憶力が頭の良さでした。
でも、経験や知識が新しい時代の中でどんどん役立たずの代物になっていく今、考える必要があります。私たちの頭を、記憶することではなく、考え出し創造する方向へ向ける必要があるのです。
そのために必要なものが「対話」です。
オープンダイアローグを通して見えてくるもの
対話とは何か、というのをつくば大学の齊藤環氏が実に明快に述べています。
これはオープンダイアローグという手法について述べている動画ですが、この中に何度も、一般人も理解できる「対話」についての考え方が出てきます。
合意を目指さない対話(19:00)
説得・アドバイス・批判はダメ(24:00)
結論ありきの議論は不毛(27:45あたりです)
結論ありきではないもの
「結論ありき、ではないもの」=対話
これは、なるほど〜〜と思いました。
どうしてあの人と話したくないか、と考えるとき
そう、彼に言っても彼は考えを変えない、だから言っても無駄、
つまり、結論ありき、だとしたら、話す気が失せる、という経験、あなたもありませんか?
つまり、結論ありきでは、対話はできない、ということになる・・
ここって、確かに大事かもしれません。
でも私たちは、信念が大事だとか、何が正しいとか、そんなことに自分の基準を置いていることが多いです。結論なしで人としゃべる経験が少ないかもしれません。
しかし逆の立場になるとよくわかります。
何を言っても無駄、と感じる、あのやるせない気持。
としたら、相手が対話を無駄だと思わないため、私に何ができるのか?
そう、結論を予め決めない、という自分の姿勢ですね。
あなたの話次第によっては考えを変えるかも、という柔軟性、
これが心をひらいている状態、とも言えるのかもしれません。
齊藤環さんは、動画の中でこうおっしゃっています。
こういう状態が真の対話を生み、そこから「私たちふたりの思考」が始まり、新しい世界に出会うことになります。
調和(ハーモニー)が実は危険、雑音(ポリフォニー)が新たなものを生むきっかけ。
合意を目指さないという意味が少し、わかる気がしました。
私たちは、安易な共感、承認を求めて、「違う、異なる」という状態を嫌いますが、それに尊重を持って耳を傾けることが「対話」の最も大切なスタートだ、ということです。
これは統合失調症の治療方法の話ではなく、
コミュニケーションが苦手な一般人、
まさに私たちの問題だと思うのです。
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