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週末読書メモ4. 『チームが機能するとはどういうことか 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

本書は、「チーミング(学習と実行を両立するために必要なプロセス)」、そして、「学習するための組織づくり」・「学習しながら実行する」方法が書かれた3部構成となっています。

昨今、ティール組織、心理的安全性、サーバント・リーダーシップ等々、これまでとは異なるスタイルの働き方・リーダーシップが様々なワードで飛び交っています。

しかし、なぜ従来のスタイルでは行き詰まるのか、なぜフラットさというのがこれ程にも声高く話題になっているか、正直、腹落ちしきれていませんでした(今までの否定も少なくないため)…

本書は、そうした認識を持っている人に答えを示してくれました。


その背景にあるものは、現代社会そのものでした。

社会の進化により、知識社会に移行し、情報が組織の命運を分けるようになりました。そして、肉体社会・技能社会とは比べ物にならない複雑な知識社会が、グローバル化による多文化の混合で、さらに拍車をかけていっていると。


そのような複雑な社会では、「何かを達成するには、さまざまな分野から情報を得て、プロセスを洗練する必要」と明言されています。これは、本当に芯を食った提言だと思います。

本書では、この提言をもとに、必要となるプロセス(チーミング)、必要となる組織づくりの方法、必要となる実行方法が、事細かに、構造的に示されています(詳しい内容は、ここでは書ききれないので、気になった方は実際に読んでもらえたら嬉しいです)。


1世紀以上前に、1次産業(農業)主体の社会が2次・3次主体の社会に変わったのと同様の(またはそれ以上の)変化が差し迫っているようです。

社会の変化に伴い、人々にも変化が求められます。

著者は、その具体的に変化に必要な方法も書いている一方、それはこれまでのスタイルに慣れた人には容易では無いことも言っています。


400頁近い本書を全員に読んでもらう・理解してもらうのは、現実的には難しいかもしれないけれど、たった一人からでも変わり、さらに、一歩一歩でも組織を変えていくことは、可能なはず。

(※なお、約100年前に山本五十六が言った下の言葉は、現代の本書の内容にかなり通じます)

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。


本書後半にある、業務を「ルーチン業務」・「複雑な業務」・「イノベーションの業務」の3種に分類し、その特性、管理の焦点、組織学習の目標、組織学習に必要ツールを構造的に整理している部分も素晴らしいです。

良本40〜50冊の中でも1冊、心打たれるような本がありますが、本書はそれに含まれるほどの内容でした。

本書のの内容をこの先10年の指針にして、家業(農業)でも試行錯誤していきたいです。


【本の抜粋】
本書が「タイムリー」であるのはなぜだろう。それは世の中がますます複雑で多文化的になってきているからである。
複雑さは、あらゆる分野の科学、工学、マネジメント、組織開発において技術的進化がなされた結果として生じている。
それはつまり、技術的に複雑な社会において何かを達成するには、さまざまな分野から情報を得て、プロセスを洗練する必要があるということだ。

階層のフラット化やリーダーシップの分散について考えていると、強いリーダーシップの必要性が薄れてきている気がするかもしれない。
実際には、本書の至るところで述べるとおり、その逆が真実だ。
チーミングという活動ーリスクを負う、失敗と向き合う、境界を超えるーは、大きな組織において決して当たり前の行動ではない。
つまり、今日のような複雑で絶えず変化する環境においては、かつてないほどリーダーシップが必要になっているのである。

個人にとってもグループにとっても、学習は情報や理解や能力を得るための活動的なプロセスだ。
期待される結果を生み出すために行動・評価・修正をする、活動と省察のプロセスでもある。

チーミングを行ううえで、難しくても絶対に欠かさない行動は、失敗から学ぶことである。

研究によって、心理的安全がイノベーションに不可欠であることもはっきりした。率直に発言する不安が取り除かれると、革新的な製品やサービスの開発に欠かせない、斬新なあるいは型破りなアイデアを提案できるようになるのだ。

学習しながら実行するとは、組織が学ぶと同時に前進できるようなやり方で活動することだ。

学習しながら実行する姿勢を採り入れようとしているときには、費用や不確実性や学習の遅れを受け容れる必要がある。

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