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カメラ選びとスタイルの確立について

今まで撮影機材については積極的にアウトプットしてこなかったのですが、ここ最近機材の入れ替えをしている最中、自身が求める情報があまりインターネットに多くなかったので、これを機にnoteで撮影機材についていろいろアウトプットしていこうと、撮影機材についてのマガジンを作ってみることにしました。
インターネットに貢献してみようってところです。

どうも、フリーランスでフォトグラファーをしているクロカワというモノです。

さて、今回は「カメラ選びとスタイルの確立について」ということで、カメラ選びに悩んでいる方向けに書いていきます。
カメラ選びに悩んでいる、というとカメラ初心者向けかと思われがちですが、今回はカメラ初心者だけでなくカメラを既に持っている方にも向けて書いてみます。

カメラの選び方 / カメラ初心者編

これからカメラを買って写真を始めたい、スマホでもいいけどやっぱりカメラが欲しい、そんな人向けのセクションです。

早速結論です。
基本的には「予算」「触ってワクワクするか」この2点で選ぶでいいでしょう。

まず、予算。
ここはもう個々人のお財布事情によるんですが、できるなら自身の予算の上限いっぱいで選ぶといいなと思います。
もちろん生活や支払いが破綻するようなことは避けてください。
余裕を持って買える金額のアッパーという意味です。

なぜか。
人ってのは怠惰なモノで「アレが欲しかったけどこっちの方がコスパいいし」などと考えてカメラを買うと、多くの場合「あっちのカメラだったらもっといい写真が撮れたかもしれない」という思いに駆られます。
そして結局買い換えるし、買って売っての差額分コスパが悪い。
僕も何度経験したことか。
もちろん性格もあると思うので一概に言えませんが、僕の基本スタンスは「機材はなるべくいいモノを使い、機材を言い訳にしない」なので、こういう結論にいたります。

迷ったら良い方を買え、結局それがコスパがいいと思います。

次にワクワクです。
写真というのは基本的に感性の世界です。
いろいろな理論・ロジック・知識はあれど、結局は「その写真は美しいか」という感性、自身がそう思えるかが根っこです。
完成豊かに撮影を楽しむのなら当然カメラも感性を刺激する、わかりやすくいえば「触りたくなる、シャッターを切りたくなる」そういうカメラを選ぶべきだと考えます。

まず店頭で触りましょう。
握って、構えて手の馴染みがいいか。触って気持ちの良い触感か。
シャッターを切って、その音にドキドキできるか。
持ち歩きたくなる軽さか、大事にしたくなる重さか。
人に自慢したくなるカッコ良さか、自分の服装や好みに見合うルックスか。
そういった視点で選んでいけばおのずとマイファーストカメラは素敵なカメラになるんじゃないでしょうか。

ここまできて、カメラのスペックの話がでてきていません。
なぜか。
もはや昨今販売されているカメラはどのカメラを買ってもある一定以上の写りをします。特に初心者の場合はスペック的に足りない、なんてことはほとんどないでしょう。
スポーツカーや鉄道や競馬やジェット機などを撮りたいだとか、水中で撮影したい、などはもちろんその範疇から外れてきますが、そういった特化したものを撮りたい人はそもそも色々調べているでしょうし、ここに書いた内容は既に知っているとおもうので除外します。

バッグの中にしまって1日カメラを出しませんでした、なんて勿体無いことが起こらないよう、触ってきもちのいい、人に自慢したくなるカメラを買う。
まずはここからだと思います。

カメラの選び方 / 買い替え編

ある程度写真を撮っていると、カメラを買い換えたくなるでしょう。
または何回目かのカメラの買い替えを既にしているでしょう。
ここでは2つのシチュエーションに分岐します。

1. 今のカメラに明確に不満がある
2. 良いカメラだと思うが自身のスタイルに合わなくなった

1の場合は不満を解消するカメラを買えば良い、以上です。
2が結構重要なターニングポイントです。
というのも2について自覚している人とそうでない人がいるからです。
「あれもこれも撮れる万能カメラ」を追い求めがちですが、実のところ「ほとんど花ばかり撮っている」「フードの写真ばかり最近撮る」など、写真をしばらく続けていると人それぞれ傾向が出てきます。
傾向が出てくるのに「あれもこれも撮れるカメラだと安心」となりがちです。
それも悪くはないのですが、個人的にはそういう人は特化型のカメラを選び始めても良い頃合いなんじゃないかなと思うのです。

SONYのカメラが分かりやすいラインナップです。
α7シリーズは...
α7系... バランス・コストパフォーマンス・万能型
α7R系... 高画素・高画質特化型
α7S系... 高感度・動画特化型
とざっくり分類されています。

FUJIFILMは
X-T系... バランス・万能型
X-Pro系... スナップ・フィルム趣向特化型

Leicaもバリエーションが多く
M系... スナップ特化型
S系... スタジオ特化型
SL系... 万能型
Q系... コンパクト万能型

コンパクトカメラでは
FUJIFILM X100系... スナップ・フィルム趣向特化型
RICOH GR系... スナップ・ポケットサイズ特化型
SONY RX100系... 万能・ポケットサイズ特化型

