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お客に店は選べないよ

こんなことを書けば書くほど、お客さんは減るのか。減るかもしれないけど、僕ら店側がやりやすくなるのは確かだ。今日はそんなお話。

1年前にこんなことを言われたことがある。「店側はお客を選べんのじゃけえ。お客が店を選ぶんよ」そう言われた時に真逆だよなと思った。なんじゃこいつって笑 

僕は珈琲屋をやるけど、
お客が求める珈琲屋にはなりたくない。

少し言語化が難しいけれど、僕の珈琲屋は深煎りしかない。なのに浅煎りが好きなんだよねという常連さんがいたとして、その人のために浅煎りを焼くことはしたくない。こんな感じ。その人がいくら浅煎りを求めようとも僕は必ず深煎りしか焼かない。その人のために店を変えない。自分を変えない。浅煎りが好きならどこか別のところへ行ってくれ。それで頼む。疲れるから来ないでくれ。そう言えるようになりたい。

店を切り盛りしているのは僕らだ。お客さんが買ってくれた売り上げで生きられているのも確かだが、そのすべての売り上げが自分にとって受け取って気持ちの良いお金かどうかはまた別の話。

本もそうだ。僕も親友も読む本は全然違うのもあれば似ているのもある。同じ本を読んで共感することもあれば、これはちょっと読みにくいなと感じる本だってある。人それぞれだ。それはとても良いこと。ただそれを私は小説が好きだからあなたのお店に小説を置いてよ。とか深く踏み込むようなことはしないでほしい。

珈琲屋だから珈琲のことを説明できないとダメだ。という珈琲好きの方が来られるのであれば、やめておいた方がいい。僕のところに来てもお互い気持ちよくない。僕は今でも農園がどこだとか気にしていないし、ネットで調べないとわからない。シティだ、フルシティだ、イタリアンだと焼き加減の話をされても多分ムカついた顔をすると思う。ごめんなさいね。でもそういうの自分で珈琲屋に行って言わないしやらない。多分気になるのは深煎りなのか。あとウォッシュト?ナチュラル?そのくらい。もはやそれは分からなくてもいいと思っている。

僕は珈琲が好きで、焙煎も好きで、飲んでもらえるのもとても幸せを感じるけれど、農園がどうとかピーチの味がするとかストロベリーとか1つもわからんし、それをお店でも表現しようとは思っていない。この前飲んでうわー!チョコの味するわって思ったけどたまたまチョコの味がしただけで、それをこの豆はチョコの味がするんですよ〜なんてお客さんに言いたくない。美味しいかおいしくないか。それだけでいい。国名だけでいい。深く踏み込んでこないでください

深煎りしかないし、浅煎りは焼いても僕飲まないし。珈琲ってよりも僕に会いに来てくれ。ああこうして僕も学んで成長していけているのを感じられるのも今の職場があったからだ。僕もつい半年前まで僕に会いに来て欲しくないんですよ。珈琲が好きで飲みに来てくれたらいいんですよとか言っていたけどあの時の自分を殴りたい。珈琲好きが来たら余計に嫌になるじゃあないか。


なんだかんだとつらつら書いたけど、最後には

店側が客を選ぶんだよ。それだけ。俺らはクマ。

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