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週末読書メモ133. 『ジャン・クリストフ(1)』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

いずれの国の人たるを問わず、苦しみ、闘い、ついには勝つべき、あらゆる自由な魂に、捧ぐ。

名作。


『ジャン・クリストフ』。これは、20世紀初頭、フランスが生んだ文豪ロマン・ロランの代表作。彼が、10年の年月を投じ、描き上げた大作。

「あらゆる国の悩み、闘い、それに打ち勝つ自由な魂たち」へ捧げると。

ベートーヴェンをモデルにした主人公の生涯を、(精神面を含めて)克明に描いた作品。全4巻、約2,000ページ、100人を超える人物が出る超長編作。まずはその第1巻となります。


苦しめ!もっと苦しめ!…ああ、強いことはなんといいことだろう!強くて苦しむことは、なんといいことだろう!…

人生は容赦なき不断の争闘であって、一個の人間たる名に恥ずかしからぬ者となることを欲する者は、眼に見えない数多の敵軍、自然の害力や、濁れる欲望や、暗い思考など、すべて人を欺いて卑しくなし滅びさせようとするところのものと、たえず闘わなければならないということを、彼は知った。

まず驚いたことが、内容が全然明るくないこと!笑

家族・友人、良く言えば人間らしく、悪く言えば癖だらけの登場人物たち。

終始不幸が重なる中で、少し状況が好転したかと思えば、急落下を繰り返し。しかし、その中で、信念(音楽への情熱)を失わず、歯を食いしばりながら、主人公は成長している姿が描かれています。

「死すべき汝は死へ往け!苦しむべき汝は苦しみへ往け!人は幸福ならんがために生きてはいない。予が掟を履行せんがために生きているのだ。苦しめ。死ね。しかし汝のなるべきものになれーー1個の人間に。」


第1巻時点で、筆者が幾度も強調すること、それは「足るを知る」「自分のベストを尽くす」ことです。

「そんなことはこんどきりじゃないよ。人は望むとおりのことができるものではない。望む、また生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝腎なことは、ねえ、望んだり生きたりするのに飽きないことだ。その他のことは私たちの知ったことじゃない。」

「その日その日を愛し、尊敬し、ことにそれを凋ませず、花を咲かすのを邪魔しないことだ。今日のようにどんよりした陰気な一日でも、それを愛するのだ」

19世紀から20世紀の移り変わりを生きた筆者ロマン・ロラン。

18世紀から19世紀に起きたフランス革命により、フランス国内に大転換があり、世界が新たなものへと変わり、更に激動の時代であったことは考えるに及びません。その上、第一次世界大戦というヨーロッパを中心として、世界が戦禍に包まれたわけで…

個人の力を超えた時代の変化。その激流において、人はいかに闘い、生きるべきか。そんなメッセージが、この物語の中では垣間見ます。

「私が想像すると、英雄というのは、自分にできることをする人だ。」

為すべきことを為せ、と。(たとえ、どんな状況であっても)


トルストイやドストエフスキーを彷彿させる超大作。

残り3巻。少年・青年時代を経て、主人公ジャン・クリストフがどんな生き様を遂げるのか。そして、筆者ロマン・ロランは読者に何を語り切るのだろうか。


【本の抜粋】
幼年のころから早くも死の恐怖に襲われるほど強烈な感受性と、何物もはばむことのできないみちあふれた生命の力とを、彼は具えていた。その感受性は、眼に見えるものより眼に見えざるものへと探り入る時、独特な音楽の才となって現れた。

苦しめ!もっと苦しめ!…ああ、強いことはなんといいことだろう!強くて苦しむことは、なんといいことだろう!…

人生は容赦なき不断の争闘であって、一個の人間たる名に恥ずかしからぬ者となることを欲する者は、眼に見えない数多の敵軍、自然の害力や、濁れる欲望や、暗い思考など、すべて人を欺いて卑しくなし滅びさせようとするところのものと、たえず闘わなければならないということを、彼は知った。

「死すべき汝は死へ往け!苦しむべき汝は苦しみへ往け!人は幸福ならんがために生きてはいない。予が掟を履行せんがために生きているのだ。苦しめ。死ね。しかし汝のなるべきものになれーー1個の人間に。」

「そんなことはこんどきりじゃないよ。人は望むとおりのことができるものではない。望む、また生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝腎なことは、ねえ、望んだり生きたりするのに飽きないことだ。その他のことは私たちの知ったことじゃない。」

「その日その日を愛し、尊敬し、ことにそれを凋ませず、花を咲かすのを邪魔しないことだ。今日のようにどんよりした陰気な一日でも、それを愛するのだ」

「私が想像すると、英雄というのは、自分にできることをする人だ。」

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