【NEW BERRY】 - 賽は投げられた:凝縮された最新のフィロソフィーのダンス
2024年3月13日、フィロソフィーのダンス(フィロのス)の最新アルバム「NEW BERRY」がリリースされました。
本作は現在の5人体制になってから初のアルバムで、率直にめちゃくちゃ良いです。本当に素晴らしい作品だと思うので、自信を持って全音楽ファンにおすすめしたいです。
本記事では、このアルバム「NEW BERRY」を聴き込み、ファン目線で読み解き、僕なりの解釈と徒然なる感想を垂れ流します。正直、めちゃくちゃ長いです。
リスペクトを込めてアルバムと向き合い、書いては消して、書いては消してを繰り返して、結局うまくまとまったか自分でもわからないんですけど、どこかの誰かのハートにこの文章が届いたら嬉しいし、何より一人でも多くの方にこのアルバムが届いてほしいの気持ちです。
アルバム音源を聴きながら読んでいただけると嬉しいです!
「NEW BERRY」はフィロソフィーのダンスの『今』が凝縮されていると同時に、その『今』は過去からしっかり地続きになっていることも実感します。
まだフィロソフィーのダンスをあまり知らない方はもちろん、4人体制やインディーズ時代までしか聴いていなかったような方にも、この作品がたくさん届いてほしいなと思います。
なお、本記事は僕自身が主観を綴っているので、作家やメンバーの意図と異なる解釈もあると思うし、「それは違うだろ」というご意見もあるかもしれません。あくまで1人のファンによる徒然なる感想である前提で読んでいただければ幸いです。
メジャー2ndアルバム「NEW BERRY」
本作「NEW BERRY」は、2022年4月にリリースされたメジャー1stアルバム「愛の哲学」から約2年、5人体制になってからシングル2枚、EP1枚を経て、満を持してリリースされたメジャー2ndアルバムです。
直訳で「新しい果実」を意味する「NEW BERRY」は新体制のフレッシュさを意図していますが、同時に「変化」と「ほかならぬ」という意味も込められています。「メンバー自ら考案した」という部分にグループの主体的な意思も感じさせるタイトル、その3つの意味にも注目しながら作品を聴いていきたいと思います。
収録曲は既存の曲6曲と新しい曲5曲を組み合わせた全11曲。曲ごとに異なるクリエイター陣にも大注目です。
中でも「01.Love&Loud」「05.永遠頂戴」「11.永遠オーバーヒート」の3曲は初めての作家さんと組んで作られた新曲で、このアルバムのメッセージや彩において重要な意味を持つ曲だと感じています。
既存曲も新曲もそれぞれみんな素晴らしく、バラエティ豊かなアルバムになっていますが、曲順も秀逸で、そこには必然性とストーリー性が込められているように感じます。
それではここから、アルバムの流れに沿って中身に触れていきましょう。
圧倒的な説得力を持つオープニング
01.Love&Loud
1曲目はアルバムのリードトラックとなる「Love&Loud」。未来のアンセムと言わんばかりのキラーチューンでの幕開けに、いきなり根も葉もない感想ですが、ただ一言、この曲、ま・じ・で・最高です。
この曲で表されているのは「自分たちの歩んできた道」と「これからも突き進んでいく」というポジティブなメッセージだと思います。
作詞作曲はインディーズ時代からフィロソフィーのダンスに注目し、活動を見守ってきたDa-iCEの工藤大輝さん。その歌詞はこれまでのグループの歴史が俯瞰されていて、日向ハルさんはこの歌詞を見て「安心して寄り掛かれると思った」とインタビューで語っていました。
長いキャリアの中、必ずしも順風満帆とは言えないかもしれないけれど、それでも常に成長して前に進んできた、そしてこれからも進んでいくというグループの想いがそのまま描かれたような詞は、とてもグッときます。
歌詞や歌割、語りたいポイントは山ほどありますが、ここではサウンド面に少しだけ踏み込んでみたいと思います。
■アレンジについて
この曲のアレンジはCHOKKAKUさんで、90年代黄金時代のJ-POPを彷彿とさせるアレンジはさすがとしか言いようがありません。正直このサウンドアレンジだけでnote一本書けるくらい凄まじいですが、この曲を聴いた後に、例えばSMAPのオリジナル・スマイルのイントロを聴けば、その唯一無二なThe CHOKKAKUサウンドに震えると思います。
まさに金字塔であり、真正面からJ-POPに挑戦していく気概も感じ取れます。
