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狩猟を始めてみたけど始まってない話

三年ほど前から狩猟に興味を持ち始めました。

というのも、実家が山の麓にあるのですが、家のすぐそばまで猿や鹿などの大型獣が出没するようになり、農作物を荒らされ作物が全然収穫できなくなっていまいました。
それまでは近所に住んでいた方が猟友会に所属し害獣駆除を行っていたのですが、その方は引退されてしまい。いつの間にかそのような状態になっていたようです。

誰かがやらなければ。

ということで、狩猟を始めてみることにしました。

必要な資格

  • 網猟

  • わな猟

  • 装薬銃による狩猟

  • 空気銃による狩猟

の 4 つ。これ以外の方法で鳥獣を獲ると鳥獣保護法違反になります。
この中でも細かい決まりがたくさんあって、とにかく勝手に猟をしてはいけないわけです。

免許は環境省の管轄で国によって発行されており、一度取得すると3 年間の有効期限があります。
ただし、免許を取ったから猟ができるということでもなくて、それとは別に各都道府県の窓口で狩猟者登録(有料)を行わなければいけません。その際にもらえる狩猟者記章(バッジ)と狩猟者登録票を携帯すれば禁猟区以外での狩猟が可能です。

猟銃を扱う場合は、さらに鉄砲所持免許証を取得する必要があります。
これは各都道府県ごとの警察の管轄になっていて、猟銃一丁ずつに必要です。クレーン射撃などのスポーツを行う際にも必要になります。

ちなみに狩猟にはシーズンがあり、大体11月15日〜2月15日の冬の間しか猟をやってはいけない決まりになっています。先述の狩猟者登録は狩猟を行うシーズン毎に必要です。ただ、都道府県によってルールが違う場合もあり、例えば北海道だともう少し期間を伸ばしてもいいなどいくつか例外はあります。

網猟は主に鳥を獲るのに使われる狩猟だということだったので、今回はターゲットである鹿や猿を狩猟するため罠猟と装薬銃による狩猟の免許を取得することにしました。


狩猟免許取得

環境省のホームページにある通り、年に数回行われる都道府県別の資格試験に合格すれば狩猟免許は取得できます。
試験は一日がかかりで行われ、

  • 午前:筆記試験
    法律、猟具に関する知識、設置方法・使い方

  • 午後:実技試験

    • 身体測定

    • 罠の種類判別、設置

    • 猟銃(装薬銃・空気銃)の扱い方、山間部の模擬銃猟(団体行動・休憩)、距離の目測

    • 銃の分解・点検・結合、鳥獣識別

ということを自分の時にはやりました。
午前中の試験の合格者だけが午後の試験を受けられます。

ある程度は覚えればなんとかなるようなものが多いのですが、「銃の分解・点検・結合、鳥獣識別」が個人的にすごく難しかったです。

銃の分解・点検・結合はほとんど感覚的な作業なので、感覚が掴めないと一向にうまくいきません。しかし一度できるようになると次からは簡単にできるようになります。

鳥獣識別は試験官と一対一で行い、フリップになっている絵や写真の生き物は獲っていいのかダメなのか、獲っていいのであれば生き物の名前は何かを瞬時(ちょっと詰まっても2,3秒以内)に回答します。10問から20問ぐらいの出題で、間違えていいのは2, 3問だけ。特に鳥類は似たような柄が多いのでしっかり勉強しておかないと痛い目にあいます。

試験自体は受付と受験料を収めれば誰でも受けられますが、試験の一週間前に開催される、猟友会による講習会への参加はほぼ必須と言っていいでしょう。
2 万円程度かかりますが、参加すると狩猟教本という教科書みたいなものがもらえて、その中に筆記試験や実技試験の内容について書かれています。さらに講習会では実技の練習もできるので、これから受験を考えている方はぜひ参加を検討してみてください。
試験に合格すれば、晴れて狩猟免許を交付されます。


銃砲所持許可証取得

まず初めに月 1 回か 2ヶ月に 1 回程度行われている「初心者講習」の受講依頼を最寄りの警察署の生活安全課にします。
初心者講習を受講したら筆記試験が。合格したらまた生活安全課に教習資格認定の申請を行います。そうすると警察から「身辺調査を行いますね」というような連絡があり、何も問題なければ射撃教習に進めます。

射撃教習はいわゆるクレーン射撃場のような場所で行われるのですが、月 1 回程度、関東圏内のどこかで実施されているぐらいの少なさでした。
教習ではもちろん実弾を扱うのですが、銃弾を扱うにも申請が必要なので、教習を受ける前にその申請を警察署しなければいけません。

ここまでして射撃教習で合格をもらえたら、やっと銃砲店で購入ができるようになります。ですが、購入手続きをしたらしたでそれももちろん警察に報告しないといけません。

そうすると「どこでそれらを管理するんだ」と警察が自宅まで来てガンロッカーの立ち入り検査を行います。許可が出ればようやく銃砲店から猟銃を受け取ることができて、それをまた警察に届け出るとついに鉄砲所持許可証がその銃に交付されます。


銃砲所持許可証取得の流れ

  1. 初心者講習

  2. 教習資格認定の申請

  3. 警察による身辺調査

  4. 射撃教習申請

  5. 射撃教習

  6. 猟銃の購入手続き(譲渡承諾書の作成)

  7. 猟銃の所持許可申請

  8. ガンロッカー立入検査

  9. 銃砲店から猟銃の受け取り

  10. 所持申請

  11. 鉄砲所持免許証交付


とにかくすごく大変で、何度も警察署に出向くことになります。
ちょうどコロナ禍に入ってすぐの頃だったので、講習自体が行われていなかったり人数制限も厳しくて初心者講習を受けるまでに一年かかりました。

余談ですが、日本では猟銃というとショットガンかライフルのことを指します。ハンドガンのような小さくて携帯性に優れる銃は法律的に持ってはいけないことになっています。
また、ライフルは非常に殺傷能力が高いため、ショットガンを10年以上扱った人でないと使用するための試験を受けさせてもらえません。


現状

とまあ狩猟は始めるまでが大変なんですが、私の現状はと言いますと、狩猟免許(わな・装薬銃)は取得しましたが鉄砲所持許可証は途中で断念してしまいました。

いくつか理由はありますが、一番大きな理由としては実家近所で資格を取った若人が出てきて猟を始めた、さらに地域ぐるみで電気柵を使って街を丸ごと囲うという一大プロジェクトが動いているという話もあって、緊急性が薄くなったことが挙げれます。

もう一つの理由としては、銃の購入費や維持費が高い。
銃本体だけでも新品を買うと30万円から。中古でも10万円程度かかります。ちなみに海外ブランド物になると100万円以上するものもあります。
さらに 3 年ごとに受けなければいけない講習費用やその他の雑費や管理費、弾丸費用など。またガンロッカーや弾丸ロッカーの設置にもお金がかかります。

それらのコストを考えたら、とりあえず罠猟はできるわけだし、銃まではいらないかな。という結論に至った次第です。

とはいえまだ罠猟にも挑戦できておらず…。
次回は実際にやってみた話ができればと思うので続報をお待ちください。

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