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週末読書メモ10. 『爆速成長マネジメント 』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

とにかく具体的かつ実践的。

元々のタイトルは『HIGH GROWTH HANDBOOK』となり、売上や従業員数の桁が変わるような会社を成長させている/させようとしている人は必見(成長速度に関わらず)。


著者・15名ものインタビュー相手が、実際に起業・経営・スケール経験者なのが本書の大きな価値となります。内容の具体性・解像度が、世の中に溢れている経営書とは一線を画していました。

本書の特徴は、内容の大部分が、下のような極めて具体的なTIPSとなっていること。

※例1「CEOがやるべき最重要なことのひとつは、無駄な時間にはっきりとノーということだ。」
・カレンダーの振り返りで洗い出した社内会議
・朝6時開始の商談
・あらゆるメディアへの露出
・あらゆるイベントへの登壇
・過剰なネットワーキング
・必要のない資金調達活動

※例2「取締役の席は一度与えたら取り上げるのが極めて難しいため、慎重かつ計画的に次の手順の実行をお勧めしたい。」
1 「採用」条件を明確にする。
 ・経験
 ・爆速成長企業への関与(理想は創業者であること)
 ・地頭と知性
 ・事業センスと戦略センス
 ・起業家フレンドリーな姿勢
 ・投資家/VCへのリスペクト
2 「採用」条件について投資家と合意する
3 候補者リストを作成する
4 候補者をよく知るための時間を惜しまない
 ・会社の向かうべき方向性を話し合う
 ・どう貢献してもらうかを話す
 ・目標や展望について話し合う
 ・具体的に何かを頼んでみる
5 個人的な信頼関係と姿勢を確認する
6 ビジョンに沿っているかを確認する
7 リファレンスチェックをかける
8 最終決定する

これは経験した者にしか分からないですが、物事が新しい段階に突入する際、膨大で複雑な課題の渦に呑まれます(もう間違いなく)。

それも何が大変かというと、それらの課題を事前に想像しきるのが困難であり、カオスで破滅的な状況になること(それまで直面することの無い課題が大部分を占めるため)…

本書では、”何が起きうるか”、”どうすべきか”が、戦術レベル(戦略ではなく)で、かつ、事細かにケースごと書かれているのが素晴らしいです。

本書を通し、未来を先読みできるだけでなく、その状況になった時にどうすべきかのヒントが得られました。


内容として、テック企業特有のこと、アメリカ特有のこと、スタートアップ特有のことが何箇所かあります。

しかし、CEOの役割や取締役会・経営チームのマネジメント、人材採用の部分は、どんな会社であっても共通すると考えられます。


農業かつ地方というフィールドだと、本書のような爆速成長は難しいけれど、きっと同じような困難や混乱に直面する日が来るはず。

手元に置き、何度も見返したい。


【本の抜粋】
あなたの会社の爆速成長フェーズが大混乱で、毎日怖くてストレス満載の破壊的な状態だと感じているのであれば、それは良い報せだ。誰もが一回目は同じことを思っている。

会社の拡大に合わせ、CEOの役割も変えなければならない。CEOが必要とされる領域は非線形的に増えて行き、社員、顧客(B2B事業ならことさら増加)、投資家、メディア、他の起業家や様々な外部の利害関係者が話をしたいと言ってくる。
CEOの責務として、自身の時間で最もレバレッジが利くものを判断しなければならない。そのためには「ノー」をたくさん言えるようになるのが重要だ。

スタートアップの成長とともにCEOが直面する想定外な変化のひとつは、CEO固有のタスク内容が激変することだ。
(中略)辛いことだが、組織を成長させ続け、CEOとして次の段階に進むには、これまで重要だと感じたり、やりがいを感じていたりした領域を手放さなければならない。

創業者が自身の取扱説明書を用意することを推奨したいです。創業者の役割が何かを明確にするためにも重要だと思います。創業者が何に興味があるか、何を求めているか、好ましいコミュニケーション手段は何か、いら立たせるものは何か、常に情報を得ておきたい業務領域は何か。これらが事前にわかると、非常に仕事がしやすくなります。

取締役の陣営は、会社のミッションと方向性に強く賛同し、目的に向かって共に歩める人物で揃えるのが望ましい。嵐の時にも平静で、実務アドバイス、財務専門知識、人脈やその他のスキルを提供でき、ハイパフォーマンスかつ精力的な人物が理想だ。
並行して、民族、性別、性的嗜好などに多様性がある編成にすると、会社にメリットがもたらされる。採用、ロールモデルやメンターの獲得、会社のネットワーク拡大、観点や視野の拡大などは多様性によって良い効果を得られる領域の例だ。

会社がスケールするのに伴って直面する最大の課題は、社員の採用方法と入社後研修の見直しだ。

採用を成功させるために仕組みをつくることも重要だが、失敗についても心の準備をしておこう。
(中略)逆に、これまで失敗を恐れた創業者たちが採用に時間をかけすぎた例を私は何度も見てきている。創業者は失敗した時にはすぐに対応することを前提に、採用ミスも覚悟しておくべきだ。当然、失敗回数は少ない方が望ましいが、やはり起きてしまう時は起きてしまうし、その時の立て直しこそが重要だ。

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