(↓リンク先の視聴からイントロ聴けるので、是非聴いてみてください)
■コード進行について
もうひとつ着目したいのはサビのコード進行。これ、かつてフィロソフィーのダンスの4人がやっていたテレビ番組「フィロのス亭」のテーマ曲と同じコード進行になっているんですよね。
完全にオタクの想像でしかないのですが、この「Love&Loud」からほとばしる工藤大輝さんのフィロソフィーのダンスに対する解像度の高さと、グループの歴史を俯瞰した感じから、このコード進行には、グループの礎を築いたインディーズ時代の作家さんへのリスペクトが込められているのではないかと思いました。
そんな訳で最初の曲から、こちらも想いが溢れてきてしまっているのですが、J-POP的な文脈とグループの歴史の文脈の両面を仁王立ちしながらしっかり背負い、アルバムのリード曲として「さあここから新しい物語を作っていくぞ!」という気合いを感じる1曲です。
02.シュークリーム・ファンク
そして続く2曲目はTVアニメ「マッシュル」の1期エンディングテーマ曲であり、ライブでも欠かせない定番曲になっている「シュークリーム・ファンク」。
こちらはMVの再生数が先日100万回を突破し、Youtube公式チャンネルの中でも最も再生されている名刺のような曲ですね。
リードトラックである「Love&Loud」で大々的に幕を開け、そこから「シュークリーム・ファンク」で盛り上げていく様は、まさに1つのライブセットのような流れです。
ちなみに余談ですが、本アルバムの初回限定版には2023年12月6日に行われたバンドセットのワンマンライブ「Greatest 5 Party」の映像Blu-rayと音源CDが同梱されています。バンドセットの「シュークリーム・ファンク」はべらぼうにかっこいいので、初回盤おすすめです。
不思議な必然性が生む中盤のうねり
「シュークリーム・ファンク」で盛り上げた後、今度は全然曲の雰囲気の違う「ムーピー・ゲーム」に繋がります。「シュークリーム・ファンク」は曲終わりに数秒のブランクがあるのですが、これが効果的に働き、雰囲気をガラッと変えてきます。そして、ここからの数曲の流れは、色々な感情を様々な側面から歌う曲が続き、作品に複雑なうねりを生んでいると感じます。
03.ムーピー・ゲーム
「ムーピー・ゲーム」は児玉雨子さんが「火の鳥未来編」をモチーフにして書き下ろした楽曲。この曲と火の鳥未来編があまりにも大好きで、この曲1つでnote記事一本書いてしまいました。詳細な考察はこちらを参照ください。
この曲は単純なメッセージや感情で表せないのですが、1つのテーマとして「輪廻転生する永遠の愛」が描かれています。
このアルバムは大胆にも「永遠」がタイトルにつく曲が2つもあり、アルバム全体を通じて「永遠」という言葉がキーワードになっていることは間違いありません。
「愛」は前作「愛の哲学」のテーマでもあり、フィロソフィーのダンスというグループの不変的な(=永遠の)テーマでもあると思います。
一方で「輪廻転生」は変化しながら繰り返すことなので、「輪廻転生する永遠の愛」というのは、「フィロソフィーのダンスという一貫したグループの軸は変わっていないけど、メンバーや表現は少しずつ変わりながら常に進化している」という捉え方ができる気がします。
このようなグループの現状が、火の鳥という極めて高尚な作品とリンクしていることには、ある種の真理を感じます。「生きる楽しさ」や「愛する喜び」を、いつも僕らはこのグループに教えてもらってるんですよね。
蛇足ながら1つ添えておきたいのですが、おそらくタイアップではないこの曲、あえてこのアルバム曲として火の鳥モチーフを選択した児玉雨子さんの想いにも感服します。児玉雨子さんは手塚漫画を愛している方なので、プロによる本気の二次創作には相当な覚悟と愛が込められてるはずです。
先程の「シュークリーム・ファンク」での盛り上がりから急降下、この曲ではリスナーの感性と思考のスイッチを押し、この作品を楽しさ一辺倒ではない、じっくり色濃いものにしていきます。
04.キュリアス・イン・ザ・モーニング
続く「キュリアス・イン・ザ・モーニング」は、2nd EP「One Summer Dream」に収録されていた楽曲で、無機質だけど、どこか引っかかって抜け出せなくなるような感覚を覚える不思議な曲です。
「One Summer Dream」についてもディスクレビュー的なアプローチで自分なりにその作品性を考察しているので、詳しくはこちらの記事を参照ください。
