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2文字で変わる季節、春。

あんなに待ち遠しかった春。

藤井風さんの、「満ちてゆく」を聴いた途端、
今年の春が来たのを感じた。

でも待っていたのは思うような春じゃなかった。

不安と悲しみの春の訪れ。
昨日までは、桜を見たかった。
昨日までは、たんぽぽを探してた。
昨日までは、ぬくもりを求めた。

でも今は。
春なんて来て欲しくない。
春の歌なんて聞きたくない、聞けない。
一気に現実から目を背けたくなった。

18回目の春を迎えた僕。

17回目までの春は、
きっとあの待っていたような、美しい春だった。
18回目の春は、
今までの春ではなく、春と呼びたくない。

きっとそれは、
“別れ”の有無のはず。

17回目の春までは、
“出会い”。
18回目の春は、
“別れ” と “出会い”。

家族との別れ。
恋人との別れ。
仲間との別れ。
家と部屋との別れ。
故郷との別れ。
制服との別れ。
自転車との別れ。
母のお弁当との別れ。

あの人と、
あの場所と、
あの物と、
あの雰囲気と、
離れてしまうらしい。

春はどんな季節なんだ。

“別れ”
たったの2文字で、
春という季節を変えてしまうらしい。

今年の僕の春は、辛い。
みんなの春はどうなんだろう。
1人1人、違う春を迎えているはず。

今までとは違う春を迎えた。
そんな僕は、大人になっていくのだろうか。
あの人は、
あの場所は、
あの物は、
どうなるのだろうか。

フライトまで、あと2日。
春を迎えた瞬間から、
目の前の景色が変わった。
もっと大切に、そして大事に。
残された時間を。

春はどんな季節なんだろうか。

それは、
2文字で変わる季節。

僕は今日、そう思った。

みんなにとって春はどんな季節なんだろうか。

春なんて来るな。
もう一度、あの冬へ。

おでんを買って公園で食べた、
あの冬へ。
カイロに落書きして交換した、
あの冬へ。
一緒にマフラーを付けて下校した、
あの冬へ。
放課後震えながら机に向かった、
あの冬へ。
早く春よこいと願った、
あの冬へ。
こんな春が来るなんて思ってなかった、
あの冬へ。

戻って欲しい。

春について考えた今日、今。
春が来てしまったと感じた今日、今。
春なんて来るなと口にした今日、今。

これも人生だと思う。
出会いと別れ。
今回18回目の春は、
別れ の 春。

頑張ろう。
たまには戻ってこよう。
この街に。
あの人に会いに。

18回目の春を迎えた瞬間の記録。


P.S.
今年の桜の開花が遅いのは、

春を、別れを、

感じさせないためだったのかもな〜。


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