見出し画像

【3053字】2024.07.11(木)|「この梅雨前線が!!!」

ヤクルトの本拠地・神宮球場で予定されていた阪神戦が、降雨のため中止となりました。

ヤクルトの試合が中止になるのは、4月24日以来の3度目となります。

前日の広島戦で逆転サヨナラ負けし、4連敗中のヤクルトは、この日チーム最多の5勝をあげている吉村貢司郎投手が先発に上がる予定でした。首位とゲーム差3.5の阪神の予告先発は西勇輝投手でした。

SNSでは「何のために日々仕事頑張ってると思ってんだこの梅雨前線が!!!!!!」「梅雨と被ったからしゃあないとはいえ悲しい」とコメントが寄せられました。

リンク記事|引用文

梅雨の季節に入って、曇り空や、雨模様が続いて、ジメジメした感じがする今日この頃、「あぁ、こんな天気だと、心までジメジメしてしまいそうだ…。」と憂いていたタイミングで、ふと、この記事のことを思い出して、一人、ニヤッと笑ってしまった。こういうのを「思い出し笑い」というのだなと思った。

周りから見れば、さぞ、気持ち悪い人物に見えたことだろう。スマートフォンを眺めているなら、まだ良い。「あぁ、LINEのやり取りで、面白いメッセージが送られてきたのかな…。」とか、「あぁ、アプリゲームでも楽しんでるのかな…。」とか、「あの笑いはアダルトコンテンツに興じている下卑た笑い方だ。きっとそうに違いない。なんて破廉恥な奴なの!」などと思われておしまいだ。そんなものはすぐに短期記憶から抜け落ちてそのまま忘却していくだけ。いわばノープロブレムなのだ。

しかし、この時の僕は、スマートフォンは手に持っていなかった。というか、手ぶら状態だった。眼前に何か面白い情報が転がっているわけでもなかった。強いて言えば、何の面白味も無い画面がうつっているデスクトップパソコンと、何の面白味も無い造り(それはそれで失礼だな。ごめんなさい。機能性に富んでいると言い換えようか)のキーボードが置かれてあるだけ。どこにも、ニヤッと笑う要素なんか無い。そのことは誰が見ても明らかだ。

ゆえに、僕は、狼狽した。「今のニヤニヤ笑いを誰かに目撃されていたらどうしようか…。」と。辺りをキョロキョロと見回す。「ふぅ~、どうやら大丈夫そうだ。セーフ、セーフ…。」。安堵したのもつかの間、「いや、そもそも、僕のことを、つぶさに観察している人なんて、周りのどこにも居ないっていう、何よりもの証左じゃないか…。アハハ…。」と、わざわざ、ネガティブな方向へと解釈をし直して、結局、気落ちしてしまった。まったく、自分で自分の首を絞めることだけは、一人前らしい。「自縄自縛」という四字熟語がある。笑えない話だね。アハハ…。(乾いた笑い)


▶「何のために日々仕事頑張ってると思ってんだこの梅雨前線が!!!!!!」

それはそうと、この勢い、メチャクチャ好き。一度見たら忘れないこの感じ。サイコー。阪神ファンの鑑って感じ。これは嫌味じゃない。むしろリスペクトに値する。独断と偏見が多分に入っている、と断った上で書かせてもらうと、阪神ファンは、やっぱり、面白い人が多い。「やっぱり」という枕詞を付けたくなるぐらいに、面白い人が多い。”関西人だからユーモアセンスが優れているのだろう”という、相手からすると足枷にもなるレッテルを貼られた中で、その上を来る面白さを有している人がとても多い。なので僕は「やっぱり」と書いたわけである。