「ムーピー・ゲーム」という夢を見る遊びの歌からの「キュリアス・イン・ザ・モーニング」での目覚めという曲の並びには、心地良さと必然性を感じます。
この曲のひたすらリフレインされフェードアウトしていくフレーズには、虚実性、フワフワした感覚を覚え、聴き手に様々な解釈の余白を作るようにも感じます。
僕はこの曲から、柔らかい不思議な光の空間にいて、上下左右がよくわからないんだけど、真っ白で眩しい先の方から誰かが呼んでいて、何があるかわからない、だけど不思議と足は前に進んでいく、みたいなイメージを抱きます。
05.永遠頂戴
さあ、そして次は「永遠頂戴」です。個人的にこの曲はアルバムの中でも特出していると感じています。「キュリアス・イン・ザ・モーニング」で彷徨って目覚めた先は、超リアルな現実。ただこの現実はある意味で問題作、ある意味で傑作。
作詞作曲は和ぬかさん、僕はこの曲をきっかけに初めて知った方なのですが、TikTokやYoutubeを中心にバズり曲をいくつも世に放っている令和のクリエイターです。
そんな和ぬか節全開の「永遠頂戴」は庭野リサさんによるイラストによるMVも公開されています。
ここでは歌詞を少し見ていきたいと思います。まずは奥津マリリさんのブレスイントロから始まる部分。
いきなり衝撃的な歌詞。この曲の主人公は結婚に焦る女性、しかしそのお相手は運命の相手という感じではありません。焦る現実と「頂戴」という他者依存な欲。歌詞にはなかなかパンチのあるフレーズが満載です。
あなたはこの歌詞、あるいはMVを見てどう思いますか。
僕はこの曲から「リアルな人間性」を感じました。
強い印象を持たせる「だ調」と皮肉や自暴自棄にも取れる強烈なフレーズ、そして涙を流すMVの女性。これは強がりと弱さを表現していると感じました。「永遠」というキーワードを、あえて「結婚すること」という局所的で短絡的な意味にすることで、一貫して前向きなメッセージを感じさせるアルバムの中に強烈なギャップと違和感を生みます。
しかし、たとえ短絡的であったとしても、この歌の主人公は自分の信じるものを一生懸命見つめていて、故に傷ついています。きっとこの歌に救われる人もいるはずです。
常に自己と他者を肯定し、明るく前向きなアイドル。僕らはいつも彼女たちからたくさんのパワーをもらっています。でも彼女たちは、僕らが見えないところで弱音も吐くし、涙を流すし、ちゃんと欲を持つ1人の人間なんです。
「キュリアス・イン・ザ・モーニング」で僕はアイドルの虚実性に言及しましたが、この歌はむしろアイドル性(idol=偶像)の否定であり、アイドルと称されるアーティストが、血の通った人間だという至極当たり前のことを再認識させられます。
強烈な歌詞に加え、サウンドもとにかくかっこいいですよね。ヨナ抜き音階に、1番は和風、2番は中国風、3番はアラビアンというかなり個性的なサウンドなのに、しっかり踊れるグルーヴです。そこに乗ってくる「えっ?」と引っかかってくる歌詞の歌い回しが、不思議とどれも気持ちよくて、一聴して頭から離れなくなりました。
賛否両論ある曲ですが僕は大好きです。
06.サンバーント・ロマンス
続く「サンバーント・ロマンス」は「One Summer Dream」の記事にも書いた通り、小説的で少し官能的な湿度も感じさせる世界観で、夕暮れ、熱い夏の夜、駆け引きといった大人の恋愛、切なさなどの情景を連想させます。
「ムーピー・ゲーム」の記事で散々すげえすげえと書きましたが、児玉雨子さんの書く歌詞の世界は文学的で、ディテールと余白か絶妙なので、具体的なのに曖昧で、聞き手によって色々な見方ができるんですよね。プロ作詞家まじですげえ。「永遠頂戴」とも全然異なる、でも同じ恋愛の世界が広がります。
ここまでの「03.ムーピー・ゲーム」「04.キュリアス・イン・ザ・モーニング」「05.永遠頂戴」「06.サンバーント・ロマンス」という流れ、恋愛的な切り口が似ていながらも景色は全く違う、けれども繋がっている感じもあります。
この曲の流れには、一言で表せない複雑で様々な心情の数々を、大きな鍋に放り込んで、ぐつぐつじっくり煮込んだ「ごった煮スープ」のようなイメージを持ちました。
すっきりしない感情、多様で複雑、単純な好き嫌いや白黒で表せない心情。でもそれこそが人間なんじゃね、みたいな結論を無理やり自分の中で腹落ちさせてますが、しっかりと感情と思考のスイッチを押して、聴き手に委ねて色々な景色を見せてくるように感じます。
エンディングに向けて加速上昇していく後半
