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#創作
天使に粗相はできかねる 第五話「羽根の痕」
ワンピースの裾をつまんでふわりと一回転。
体が軽くいられるように、神様に羽を預けてきたのだという。
「直接は見ない方がいいですよ、
目が潰れてしまいますから。」
向かい合っていた天使の少女は少年の両手をすくうように持ち上げ、
そのまま天使の少女の腰を包むようにみちびいた。花の匂いがする。
少年の手を持っていた少女はするりと腕を抜いて、少年を抱きしめた。
久しぶりに会えた家族への抱擁のような
天使に粗相はできかねる 第一話 「天使」
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「案内人が、ほしいのですが」
小さな村の祝祭日。
色とりどりの紙吹雪、藁を編んでつくった動物の像。
豪華ではないが知恵を絞った工芸品で村は彩られている。
子どもたちには動物を模した水笛、菓子が振る舞われて、
広場では有志の楽器隊が牧歌的な伴奏を奏でている。
子供たちの笑い声が街に花を添えていた。
しかし、それもさっきまでのことだ。
つい先ほどまで穏やかだった村の一角はぴたりと音を止め、