(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
現代の知の巨人、ユヴァル・ノア・ハラリ3部作における最後の1冊。
第1作『サピエンス全史』では人類の過去が、第2作『ホモ・デウス』では人類の未来が対象となっていました。
第3作の本作では、人類の現在が対象となっています。
本書では、現代のグローバル課題が、多岐に渡って取り上げられています(最初の18章で、現代の課題に対しての考察が、最後の3章で、それらの重い課題に対して、取り得る行動が記述されています)。
まず、最初の18章のタイトル自体が非常に参考になります。
これらのテーマは、TVやネットでは切り取られた情報しか得られず、正しく認識するのが困難です。歴史や世界における位置付けを客観的に考察されているため、複雑なグローバル課題の理解を深められます(それだけでも、この本を読んで良かった)。
そして、最後の3章では、取り得る行動が考察されています。
結論としては、変化の中でサバイブできる教育を得ること、物語を生きないこと、瞑想(ひたすら自己を観察)することの3つの行動をすべきだと。
うーーーん、正直、これは難しくないだろうか笑(多くの人々にとって)
言わんとしていることは、”自分”で考えることが大事。このメッセージの意図は分かる。しかしながら、多くの人間が、(物語に頼らず、)自らの力のみで英知を導き出せるのだろうか…
では、どう考え、行動するべきなのだろう。
何となく、(個人の意見ですが、)アリストテレスの言う「フロネシス(実践知、知慮、賢慮)」に、可能性を感じました。
エピステーメ(科学的な客観的知識)だけでは、成果に繋がらない。
一方で、テクネー(アート・クラフト)だけでは、限界が来る。
だからこそ、理論と実践と混ぜ合わせ、弁証法的に答えを創り出すフロネシス(実践知)であれば、活路があるのではないだろうか。
もちろん、弁証法的思考・実践知自体、習得が簡単ではないです。アートの要素もあるため、論理的思考以上に難しい(特に再現性を作ることが)。しかし、フロネシスは、これからの時代の鍵になる気がしてなりません。
この数年、経営学・歴史に精通した野中郁次郎先生が、「フロネシス」を強調していたのは、きっと、この世界、この未来が見えていたんだろうなあ。
(野中先生の著作『知略の本質』は、「フロネシス」が取り上げられる数少ない書籍であり、とても示唆があります)
今回のメモの末尾として、ハラリさんが本書でちらっと書かれていた、”真実の見つけ方”のスタンスにハッとさせられました。
たまには、寄り道も大切だと。
P.S.
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