#26 真っ白な空白が、私に力を与える / In the Blankness, You would Find the North Star
12時間のフライトは「何もする必要がない」と思える、特別な空間だ。
フライトマップと眼下の異世界、食事とシャンパンを楽しんだら、
あとはブランケットで丸くなって、目を閉じるだけ。
無になれる時間が、たっぷりと用意されている。最高だ。
今日は美容室に行った。
ヘッドスパで心地良く解されて眠くなったら、
飛行機のエコノミーの座席ように、鏡の前で目を閉じるだけ。
無になれる時間が、こんなにも近くで用意されている。最高だ。
何もしていないのに、1万kmも彼方へ飛んで行く。
何もしていないのに、スッキリと軽やかな自分に変われる。
貴重な人生の時間を無駄にしているなんて焦る必要は、この瞬間にはない。
ありがとう。最高だ。
そんな無になれる時間が、心を解き放つ。
遠い異国の街に、ワクワクした気持ちで歩き出せる。
昨夜は頭の中が混沌とした画面の前で、楽しく文章を書いている。
今日という1日が真っ白だ。幸せだ。
…
あなたはあるとき、真っ白な空白を与えられたかもしない。
船の上の一室で。活気溢れる街の中で。遠い記憶の中の教室で。
強制された自由な時間は、時として、とても不自由だ。
時として、とても悲しくもある。
この運命を意味のあるものにするのか、身を任せて流れていくのか。
この運命は強制されたのに、あなたが背負っている。
真っ黒な水面が、意識の奥底で揺れるかもしれない。
真っ白なキャンバスが、それでも、あなたの味方になる。
どんな混沌も綺麗に消し去って、あなたを受け入れる。
その瞬間は、自由で輝いている。
…
立派なスーツに身を包んだあの人が、首を横に振った。
彼女の長い空白が、あの人にはふさわしくなかったようだ。
だけど本当のところは、あの人は空白について、何も知らない。
空白を否定するレールを、ずっと信じて生きてきたからだ。
そのやりとりを見ていた彼には、
野心も勇気も夢も何もなかったけれど、
そのレールが彼の人生ではないことだけは理解していた。
だから、
いつもの電車を途中で降りて、
荒野を探して旅に出ることにした。
…
The wind sounds
The sun sunk
There’s nothing but sand and sky
Just trembling and standing in awe
And then,
You would find the north star.
…
…
…
人は、無の状態のままではいられません。
だからこそ、空白の時間が、特別な力を呼び起こす事があります。
そして、前へ向かって歩き出し、あるいは、砂で城を作るのでしょう。
…
In the Blankness, You would Find the North Star
何もない状態と向き合い
道しるべを探そう
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