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日本の大企業は既にベーシックインカム?

まず私はもともと24歳からスタートアップ起業を複数社ずっと挑戦してきて、金融機関から億単位の融資・返済、VCからの増資や、株主・取締役として株式上場(マザーズ、東証一部)、会社売却や事業売却。一方で会社精算、MBOなど、スタートアップ周りで得られるほぼすべてのディールというディールの経験をしており、完全にスタートアップ脳で個人としてビジネス取引をしまくってきた人間です。そんな私が、創業した会社の一つの売却をキッカケに約4年前から創業50年を超え、6万人もの従業員を抱える大企業の取締役CMOとして大企業のイノベーションに挑戦するチャンスをいただいています。

正直、4年前は大企業の「だ」の字も知らない若造が、いきなり大きな会社に混じったので本当に右も左も分からず、ただただ時代にマッチして正しいと思ったことをそのままオブラートに包むこともなく実行していきました。それはスタートアップのような素早さで色々なことが立ち上がっていくのですが、事業本部などのラインで規模を持ってワークさせていくには様々な要素が欠けており、結果としてそれは大きな組織においては一概に正しいやり方ではないことが分かりました。例えるならばベルトコンベアーを活用して同一品質で大量生産を行う工場で、いきなりドローンを使って生産しろ、と言っているようなものです。工場で働いている人からすれば理解は出来ても自分の役割は見えないし、みんな混乱するわけです。大企業において何をもって生産性としていくのか、どのように活動することが数値の最大化を導くことができるのか、スタートアップ脳の私にとっては真逆なことも多くて、今でも勉強することだらけの毎日を送っています。ある程度は見えてきた部分もあるのでそれはまた別の機会に。

話を変えますが、今の世の中は社畜反対!会社は利用するものであって利用されるものではない、個の時代だ!と言われます。これは簡単に言えば、スマホやSNSによって個の発信力が強まったこともあり、組織に属さなくても食っていける、むしろ組織に染まらずに自分の好きなことや楽しいことだけを追求していくことができるビジネスパーソン2.0みたいな世界である、ということですね。実際に制作のアウトソーシングやブロガーから始まり、今はクラウドソーシングによって様々な仕事を個人で受注したり、オンラインサロンのオーナーやYOUTUBERのようなプレイヤーとなって生計を立てているビジネスパーソンも徐々にですが増え始めています。今年はアメリカでは人口の35%にあたる5,700万人、日本では人口の15%にあたる1,034万人がフリーランスとなっています。

確かにこのような生き方をしているビジネスパーソンは、ガチガチに固められた大企業の組織内でワークしている人からするとめちゃくちゃ羨ましく見えると思います。要するに「自由」に憧れるわけです。ただ、今フリーランサーや起業家など既に自由を手にしている人からすると、当たり前なのですが自由であることには憧れはないのです。それよりも今月、来月食べていけるだけの売上を確保できるかどうかの「責任」を務めることに精一杯で、報酬が安定(成長)することが憧れの対象であったりします。今回のコロナみたいな世界恐慌が訪れると一寸先は闇、今月は給与ゼロということが普通にあり得るわけです。自由を得ている代わりに責任が果たせなければ辛い結果がダイレクトに跳ね返ってくるというわけです。それが自由であるということの代替えなんですね。まぁ当たり前の話なのですが人は常に欲望が行ったり来たりしてしまうというか、自由と責任はセットであるはずがついつい無い物ねだりの性で忘れてしまいます

では大企業の従業員はどうでしょうか?最近は前述したように個の時代が謳われるようになったこともあり、社畜だの集団で雇われていることに不満をぶつけたり、大企業に属していれば、実際の責任は会社の連帯責任のためほぼノーリスクであるにも関わらず、自由も「過剰」に要求しているように感じます。ただ前提として自由と責任はセットでなければならないんです。バランスの崩れたディールはやっぱり存在しないのです。私は起業家として沢山のディールの中でそれを学びました。そして義務と権利も常にバランスされていなければならず、義務を果たさず権利を主張するというのはやはりおかしいことになります。逆に言えば義務を果たしているのに権利を主張できないのもおかしいです。ただそういう大企業からは必ずデキる人が去っていきますのである意味健全なのです。ただし逆はそうではない、というところに大企業がベーシックインカムのような事になってしまうことがあります。まさに国民の権利を主張する、と言わんばかりです。ただまだ国は国民から税金などを徴収していますから権利主張はそこでバランスするので理解できますが、会社はむしろ給与を渡していますので義務を果たしていない社員からの権利主張はかなりおかしい。バランスしていないディールはやっぱり気になります。

今後、こうした軸で大企業と個はしっかりとディールしていく必要があると思っています。今のテレワーク環境ならば場所や時間の制限がマネジメント出来ないわけですから結果で評価するしかないのも当たり前のディールです。アウトプットもなく活動が見えなければ降格は当然です。もちろん逆もしかり。ところがこういうフェアな要求を理解せずにマイナスなことばかりを言う人が特にネット上で増えている気がします。大企業は社会の公器とも言えますから一定理解はしますが、Twitterとか大企業叩きのニュースを見ているとあまりに可哀想な気がします(笑)大企業勤務の人間は今一度、自分の立場とスキル、活動を見直してひとりひとりが社長のつもりで義務と権利をフェアに考えて業務に取り組むべきだと思っています。

ただ人口が減って国が弱っていき、更に格差社会が広がり二極化していくならば、大企業や富裕層が弱者に対してベーシックインカムを提供する日も遠くないな、と感じますね。実際、元ZOZOの前澤さんはそれをやっていますよね。ただこのロジックを成立させるためには、もう働くことはマストではなく、働くのが好きな人と働く価値のある人だけがやるもの、とすべての人が理解してからじゃないとバランスしないんですよね、、、資本主義も過渡期だなぁ。。

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