やや混沌とした中盤でしっかりリスナーをモヤモヤさせつつ、ここから後半はライブでも盛り上がるアッパーな曲を並べ、エンディングに向けて徐々に加速していきます。
07.熱風は流転する
「熱風は流転する」は現体制最初にリリースされたシングルで、TVアニメ「あやかしトライアングル」(あやトラ)のオープニングテーマ曲ですね。
あやトラの世界観と大きくリンクした色気のある曲ですが、この曲のタイトルの「流転」という言葉は常に変わり続けることを意味し、仏教用語で輪廻の概念そのものです。
「熱風」はフィロソフィーのダンスというグループの情熱そのものを表しているとも取れるので、「Love&Loud」で幕開けたこのアルバムの意図を意識すると、この曲は「これか始まる新体制での変化と成長」を予言したメッセージのような感覚も覚えます。
実際にこの曲は、1年かけてグループと共に成長してきた曲なので、アルバムという形で聴くと、曲の印象も変わってきますね。
主人公の心の叫びのような歌詞には、新体制で自分たちでもこれからどうなっていくかわからないという少しの不安と、それでも前を見て進むんだという力強さが感じ取れました。
08.GO SURVIVE
続く「GO SURVIVE」は新曲で、Wリーグ(女子バスケットボールのプロリーグ)の公式応援ソングです。選手を応援する力強い歌詞、歌いっぷりが印象的です。
この曲からも、前に進むという力強いメッセージを感じます。そのメッセージは選手に向けたものであり、同時に自分たちをも鼓舞するもので、勝利に向けて突き進む選手たちの気持ちや、リーグ全体を盛り上げようというWリーグの雰囲気が、これから更なる高みを目指すフィロソフィーのダンスというチームにもリンクするような気がします。
雑念を取っ払って、前へ駆け出すような強い意思が込められた曲で、Wリーグもフィロのスも、共にどんどん盛り上がって欲しいです。
09.ポジ子とネガ乃
次の「ポジ子とネガ乃」はド派手な照明演出とも相性が良いHyper Popの盛り上がり曲。この曲は新しく加入した香山ななこさん(ポジ子)と木葭ののさん(ネガ乃)が主人公の曲で、見た目の印象と実際の中身は違うけど、そのどちらも個人そのものの個性であると歌っています。
「ソーダ好きそうか」などの言葉遊びも多いこの曲も、作詞は児玉雨子さんです。その歌詞は、外見と内面、それら全部ひっくるめて、私は私、君は君という、ありのままを肯定してくれます。
「Love&Loud」でも歌われていますが、「フィロソフィーのダンス」というグループは、それぞれ別々の道を歩んできたメンバー5人が交わり、お互いを尊重することで、コンプレックスすら個性であると肯定する力を生み、循環的にどんどん強くなるんだよなーと、改めてそんなことを思い浮かべました。
10.Gimme Five!
「ポジ子とネガ乃」に続くラス前の10曲目は、もはや今の5人体制のひとつのアンセムとなっている「Gimme Five!」。この曲は新メンバーが発表された2022/11/19 日比谷野音音楽堂で、その場で初めて披露された曲です。
オリジナルメンバーの卒業と新メンバーの加入はフィロのスにとってこれ以上ない大きな変化であることは容易に想像ができます。
大きな不安もある中、いしわたり淳二さんが書いたこの歌詞には、ファンだけでなく自分たちへのエールも込められていると思います。
そんな曲が、「熱風は流転する」と同様大きく成長し、自信の源となって今やフロアを踊り狂わせるアンセムに進化したんですよね。
『新しいダンス』を生むこのグループは、「変化」とともに「ほかならぬ」個性を磨き、『踊れ!』と叫びながら、常に最新が最高を更新し続けています。
野音での新体制発足を機に本格的にオタクになった自分にとって、この曲の持つ意味を改めて考えると、 思わず胸が熱くなってきます。
エンディングに向けて駆け上がる盛り上げ曲の数々には、5人体制の軌跡がしっかりと刻まれている、そんな感覚を覚えました。
ラストは初心に返っての力強い宣言
11.永遠オーバーヒート
「Gimme Five!」で最高潮へ駆け上がってからの最後の曲は、フジテレビの番組「明日フェス」でメンバー自らが制作した「永遠オーバーヒート」。
この曲は、インディーズ時代よくライブをしていた下北沢にメンバー5人が足を運び、懐かしのお店やライブハウス、時代と共に変わる街並みを見て歩き、自分たちで作った曲です。