具体例は、その都度その都度、テンポの速い会話で、ポンポンと繰り出されるので、ココがどう、と言いにくい部分ではあるのだけれども、やはり「鉄板ネタ」としては「岡田彰布監督のモノマネをしながらの野球談議」であろう。聞いて驚くな。阪神ファンの人なら、大抵、岡田監督のモノマネが出来る。それも、なかなかのクオリティで。みんな、ちょっと話すだけで、「また岡田監督の口真似か(笑)」と気付くレベルには上手い。中には猛者も居る。「えっ、岡田監督のモノマネ芸人さんですか?」と尋ねたくなるレベルの人も、結構居る。なんなら僕の知り合いにも一人居る。ちなみにその人の苗字は「岡田」である。その縁もあって、岡田監督への愛着心は、昔から、やたらと強かったのだとか。どおりでモノマネが上手くなるわけだ。

一口に「野球談議」と言っても、まぁ多方面に話が及んでいくわけだが、その大半は、野球用語でいうところの「タラレバ」に終始することが多い。お酒の席で試合の振り返りをしたら9割方そうなる。野球好きの間では「タラレバは厳禁」などと言われることもあるが、試合が終わってからは、それはもう、言いたい放題である。しかし、むしろ僕は、試合中、タラレバが言いたくなるのをグッとこらえて、試合後(特に惜敗した後など)、諸々を酒で流し込んで、溜め込んだタラレバをバーッとぶちまける人に、清々しさすら覚える。「よく我慢したね」とねぎらってあげたくなるほどだ。

そして、ここからが面白いのが阪神ファンの凄いところである。みな、各々の野球観を持ち寄って、且つ、各々が岡田監督になり切って、「何回同じミス繰り返すんかなぁ。えぇ?せやろ?違うか?お~ん…。」「そんなん言わんでも分かるやんか。見ての通りやろ?なぁ?はっきり言うて。ほんまもうなぁ…。」などと、口々に言い合うのだ。

話の内容にのみフォーカスしたら、「あのチャンスの場面でタイムリーが出ていれば試合の流れは180度変わっていたはずだ」などといった、オーソドックスなタラレバである。しかし、その表現の仕方が、何とも面白いわけだ。いかにも、岡田監督が、試合後の談話で、ブツブツと語っているかのように、話すのだ。それも流暢に。「えっ?岡田監督のモノマネ講座でも開講されているんですか?」と言わんばかりに。

あの語り口は、酒の肴になる。ローテンションで、淡々と、ダメ出しをされ続けたら、聞いているこっちも、気が滅入って来るが、岡田監督ボイスだと、ワハハと笑いながら、(良い意味で)聞き流せる。そのユーモアを各々が心得ているのだ。そうに違いない。

また、野球観の違いが露わになって、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が勃発することも、”野球ファンあるある”であるが、ココにもユーモアが顔を覗かせる。「岡田監督A」と「岡田監督B」が、「あの場面はAだ」「いやBだ」などと意見を戦わせることがあるのだ。これはもう野球好きの僕からすると抱腹絶倒ものだ。アルコールが体内に入っているのだから尚更だ。

特筆すべき点は、サジ加減の上手さであろう。言葉で表現しにくいのだが、”マジトーンなんだけど必死さが出過ぎない”というのか・・・。どこかこう、プロレスチックなのだ。ヒートアップして、言い合いが起きて、ストリートファイトが起きる、なんてことは、少なくとも僕は見たことが無い。「礼に始まり礼に終わる」ならぬ「笑いに始まり笑いに終わる」を美徳とする文化を、お互いが、無意識的に体得しているからだと、僕は考えている。


【P.S.】

まぁ僕も関西生まれ関西育ちなんだけどね・・・。物心付いた頃から野球好きで、阪神ファンの父親のもとで英才教育が施されたはずなんだけど、プロ野球は、幼少期~中学生までは埼玉西武ライオンズファンで、高校生から広島東洋カープファンで、高校野球は、健大高崎(群馬)を推すようになったんだけどね・・・。当然と言うべきか、岡田監督のモノマネも出来ないしね・・・。「関西人」とか「阪神ファン」といった、大きな主語で括ってモノを語るのは、控えた方が良いと僕は思うよ・・・。(オチ)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?