天使に粗相はできかねる 第六話「雨の夢」
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暗くて冷たい雨の夢だった。
母がおとなたちに連れていかれ、
本当に一人ぼっちになった日のことだ。
街は少年の母親を引き渡すことに抵抗せず、
喚く少年を止めてやることもしなかったので、
魔女狩りを自称するおとなたちは元から決まっていたように、
見せしめのような暴力を少年に浴びせ続けた。
少年は、からだのあちこちに鈍く重たい痛みが脈打つなかで、
子どもに暴力を振るうことになんの抵抗もないのだと知って、
子どもの無力さに絶望し、母は連れて行かれるのだと悟った。
泣いて疲