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週末読書メモ7. 『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

組織開発に関わる本として、Googleの『WORK RULES』とならび有名なNetflixの『NO RULES』。

いやー、凄い。これからの時代の経営者なら、知っておかなけばならない事が山ほどあります。


本書による学びは特に下の2点。

1点は、突き抜けた境地には、段階を経て至る、ということ。

もう1点は、情報革命以後、知的産業の時代における組織カルチャー・仕組みとはどのようなものか、ということ(特に、産業革命以後、世界を席巻した製造業の時代との違いに関して)。


前者について、Netflixでの注目されるカルチャー(承認プロセス全廃等)を、他社は全てを真似できない、いや、真似してはならないと思われます(上記のような自由度を最大限高めたカルチャーは、一日にして成し遂げられたものではないので…)。

著者であるNetflix創業者・CEO曰く、以下の3段階を経て、現在世間で取り上げられるような「自由と責任」を重んじるカルチャーを築き上げたと。

(※「自由と責任」のカルチャーへの3つのステップ)
■第1段階
・有能な人材だけを集めて、能力密度を高める
・フィードバックを促し、率直さを高める
・休暇、出張、支出に関する規定など、コントロールを撤廃していく

■第2段階
・個人における最高水準の報酬を払い、能力密度を一段と高める
・組織の透明性を強化して、率直さをさらに高める
・意思決定の承認を不要とするなど、もっと多くのコントロールを廃止していく


■第3段階
・キーパーテストを実施して、能力密度を最大限高める
・フィードバック・サイクルを生み出し、率直さを最大限高める
・コンテキストによるマネジメントで、コントロールをほぼ全廃する


著者の「ネットフリックスは何年にも渡って試行錯誤を繰り返し、徐々に進化していき、ようやく正しいアプローチを探り当てた。」という言葉を、読者は見逃してはなりません。Netflixは、ケイパビリティ・兵站を段階的に高めていったからこそ、今の境地に至れたと考えられます。

ゆえに、Netflixの事例・施策を参考にする際は注意が必要です(自社にそのケイパビリティ・兵站はあるのか、何からやるべきか、を問わなければなりません)。


しかし、いきなり全てを真似することは出来なくても、これから何を考えるべきか、何をやるべきか、どう進めるべきかのヒントは溢れています。

率直さを高めるためのフィードバック・サイクルや、新しいことを根付かせるためのリーダーシップのとり方(率先垂範や、人間理解と厳しさの徹底)等は、どんな規模の会社でも活かすことはあるはずです。


話を戻し、後者については、製造業の時代と知的産業の時代では、人材・組織の要件が変わったことを突きつけられます。

Netflixでは「自由と責任」を元にしたカルチャーを築き上げられていますが、これは製造業の世界では必ずしも適しません。なぜなら、製造業の世界は、製品のバラツキを無くすこと、大惨事に繋がるようなミスを防ぐことが不可欠だからです。

そのような世界で求められるのは、「ルールと手順」。これは、知的労働者が求める「自由と責任」とは対極にあります。

しかし、これからの世界を席巻するのは、知的産業・知的労働者というのは不可逆なはず。

読後、そのような世界の中、製造業の世界に身を置く者として、どのようなカルチャーを作り上げていくべきか、という問題意識を持つことができます(なお、著者も、「自由と責任」と「ルールと手順」は、どちらか片方だけにすべきものではなく、業務によって使い分けるべき、と述べています)。


最後に個人の感想として、製造業の中でも最もレガシーな1次産業(農業)に身を置く者としては、現実とのギャップに胸が痛くなる箇所もちらほら…

しかし、「ローマは一日にして成らず」という言葉があるように、倦まず弛まず世界との差と向き合う覚悟、そして産業の伸び代を再確認できるような一冊だったと思います。


【本の抜粋】
プロセス(手続き)より社員を重視する、効率よりイノベーションを重んじる、そしてほとんど制約のカルチャーである。
私たちのカルチャーは「能力密度」を高めて最高のパフォーマンスを達成すること、そして社員にコントロール(規則)ではなくコンテキスト(条件)を伝えることを最優先している。

一般的に企業がルールや管理プロセスを設けるのは、社員のだらしない行為、職業人にふさわしくない行為、あるいは無責任な行為を防ぐためだ。
だがそもそもそのような行為を働く人材を採用せず、会社から排除できれば、ルールは必要なくなる。優秀な人材で組織をつくれば、コントロールの大部分は不要になる。

有能な社員が当たり前のようにフィードバックをするようになると、全員のパフォーマンスの質が高まるとともにお互いに対して暗黙の責任を負うようになり、従来型のルールはますます不要になる。

率直なカルチャーとは、相手にどんな影響を及ぼすかなど気にせず、思ったことを口にしていい、ということではない。

リード自身が範を示していることが、ネットフリックス全体で無制限休暇の仕組みがうまくいっている重要な要因だろう。

与えられた自由を悪用する社員がいたら、解雇しなければならない。
それも悪用した場合の報いが他の社員にはっきりとわかるように処分する必要がある。

産業革命は過去300年にわたり、世界の主要な経済大国の原動力となってきた。だから大量生産、ミス防止型の製造業の経営パラダイムが産業界を支配するようになったもの当然と言える。
製造業では製品のばらつきをなくすことが重要なので、マネジメント手法の多くはそれを念頭に考案されてきた。

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