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「寿司の国」問題


数日前のニュースが気になってたんです。ちょっと考えをまとめてみたい。


FC東京からドイツのブンデスリーガ2部・ハノーファーに移籍した日本代表の室屋成選手。3/6に行われた試合にて、室屋選手のシュートが外れたことに対して解説者のヨルグ・ダールマン氏が「入ればハノーファーでの初ゴールとなっていたでしょう。彼が最後にゴールしたのは寿司の国(land der sushis)でのことでした」とコメント。室屋選手が最後にゴールしたのは寿司の国・・・・つまり日本(=Jリーグ)だよ、ってことを独特の言い回しで表現したわけです。


しかし。この発言が大炎上してしまうのです。

「これは日本人への差別だ!」「他の人種をモノ扱いするなんて」「白人至上主義だ」などと激怒する声が沸き起こる。対して「ドイツ人はイモの国と呼ばれて怒るのか」「なら、フランスはワインの国だ、それと同じこと」という意見も見受けられ、賛否両論状態に。

びっくりしたダールマン氏は「私が日本のことを寿司の国と見なせば、それは人種差別になるのか? そんなことはあり得ないだろう?」と反論。これがまた火に油を注ぎ、もともと舌禍癖のあったダールマン氏は解説者の職を追われてしまうことに 。(※ウニオン・ベルリンのGKロリス・カリウスとそのパートナーへの侮辱発言も遠因であったとか)


日本での反応は平和なもんで「え?寿司が世界で認められてるからいいんじゃね?」「むしろ誇るべきことでは?」「別に差別とは捉えない」「問題ない」と言うような意見が多数を占めております。日本人と見るや「スシ!ニンジャ!サムライ!」と囃し立てる風潮にはちょいとイラっとするのが僕の本音ですが、まあここは大らかに構えましょう。



正直、昨今の「ポリコレが正義!」とする思想は確かに過剰に思えるときがある。「Black Lives Matter」活動を例を挙げるまでもなく、人種・性別・民族・宗教の違いに伴う差別の根絶にはおおいに賛同したいのだが、いかんせん極端に振れすぎているなと感じることが多い。日本のSNSで見受けられる右向きの国粋主義者さんたち(なぜかトランプ支持)も同じ。


10年以上前に高原直泰選手がブンデスで活躍していたときに「スシボンバー」と呼ばれてたんだけど、当時はドイツ国内から「差別だ!」と異論が起こるなんてことは全く無かったと記憶しています。「スシボンバー」には多少の日本人蔑視の含みがあったようにも思う。


なので今回、ヨーロッパの人々が、アジア人選手への発言を「(内容は深刻なものではなかったにしろ)差別だ」と問題視したのがちょっと驚きなんである。


ダールマン氏の解雇にまで至った結末は極端ではあるけれど、このように過剰ともいえる行動を起こしてこそ、ようやくバランスが取れるのかもしれない。そして、「差別はやめようぜ」という姿勢が当たり前になり、徐々に反応が穏やかになっていくのかも。


10年、20年後の世界には期待してもいいのかもしれない。



と、感じたニュースでした。

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