作曲はハロプロでお馴染みのベテラン星部ショウさん。下北沢の空気からあの頃のメラメラとした初心を思い出し、グループの今の気持ちとしてインスピレーションしたメンバーの想いを、星部さんの文脈をしっかり拾って咀嚼して即座に表現するという凄まじいプロワークによって、とんでもない名曲が誕生しました。
(↓星部さんとの制作についてのトークは一聴の価値ありです。星部さんマジで神と思いました。)
前作「愛の哲学」がオリジナル4人体制の最後のアルバムで、今作「NEW BERRY」が新たな5人体制の最初のアルバムです。
メジャーデビューの頃からオリジナルメンバーの十束おとはさんの卒業の意思はグループの中で共有されており、前作はある意味、オリジナル体制の集大成のような作品でした。
それを踏まえると、今作は新体制初のアルバムで、グループとしての心機一転再スタートの意味合いもあって、最高なバイブスの高まりに、もはや前しか見えない、まさに賽は投げられたという印象を抱きます。
これまでの歩みを経て、改めて『ハートに炎を再着火』させ、『前人未到のシャングリラ』に向けて『今日も明日も来週も来年も来世も』永遠にエンジンを燃やし続けていく。この曲に込められた言葉は、フィロのスの今現在の宣言なんですよね。
さあ、いかがだったでしょうか。
冒頭記載した通り、曲単体でも良い曲ばかりですが、アルバムを通して聴くと、「NEW BERRY」に込められた3つの意味に納得感があります。
5人体制のスタートとなるアルバムが「フレッシュな果実」である一方、紆余曲折があっても「変化」してきたグループの歴史は、常に肯定的に進化しています。そして今現在、このグループに集まった輝く5つの個性こそ唯一無二、「ほかならぬ」魅力に溢れ、これからどんな景色を見せてくれるのかワクワクします。
まだまだ終わらない:永遠の輪廻と言わんばかりのリピートを
アルバムを最後まで聴き終えたら、リピートボタンを押してみましょう。
実は1曲目の「Love&Loud」はアルバムリリース後、少し経ってからMVが公開されています。
もうね、曲単体でも最高なんですけど、アルバム通して聴いてからこのMVを見ると、ガッツリと胸をえぐられて、言葉が出てこない感情になりました。前向きで、こちらまで勇気をもらえる感覚を覚えます。本当にフィロのスのファンで良かったな。心からそう思いました。
このMVは4人体制を含む過去のMV作品のオマージュシーンがたくさんあって、自分たちの過去が、出発点である下北沢シャングリラに集結するというところにも、このアルバムのメッセージが凝縮されているように思います。
そしてまたアルバムを繰り返し聴く、まさに永遠の輪廻というわけですね。すごいアルバム作品だと思います。
最後に
最後に、本アルバムリリースに際してのインタビュー記事をリンクします。どのインタビューも読み応えがあり、曲や作品、グループについて普段聞けないメンバーの想いがたくさん語られています。
このインタビューの中から、特に好きな部分を引用します。
「武道館でのライブ」を1つの大きな目標としていますが、あくまでそれはゴールやマイルストーンではない。それぞれ個人がしっかりと自己実現しながら、グループとしても沢山の人に届いていくといいなと語ってくれていて、その成長の中で武道館も通過したいね、というニュアンスにこのグループの明るい未来を確信します。
背伸びしたいわけでもなく、誰かに媚びるわけでもなく、自分たちが好きでやっていることを続けていきたいというスタンスに、ファンの1人としては何の不安もありません。
僕がこのアルバムで感じたことを一言で言うなれば、「不易流行」【ふえきりゅうこう】でしょうか。
楽曲やメンバーも変わっていくし、時代も流行りも表現方法も変わっていく。でも愛だったり、音楽を通じてみんなを幸せにするといったグループのコアは何も変わってないんですよね。
フィロソフィーのダンスは『ただ良かった過去なんてないんだから、誰もまだ知らない世界で、新しいダンスを踊らせてあげる』と歌うダンス・ファウンダーですから。これまでも、これからも、変わらずに新しいダンスを踊らせてくれることに信頼しかありません。
ブレない軸がちゃんとあって、いい意味で節操なく、変化しながら表現がスケールするエンタメをリアルタイムで楽しませてもらってます。
そんな魅力いっぱいのフィロソフィーのダンスの『今』が凝縮されたアルバム「NEW BERRY」が、沢山の人に届きますように。
最後まで読んでくださってくれてありがとうございました。
それではまた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?