スタジオ撮影特化型では
Hasselblad H系、Phase One XF + IQ系
などなど

全てをあげるとキリがなく、厳密なジャンル分けも難しいですし論争巻き起こしそうですが、ざっくりとこんな形に分けていくことができると思います。

既にカメラを触っている人からしたら「知ってるよ!」と言われそうですが、知ってても特化型のカメラに踏み切れない人も多いのではないでしょうか。
X-Pro3の背面液晶が隠れるスタイルに戸惑ったり、ライカM型は高いけど不便さもあり躊躇したりなどなど、結構よく見かけます。

つまり何が言いたいのかというと、自分が撮るもの・スタイルを明確に定義できていれば迷わないはずということです。
逆を言えば、傾向は理解してても定義しきれていないとカメラ選びは迷いやすいということでもあります。

かく言う僕も迷う時はあります。
実際、ここ数ヶ月かなり右往左往しました。
前向きに言えば、ものすごい早さで試行錯誤を実践したとでも言いましょうか。

具体例としてベストかわかりませんが僕の例です。

◆3月時点
GFX50S 50Rを併用。
スタジオ撮影が主だったので機材の相性は良好だった。
しかし愛着としては薄く、HasselbladやPhase OneやLeicaのカメラに憧れがあった。

◆3月末
Leica SL2 + M10-Pへ買い替え。
中判デジタルからフルサイズへの移行に不安はあったものの
・使ってみなければわからない
・ライカ最高、かっこいい
という感性に身を任せた買い替えを実施

◆5月
SL2は外ロケ撮影では非常に満足したが、仕事のメインであるスタジオ撮影では中判カメラ(GFX)を使っていた感覚からすると、画質が足りないと感じた。
Capture Oneでテザー撮影ができないのは重々承知していたが予想以上にストレスだった。

◆6月
SL2をPhase One XF + IQ140に買い換え
テザー撮影・現像・データ管理をしているCapture Oneとの相性も抜群で、画質も満足。
そしてLeica M10-Pも思ったより使っていないことに気づく←現在

といった大変ハチャメチャなことになっていました。
自身のスタイルを、なんとなくの傾向ではなくしっかりと定義できていたら、おそらくGFXからPhase Oneのカメラに乗り換えていたんじゃないかと思います。
ちなみにLeica SL2とGFX50Sは画素数は大差がないです。でも画質は圧倒的に違いました。画素数じゃないんだなと思い知らされました。

...そしてM10-Pも買っていなかったんじゃないかと思ったりも。
というのも、僕は持ち歩けて最高に良い画質が得られる心湧き上がるカメラが欲しかったのだ。LeicaのM型は以前使っていたので思い入れもあるし、最新のM型を買うのは一つの目標であり憧れでした。
しかし、淡い憧れと自身のスタイルのズレを感じ始めたんですね。
これは先日外でスナップ撮影をしていてようやく明確に気づいたこと。
外でカメラを構えたとしても、スタジオと同じようにじっくりと構えて一枚一枚が作品たりえるように狙って撮るスタイルだと、気づいたんです。
反面、LeicaのM型は速写。マニュアルフォーカスなので一見じっくり撮るように思えるが、慣れたら街の一瞬の表情を切り取るような速写で生きるカメラ(とぼくは思っています)。
そういう写真も撮らないわけじゃないけど、撮ったとしても家に帰って現像するときに「ああ、ありがちだ」と既視感に苛まれてセレクトから外してしまいがち。(このスナップ写真における既視感との戦いは機会があれば別に記事にしてみたい)
近い将来、他のカメラに乗り換えることになるんじゃないでしょうか...

ただ、基本的には「気になったら買え、違ったら売れ、使ってみなきゃわからない。売買の差額は勉強代だ」というスタンスでもあるので、SL2を知ることができて、Leicaのこだわりや哲学にも触れられたので良かったと思ってますし後悔はないです。

自身のスタイルを明確に知ると、カメラとの合う合わないがはっきりと見えてくる。これ以外撮らない、というわけではないものの自分の主戦場はこうだ、と明確に自覚し定義することだと思う。そしてそこにハマる特化型のカメラを持つことでより写真に集中ができる。
「これを撮る」と決めるのもいいし「こういうのは撮らない」と決めるのもいい。選ぶも捨てるも結局は自身の得意が浮き彫りになればどちらでも構わないと思う。
いくらお高い、良いカメラだとしても、その「良いカメラ」が自分に「合うカメラ」だとは限らないんです。せっかくかった良いカメラだからと無理して使い続けるのは自分もカメラも不幸そのもの。
あくまでもマッチングの話なので、「悪い人じゃないけど合わなかった」みたいな甘酸っぱい別れもあるわけです。

自身のスタイルを定義して自覚できていないと、僕みたいにお高い金額のカメラを買って右往左往することになるぞ、というお話でした。

※ちなみにSL2もM10-Pも最高に良いカメラなのはいうまでもありません。

ではまた

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