秋田の快進撃。今度こそJ2へ。

J3新記録となる開幕6連勝。6試合すべて無失点と完封での勝利。これ以上ないスタートを切った2020年のブラウブリッツ秋田のことを少し。

生まれが秋田県ということもあり、幼いころからお盆やお正月に秋田へ帰っていた。その前には親戚の住む仙台に寄るのが通例であったので、サッカーに興味を持ち始めた小学生ぐらいのころから、ベガルタを応援するようになった。同時に「秋田にJリーグのクラブでもあったらな」などと考えていたら、JFLに TDK サッカー部があり、どうやら秋田県をメインに活動しているらしいと情報を得る。新聞のスポーツ欄の片隅に記載されているTDKの試合結果をたまに気にしたりしていた。

いつの間にか、チーム名がブラウブリッツになり、活動拠点も由利本荘から秋田市内に移転していたことを知ったのは大学生ぐらいのころだろうか。サッカーマガジンかなにかで岩瀬社長の記事を読んで、着実にJリーグ参入を目指していることを知り驚いた。そして、2014年のJ3創設を機についに秋田県にJリーグクラブが誕生した。

当初、J3リーグは全試合放送ではなくて毎節数試合の放送だったが、仙台から島川がレンタル移籍していたこともあり、放送があればなるべく見ていたのを覚えている。与那城ジョージ監督のもと、くどいまでにパスを繋ぎ通すサッカーは当時の風間体制のフロンターレに通ずるものがあったように思える。その年は8位という成績で終えると、翌年は間瀬監督へバトンタッチ。前監督の良い部分を踏襲しつつも、より守備の整備を行い、クリアするところはクリアするというサッカーに多少変化した。ミシャから森保さんになった広島といったところか。2015年から2016年の2年間で8位→4位といジャンプアップに成功した。シーズン終了後、間瀬監督は個人昇格を果たしてJ2の愛媛へ。秋田には新潟シンガポールなどの監督をしていた杉山監督が就任した。披露するサッカーにそこまで変化はなかったが、開幕から15戦負けなしで首位をひた走る。途中息切れもあったものの、最終節アウェイ鳥取の地でなんとJ3優勝。J3参入4年目で初のタイトル獲得となり、満を持してJ2参加といきたいところであったが、クラブライセンスの関係でそうはならなかった。

2018年は王者として迎えるシーズンということもあり、非常に難しかったように見えた。結果、杉山監督はシーズン途中で解任し再度間瀬監督へ。2018年は8位で終える。2019年も間瀬監督が指揮を執るも、前年と同じ8位でシーズンを終えた。

迎えた、2020年。新監督に沼津から吉田監督を招聘し、サッカーもがらりと変わった。きっと沼津みたいなサッカーになるだろうと思っていたら案の定その通り。基本的に後ろから繋ぐということはない。なぜなら、吉田監督のサッカーは「パスの回数ではなくゴールに向かう回数を増やすサッカー」だからだ。前線めがけてロングボール。相手が持っているときはハイプレス。球際では相手選手よりも戦う。サッカーの本質というべきものを突き詰めたものだろう。J1で猛威を振るった鳥栖のようなスタイルに近いし、球際のバトルはシメオネのアトレティコのような匂いを感じさせる。前線の2枚の斎藤、中村のスプリント力は一度見てほしいものだ。

今まで積み重ねてきたスタイルからガラッと変わってしまい、寂しい部分がないといったら嘘になる。しかし、秋田県という土地の特性(毎年人口が減っていく)も加味すれば、1年でも早く上のカテゴリーにあがり定着しなければならない。そういったことも考えて、クラブとしては勝てるサッカーに移行するために、J3のライバル沼津から監督を引き抜いたのだろうか。だとすれば、正解だ。スタジアム問題を解決するためにも必要なのは結果。重い行政(ちなみに行政を批判しているのではない。特に知事なんかはものすごく真っ当な意見を述べている。)の腰を上げさせるのに最も有効なのは結果を出し、秋田県に経済で貢献することだ。だから、今年は必ず昇格しなければならない。そして、来年は山形や新潟(はさすがに昇格してしまうだろうか)にホームをジャックされよう。上がらないと見えない景色があるはずであり、秋田は一度その権利を手にしているのだ。目指すサッカーとは違ったものになってしまっていると思うが、クラブとしての方向性は絶対に間違っていないので、2020年は2度目のJ3優勝をして、来年J2へ。何連勝でもしましょう。

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