ある雨の日の日記
なんど鳴ったかわからないアラームを止めると、6畳ワンルームの薄暗いこの部屋は雨音が響き、ジメジメとしていた。
頭がぐわんぐわんする。口はカラカラだ。昨夜の朧げな記憶を思い返し、少し後悔する。
12時。今日は差しせまった仕事がない。社会人生活5年間の怠惰な生活はがらりと変わり、ここ2ヶ月ほど仕事をし続けていた。するとふとしたときに思うようになったことがある、このまま仕事に熱心になりそれなりの成果を出して、その先になにがあるのか。
まだなにも得てない妄想馬鹿の杞憂かもしれないけれど、それでも、そこまで考えたときに漠然とした空虚がおそいかかる。
このガランとした部屋は、僕の生涯そのものなのかもしれない。
若僧であることはわかっている。自分に甘いのもわかってる。ですが、今日くらいは見逃してください。雨ふってるんで。
二度寝から目覚めて軽く仕事をすると、寝癖を直すこともなく外に出た。
最後に訪れたのは半年以上前なのだが、店内に入ると全身がスパイスの香りになってしまうので足が遠のいていた。
看板メニューであるインドカレーと月替わりの限定カレーがあるが、いつも限定カレーが魅力的でインドカレーに辿りけない。今日も、限定のスリランカ・カレーを注文した。
ウー、バチバチ！スパイスチャージ！！
店内BGMはカヒミ・カリィが流れている。雨の日に聴きたくなるウィスパーボイスだ。などと思ってたが、カヒミ・カリィだから流れていたのかもしれないといま気づいた。ふふ。
この店主の、90年代クラブミュージックのようにレシピをカットアップ、サンプリングして新メニューを開発する手技は、なんだかすごく共感するものがあって、そういう背景を知って食べると旨いだけじゃなくて楽しむことができる。
カレーづくりと90年代カルチャーの相似性について。
— メルヘン / 戸松幹太 Kanta Tomatsu (@s_21d) August 24, 2022
レシピをカットアップ、サンプリングすることで新作カリーを作り続けているお店。 https://t.co/SvGwWXgeXa
せっかく高円寺という超おもしろい街に住んでいるのに、楽しむ余裕なくあくせく働くのはもったいないな、とあらためて思った。そういえば新しくサウナができたらしい。そこにも行ってみよう。
昨年10月にオープンしたサウナ施設で、屋上の外気浴が特徴的。
雨が降っていたのもあり貸切状態。ポンチョを着て、雨を浴びながらびちょびちょのリクライニングチェアに寄りかかる。時間も周りも気にすることなく、好きなだけボーっとする。憂鬱だった雨音も、いつしか心と共鳴し僕を自由にさせてくれる愛おしいサウンドに思えてきた。
遠くからは総武線の音が聞こえてくる。こうしている間にも会社では仕事がすすんでいると思うと同時に、僕が仕事をしているときもこうして心を開放している人がどこかにいるのだと思うと、こういう時間を確保していきたいとなおのこと強く思う。
はあ〜〜〜〜〜ととのった〜〜〜〜〜〜〜〜〜
帰路、コンビニでアイスコーヒーとビスケット（お菓子など滅多に買わない）を買って、家で映画を見た。おもしろかった。眠くなってきたので、昼寝をした。21時くらいに起きて、腹が減ったけど外に出るのが面倒になっちゃって、駅前のマクドナルドが潰れて新しくできたケンタッキーをウーバーイーツで注文した。
冷蔵庫がないのでなかなか減らない角瓶を取り出して、ペプシに混ぜてコークハイ。多すぎたかも、けっこう酔ってきた。
ひとりで酔うと、思いもよらぬことを考え始めたりする。
そういえばあの企画、こうしたほうがいいのでは？とか、これさっさとやっちゃおうとか、アイデアから行動までスイッチが入り、気がつくと早朝になっていた。
たぶん、いまは後先考えずに仕事熱心になってればそれでいいんだろうな、と思った。
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