うつ病はともだち #1

　うつ病ですね。薬出しておくので、1日1錠忘れずにね。また2週間後に来てください。

　私は女子高校生。決して勉強が出来る方とは言えないが、問題児でもない。帰宅部の、どこにでもいる、平凡なJK。

　朝は苦手だから大変だけど、目覚ましをセットして頑張って起きて満員電車に乗る。

　学校に着いたら友達の机に行ってお喋り。何となく授業を受けてみたり寝てみたり。

　放課後はスタバでフラペチーノを飲んで、プリを撮って。

　こんな生活が、私は大好きだった。

　高校2年生の冬。一本の電話がかかってきた。昔からお世話になっている、地域のおじさんからだ。
　どうしたんだろう、と電話を取ると、

　「久しぶり。元気かい？学校は楽しいかい？」

　ああ、おじさんだ。優しくて、真面目で、いつも私のことが心配な、ひろとおじさん。

　「実はお願いがあって連絡したのだけれども、いいかい？」

　「おじさん今NPOを運営してるんだけど、高校生スタッフを募集していてね。どうかい？興味ないかい？」

　そのとき私は、ふと思ったのだ。
　このまま高校を卒業したら、ただ何となく遊んでいただけだ、何か財産になる経験をしなければ、と。

　よし、やろう。どうせ部活もやっていないんだし、良い経験になるでしょ。

　この電話こそが、全ての始まりだった。