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週末読書メモ24. 『メディチ・インパクト』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

タイトルから想起するイメージを、良い意味で裏切られます。

一見、ルネッサンスに関わる歴史物かと思いきや、本書の主題は「イノベーションをいかに起こすか」にあります。

本書の結論は、”革新的なアイデアは、「交差点」(異なる分野や文化が出会う場)で生まれる”と言います。

この結論自体は、決して真新しいものでは無いように感じます。ですが、本書の魅力は、交差点でのイノベーションを起こすにあたり、こと細やかにその段階・勘所を体型系に説明していることです。

(タイトル)
第Ⅰ部 交差点
 第1章 イノベーションが生まれる場所
 第2章 交差点が生まれるとき 
第Ⅱ部 メディチ・エフェクトを生み出す
 第3章 垣根を取り払う
 第4章 連想のバリアを壊す
 第5章 偶発的な概念の組み合わせ
 第6章 偶発的な組み合わせを見つける
 第7章 アイデアの爆発に火をつける
 第8章 爆発をわがものにする
第Ⅲ部 交差的アイデアを形にする
 第9章 失敗を乗り越えて実行せよ
 第10章 決してひるまず、成功へと前進する
 第11章 既存のネットワークから飛び出す
 第12章 ネットワークからの脱却
 第13章 リスクを引き受け、不安に打ち克つ
 第14章 公平な目でリスクを測る
 第15章 交差点に踏み込め

(抜粋「第4章 連想のバリアを壊す」)
連想のバリアを壊すことは、交差点を見つけるうえでまず最初にクリアすべき課題である。
(中略)連想のバリアを壊すことに成功した人には、次のうちいずれか(複数でも)に当てはまるという共通点がある。
・さまざまな文化にふれた経験
・既存の教育にはない学び方
・思い込みを逆転する
・違う視点に立って物事を見る

(抜粋「第15章 交差点に踏み込め」)
新しい未来を創造する道はそれしかない。未来は交差点にある。もしあなたが未来の創造に加わりたいなら、目指すべきは交差点である。
・予期せぬことを予期せよ ー 交差点はいたるところにある
・交差点にも論理はある ー だがそれは必ずしも単純明快ではない
・思いきって跳べ

上記のようなタイトル、その節々の要旨の枠組みに、思わず膝を打ちます。


アイデアの創造法としては、名著と呼び声高い『アイデアのつくり方』でもアイデア創造の全過程が記されていました。

アイデアが作られる全過程・方法
第一 資料集め ー 諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と
第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること
第三 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
第四 アイデアの実際上の誕生。〈ユーレカ!分かった!みつけた!〉という段階。そして
第五 現実の有用性に合致されるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。

これも本質を捉えています。ですが、本書では、さらに具体的に、かつ、複数人での方法論が記されており、更に実用性が高いと思われます。

よくもまあ、不確実性の高い事象をここまで言語化・体系化できるなあ…


この本を読み、"不確実なものを掴む力"が、今いる先の世界に行くための鍵だと改めて感じます。

運しかり、イノベーティブなアイデアしかり、どちらも、Aをやれば必ずBに繋がる、と確証されているものではありません。

だからこそ、不確実なものをいかに掴むか。100%掴めるものでない、けれど、その確率を上げる方法は確かにあると。

「予期せぬことを予期せよ 」。この言葉を大切にしていきたい。


【本の抜粋】
実は〈ピーターズ・カフェ〉のような場所がもうひとつある。だがそれはアゾーレス諸島ではなく、私たちの頭のなかにある。それは異なる文化、領域、学問が一ヵ所に収斂する場所だ。そこでは既存の概念がぶつかり合い、融合して、最終的にいくつもの新しい画期的なアイデアを生み出す。

連想のバリアを壊すことは、交差点を見つけるうえでまず最初にクリアすべき課題である。
(中略)連想のバリアを壊すことに成功した人には、次のうちいずれか(複数でも)に当てはまるという共通点がある。
・さまざまな文化にふれた経験
・既存の教育にはない学び方
・思い込みを逆転する
・違う視点に立って物事を見る

重要なのは、複数の文化にさらされた人間は、ただ単に複数の見方に立ってある問題に対処できるということではない。というより、そういう人間は特定の物の見方にこだわらないということなのだ。ある問題に対するアプローチが複数存在することを知っているから、どんな状況にあっても多様な観点からそれをとらえようとするのである。
(中略)そうした人間は伝統やルール、そして境界線に対して疑問をもち、ほかの人びとには思いもつかないような答えを求めようとする傾向が強い。

多様な人間で構成されるチームのほうが、ユニークなアイデアを生み出す確率が高いことに疑いの余地はない。ここで多様というのは単に専門分野だけでなく、文化、民族、地理的背景、年齢、性別などの点での多様性も含んでいる。チームのメンバーが多様であれば、異なる視点やアプローチ、考え方などが出てきやすいし、予測不能な概念の結びつきが生まれる可能性が高まることも証明ずみだ。
(中略)そして一度でもチームの多様性が生む革新的なパワーを体験した人は、多くの場合、あらゆる手を尽くして多様性を奨励しようとする。

その特徴とは、もっとも成功したイノベーターは途方もなくたくさんのアイデアを生み出し、そして実現する、というものだ。
アイデアの質ともっとも強力な相関関係にあるのは、驚くなかれ、アイデアの量である。

交差的アイデアの特徴のひとつは、開発のプロセスでなされる想定の多くが間違っているということだ。だから失敗を予想するだけではなく、予定しておくことが必要なのである。
(中略)しかしこの方法を取るには、リソース ー 資金であれ時間であれ、評判やコネ、権力 ー 周到に確保しておく必要がある。

すべての事柄はなんらかの形でつながっている。要はそのつながりを見つけ、それをどう活用するかを考え出すことだ。
(中略)本書のアドバイスの大部分は、煎じ詰めれば「予期せぬことを予期せよ」ということだ。

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