かかえた荷物を地球にあずける。 心が暗闇をさまよう前に。
自ら光りかがやき、強い重力で惑星を引きつける恒星は、
最期には自分の重力に押しつぶされ、ブラックホールと化す。
たくさんの惑う星たちを、
その大きなエネルギーで引き寄せ続け、
最期には自壊する。
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その姿は、外からの圧力と自責の念で、
潰れていく人間の心のようで。
言われた言葉を全て真正面から受け止めて、
自分を責めて、責めて、責めて、
心はどんどん潰れていく。
潰れた心はブラックホールのように、
内側に潰れつづけて、
逃げ場のない暗闇そのもののようになる。
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心が弱っている時は、
どんな言葉も、自分を責める言葉に聞こえてしまう。
「もっと強くなれ。」
「厳しい言葉を受け止めるしなやかさを持て。」
「気の持ち方次第で、楽になれるから。」
どれだけ思いやりがこもった言葉だったとしても、
励ましも、期待も、忠告も、啓発も、
全てを「重たい荷物」ととらえて抱え続ける。
そして、そんな自分をまた、責める。
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心がブラックホールに変わってしまう前に、
一体なにができる?
悩み続けたけど、答えは出せなかった。
そしてまた、そのことで自分を責める。
どうすれば楽になれる?
どうすれば、日曜の夜、安心して眠れるの?
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答えは出ない。
もう考えるのはやめだ!
混乱した頭のまま、
今まで受け止め続けて、増えに増えた
「重たい荷物」をぶん投げた。
その途端、体が、
少しだけ、軽くなった。
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そういえば、ここは地球の上だった。
暗闇だけがひたすら続く、宇宙ではない。
さっき僕がぶん投げた「重たい荷物」は、地面に落ちていた。
今、地球が、代わりに受け止めてくれている。
地球は想像している以上に力強かった。
僕らが抱えている、いろいろな重たい荷物を、
自身が暗闇を惑い続けているにもかかわらず、
なにも言わずに受け止めてくれる。
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消すことのできない重たい言葉や感情を、
地面に置いて、考えるのをやめる。
それが、いずれ考えるべきことであっても、
今考えたら心が潰れてしまうのだから、
1時間でも、1分でもいいから、地球に預ける。
もっと地球を頼ろう。
すぐそばにいるんだから。
僕が、あなたが、
明日を少しでも、
楽に生きていくために。
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