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資格の需要

「簿記よりFPのほうが需要あるのでは?」という趣旨のツイートを元に書いた記事を見た。(以下リンク)
お金に生きる:最強コスパの資格は簿記2級だと私が考える理由。

経理実務経験者(FP資格(AFP認定者)も保有)の自分から見ても、確かに間違ったことは言ってないのだけれど、大元のツイートが学生発信ということもあり、別のことも気になったりしたのでそのことについて記載する。

・簿記とFPの学習内容の違い

 そもそも簿記とFPは、学習範囲が似て非なるものとなっている。(そうでなければ違う資格にする意味がないので)
 日本商工会議所によると簿記は「企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能」とされている。経済活動を行った際、帳簿というものに記載が必要となるが、その帳簿への記載方法を学習することになる。よく「簿記を学べば、財務諸表が読めるようになる」と言われるが、これは語学で言うところの「書けるなら読めるでしょ」と同じようなものと捉えている。
 対してFPは「一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家」(日本FP協会より)のことであり、その資格の学習範囲は大きく6つ(ライフプランニングと資金計画・リスク管理・金融資産管理・タックスプランニング・不動産・相続および事業承継)とお金の絡む幅広い事象について学習することになる。

・新卒で簿記を活かすのは難しい

 ここからは自分の体験を振り返りつつ、2つの資格を比較してみる。確かに両方とも「必要性の高い資格」の一つとして人気が高い。学生のうちにとる方も多いと思うが、簿記については、新卒で直接活かせる業種・職種につくのは難しいと考えている。
 簿記を活す業種で言えば、会計士・税理士がはじめに挙がるが、さすがに高い壁となることは必至で挑戦にはかなりの覚悟が必要になる在学中に取得するなら、なおのこととなる。一方で、職種で考えれば、事業会社の経理担当や金融関連職種(融資や資産運用ほか)となるが、これらは新卒採用として考えると営業や生産などと比べてかなり少ない。自分の経験した経理担当で言えば、中途採用でも大半が応募条件に経験必須を謳っている。
 なので、簿記は新卒で活かして働くにはすこしハードルが高いと考えている。

・新卒ならFPの方が良いか

 一方でFPは直接活かせる業種・職種が多い。保険外交員・不動産販売業・金融機関ほか、広く存在している。保険募集人や宅建、証券外務員など業務に必要な資格も出てくるが、新卒には必要とされない(キャリアアップには必要)ことが一般的で、募集が多い。
 また、一般的にFPを活かす職業は販売(営業)活動を主とするものが多く、経理などの「デスクワーク」とはすこし離れた業務が多くなり、当初とイメージと若干異なることがあり得る。

・その資格は使えるか?

 簿記・FPに限らず、資格は自分の将来像を見据えた上で、とるのが良い。「面接で有利だから」、「コスパが良いから」など様々な動機があるが、活用できず、評価もされない資格は(自己満足を除き)取得する価値が低い。
 「将来、経理担当や会計士になりたい」、「お金について詳しくなりたい」など、動機を明確にしないと仮に取得しても、その後のアクションがなくなってしまう。取得しただけで使えない資格を「死格」というようにもなっている。
 大元のツイートに照らして言えば、好奇心だろうが、将来のためだろうが、その資格の取得目的をはっきりさせたい。「需要」という言葉を使っていることから考えれば、業務に活かしたいということなのだろうが、その職業に興味がないのに、取得するのは徒労に終わるので、「とりあえず」でとるのはやめた方が良いように思った。同時に資格の需要ってのは社会に求められてるかどうかでなくて、本人の取りたい気持ちのことを言うのではないかなと感じた。

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