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予防重視がもたらす弊害

■母の嫌ったマッサージ師とは・・・

レビー小体型認知症だった母が
大腿骨骨折から車椅子状態になり、
あっという間に、
足首が拘縮していったのを
昨日のことのように思い出します。


亡くなるまでの2年半を
グループホームでお世話になりました。


その時、ホームへ定期的に訪問していた
マッサージの人に、
足首の拘縮が少しでも良くなるようにと、
週に2度ほど
マッサージのお願いをすることになりました。

ところが、
母がそのマッサージの人を
酷く嫌がったのです。

触られるのも嫌、というのです。

何故なのか聞いても言いません。


それで、マッサージさんが来ると言う日
私も同室することにしました。

母の状態をいろいろ私に説明し、
母の足を触り始めました。

ね、ここがこうなっているでしょう?
など私に向かって母の足を示し、
マッサージの効果や
これ以上悪くなるとどうなるか、など

事細かに説明してくれました。


ところが、
途中から母が横を向いて
明らかに拒否の姿勢を取っているのです。

ね、こんな感じで
全く協力してくれないんですよ、と彼。


その時、

あ・・・

と思ったのです。


彼はずっと一貫して
私に話し続け、
一度も、母に話しかけなかった、

母の体をモノのように扱い
そこに母の気持ちがあることを
全く見ようともしなかった、


なるほど・・・・

認知症の母には、何を言ってもしょうがない、
と言わんばかりだったのです。


ホームのケアマネージャーさんに言って、
そのマッサージさんをお断りしました。

■認知症の人とは意思の疎通ができない

認知症の人と意思の疎通などできない、
そう思い込んでいる人は少なくありません。


しかし、母は
意思や豊かな感情を持っていて、
周囲への気遣いや不安や

そして絶望と戦っていたことを
私はよく知っています。

決して、
認知症になったら、本人は何もわからなくて幸せ、

などという状態ではありませんでした。

■認知症の抗体医薬品

先月、アデュカヌマブという
認知症の抗体医薬品が
アメリカで仮承認されました。

根本治療薬と騒がれましたが、
軽度、初期の人にしか使えない、
どちらかというと
予防的な薬剤です。


■予防薬への懸念

予防薬への懸念を
語る人がいました。

吉田啓志氏(認知症予防財団事務局長)
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世間の認知症予防への関心の高まりは
肌で感じる。
もちろん予防を否定するつもりはない。
が、近年の過剰な予防重視の傾向には
懸念が付きまとう。

背景に「認知症になれば終わり」
という根強い偏見があるのでは、
と思えるからだ。

中略

(認知症の人にたいする)
偏見へのショックと諦め、
迷惑をかけているという負い目から
自分の気持ちを口に出せなくなり、

そういう繰り返しが意欲を奪い、
症状を悪化させてゆく。

逆に早い段階から
本人の思いに寄り添った対応ができれば、
意欲を取り戻し、
進行を抑えることにもつながる・・。
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予防に重点を置きすぎると、
認知症になってしまった人は
予防の努力が足りなかった、
と見られ、

それは認知症排除という動きに
繋がってゆくと、

「認知症の人と家族の会」などからも
声が上がっているようです。

■認知症にたいする社会の目


繁田雅弘教授(慈恵医大)は
こう述べています。

「認知症にたいする
社会の見る目が変れば、

認知症の人の生きづらさも随分変わる、

変わることができれば、
今後開発されるどんな薬剤よりも
特効を発揮するに違いない」


認知症と共存する社会、
という意味だ、と思いました。


体を固くして口をつぐみ
それでも、嫌だという思いを
精一杯、表現していた母。


母の豊かな感性が
母らしい対応が
そこには、はっきりとありました。


認知症であろうがなかろうが、
母は死ぬまで、
駒田裕子という、
ひとりの「人間」であり続けたことを、

目撃できた私は
幸せだったと、思います。


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