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週末読書メモ149. 『戦争の変遷 』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

「知識を持っていることと、知識を理解していることには大きな差がある。そして、無知であることと知識を持っていることには、さらなる大きな差がある」

歴史を学ぶこと、それにより世の中の本質も知る1冊。


軍事史および戦略研究家の世界的権威マーチン・ファン・クレフェルトさん。多作な彼の中でも名著なのが本作『戦争の変遷』。

誰が戦うのか。戦争とはどういうものなのか。どのようにして戦うのか。何のために戦うのか。なぜ戦うのか。そして戦争の将来とは。

これらの問いに対して、古今東西の戦争を精通した氏だからこその内容が綴られています。


大規模な通常戦争は確かに消滅しつつあるのかもしれない。しかし、戦争そのものは健在であり、新たな時代を迎えようとしている。

すでに今日、もっとも強力な最新鋭の軍隊は現代の戦争とほとんど無関係な存在になっている。

変遷という観点からいうと、第一次・第二次世界大戦頃の戦争と、現代の戦争では、様変わりになったと言います。

その際たる原因は核爆弾。その地を、その国を終焉にもたらすほどの威力。

また同時に起きたのは、武器の超高性能化と脆弱性。ゆえに、低強度紛争の復活、そして、非三位一体の争いの時代になったと。

※三位一体:クラウゼヴィッツは、近代国家間の戦争とは、「政策を追求する国家」「それを実行する軍隊」「熱狂的に戦争を支持する国民」

戦争という分野においても、その在り方は普遍ではないことを感じます。


クラウゼヴィッツによれば戦闘力にとって主要な二つの障害は、不確実性と摩擦である。ここに硬直化を加えてもよかったかもしれない。そうすれば古くから軍隊を悩ませている三大要素がそろう。

戦争とは明らかに、何からの組織に基礎を置く社会的な活動である。
(中略)権力を行使する立場にあるからといって、その人たちが感情に左右されない計算機のように行動すると考えるほど馬鹿げた話はない。実は彼らも我々と同様、分別のない人間である。

戦争の非普遍性を説いた上で、その根底にある普遍性を述べます。

不確実性と摩擦と硬直化。

何からの組織に基礎を置く社会的な活動。

これは戦争に関わらず、人が介在する営みにおける真実とも感じます。


「知識を持っていることと、知識を理解していることには大きな差がある。そして、無知であることと知識を持っていることには、さらなる大きな差がある」

変わるものと変わらないもの。戦争の変遷(歴史)というテーマから、それを感じ取ることも出来る名著。


【本の抜粋】
大規模な通常戦争は確かに消滅しつつあるのかもしれない。しかし、戦争そのものは健在であり、新たな時代を迎えようとしている。

すでに今日、もっとも強力な最新鋭の軍隊は現代の戦争とほとんど無関係な存在になっている。

その新しい武器は有用であるかもしれないし、そうではないかもしれない。だが、新しい武器が採用されれば必ず、戦争はどのように戦うべきか、いやそれどころか戦争とはどういうものかについての伝統的な考え方を無効にする恐れがある。

神は今も存在するかもしれないが、戦略問題の文献に神が滅多に登場しないことから判断すると、神は顔をそむけている。信仰の崩壊と、罪の償いのための宗教上正当と認められる儀式の欠如は、人々が宗教・道徳上の罪と折り合うことを非常に難しくしている。

クラウゼヴィッツによれば戦闘力にとって主要な二つの障害は、不確実性と摩擦である。ここに硬直化を加えてもよかったかもしれない。そうすれば古くから軍隊を悩ませている三大要素がそろう。

結局、戦略だけでも、戦略と詐欺師や女たらしに共通するずる賢さの組み合わせも、戦争を戦うにはじゅうぶんではない。戦争には資源を集め、強力な軍隊を創り、重要案地点に集中させ、敵に大打撃を与える以上のことが関わっている。
(中略)戦略が関わってくる以前に、戦争は死の舞踏なのだ。

戦争とは明らかに、何からの組織に基礎を置く社会的な活動である。
(中略)権力を行使する立場にあるからといって、その人たちが感情に左右されない計算機のように行動すると考えるほど馬鹿げた話はない。実は彼らも我々と同様、分別のない人間である。

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