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【夢日記】友達とコンビニ・サラリーマンと競歩

【友達とコンビニ】

僕は気の置けない男友達3人と一緒にドライブしていた。「今日一日どうする?」という会話の内容から察するに、遊びに行く予定は合わせたが、具体的に何をして遊ぶのかはまだ決まっていない、そんな状況であろうか。時刻は朝方だと思われる。時間はまだまだタップリある。さて、これからどうしようか?

僕達はコンビニに車を停めて中へ入っていった。まずは適当に飲み物を買ったり軽く腹ごしらえしようじゃないか、という算段だったと思われる。一日ずっと友達と一緒に行動するとしても「朝・昼・晩」の三食を外食にするのは、単純にお金が掛かるし、どこに行くのか決めるだけで時間が掛かるし、そもそも、アラサーぐらいになると一日三食をキッチリ食べられるほど胃の活動が旺盛ではない。であるならば、コンビニで各々のニーズを個別に満たすのは合理的であると思われた。

僕はコンビニで「伊右衛門(濃い味)」と「Fit’s」を購入してサッと店を出た。特にお腹が空いているわけでもなかったので、おにぎりやパンのコーナーは一切見向きもしなかった。ただ、他の人は食べ物のコーナーを物色していたので、急きょ、お茶だけで済まさず、レジ前のガムコーナーで「Fit’s」を購入した次第である。その理由は、目の前で食べてる姿を見たり、食べ物のニオイを嗅いだりすると、食欲が刺激されてお腹が空いてきたと錯覚する恐れがあると感じたからだ。ガムさえ噛んでおけば口が寂しい状態からは回避することが出来る。錯覚による空腹であるならば、ガムで十分賄えると判断したわけである。

友達は食べ物類を色々と購入してきた。Tは肉まん。Mは堅揚げポテト(ブラックペッパー味)。Mはまるごとソーセージ。3人ともおにぎりコーナーも物色していたのだが、誰も買わなかったのが少々意外だった。僕ならおにぎりに手が伸びそうだと感じていたから。「朝はパン♪パンパパン♪」という松下由樹のCMは有名だが「朝はコメ♪コメコメ〜♪」なんてCMは見た覚えが無い。単純に語呂の良し悪しかもしれないが「朝はコメ派?パン派?」を大規模調査すると「パン派」が優勢になるのかもしれない。人間は自分が思う以上にCMに購買意欲を左右されるところがあると僕は思っている。松下由樹のパン業界への貢献を軽視してはならない。

各々が購入してきたものを車内で食べながら、今日一日のプランを立てて、食べ終えたタイミングで出発しよう、ということになった。僕が「Fit’s」を食べていると、M(まるごとソーセージを食べている方)が「グレープのにおいキツいねんて〜」と僕に注意してきた。僕からすると、肉まんとまるごとソーセージのにおいの方がキツいと感じつつも黙っていたこともあって(堅揚げポテトは特に気にならなかった)、「いやいや、お互い様じゃないか」と軽く反論した。

そのまま会話は打ち切られて、再び「なにする?どこ行く?」という話に戻ったのであるが、僕は「言われてみれば自分がまだご飯を食べている時に果物を食べられると『においが・・・』と気になることあるよなぁ」と思い出していた。Mが言うように、果物のにおいは、嗅覚を刺激されて、味覚に支障をきたしやすい。それは自身の経験則を振り返っても明らかだ。そう考えると、唯一、グレープのにおいを車内に充満させている僕は「においキツいねんて〜」と注意されても致し方ない。「お互い様」ではなかったのだ。非難批判は甘んじて受け止めるべきであったのだ。

しかし、今更「さっきのにおいの件なんだけど、よくよく考えてみると、果物のにおいは、他の食材と比べて嗅覚への刺激が強いんだよな。Mの言うことももっともだ。ソコへの配慮に欠けていた俺が悪い。申し訳なかった」と謝罪するのも、それはそれでどうなんだろうか、と躊躇ってしまった僕は、特に何も言い出せぬまま「なにする?どこ行く?」の話に加わっていた。だが、頭の片隅には「果物類のにおいは・・・」と思い煩っているため、会話の内容に集中出来ていなかった。

そんな僕を見かねたのか、M(堅揚げポテトを食べている方)が「俺らが食べてるのを見てお前も腹空いてきたんちゃう?俺もうええから残り食ってええで」と、硬揚げポテトの袋を手渡してきた。確かに、サクサクと良い音を立てて食べているなぁ、とは思っていたが、僕も食べたいなぁ、とまでは思っていなかった。「うすしお味」なら、味見程度に食べたい、と思ったかもしれないが、「ブラックペッパー味」だったので、そこまで惹かれなかったのはあるかもしれない。

僕はまだ「Fit’s」のガムを噛んでいた。しかし、Mが半ば一方的に、僕に堅揚げポテトの袋を渡してきたので、好意を無下にするわけにもいかない、と感じた僕は、まだほんのり味が残っていたガムを、少し後ろ髪を引かれながらも紙に包んで捨てて、堅揚げポテトを食べ始めた。先ほどまでグループ味のガムを噛んでいたからなのか、ブラックペッパー味の「香味・辛味」がダイレクトに伝わってきた。これはなかなかパンチが効いている。

パクパクと食べ進めていく中で「伊右衛門(濃い味)」とはすこぶる相性が悪そうだ、ということに気付いた。はじめから食べることが分かっていれば「ウィルキンソン(レモン味)」をチョイスしていたのに。いや、Mは、あくまでも僕に気を遣ってくれたのだから、そんな文句を言う筋合いは僕には無いか・・・、などと(口には出さないものの)ウンウンと思案しながら、堅揚げポテトを食べていた。お世辞にも美味しくいただいているとは言えなかったが、相変わらず、サクサクと良い音を立てていた。僕は「音で周りを誤魔化せるのは時として助かるものだなぁ」などと考えていた。

【サラリーマンと競歩】

僕は外を歩いていた。場所はどこだかよくわからない。迷子の感じではなかった。歩き慣れた道らしかった。手提げカバンを持っている。買い物の帰りかなにかだと思われる。僕は早くも遅くもない速度で歩いていた。急いでいる感じも無いし、気に病んでる感じも無い。至って平常だった。

後ろから人の気配を感じた。反射的に振り返ると、そこにはサラリーマン風の男性が居た。スーツ、革靴、メガネ、七三に分けた髪型。年齢は40前後だろうか。やはり手提げカバンを持っている。僕と同じく買い物か何かを終えて帰路についているのだろう。距離にすると10メーターぐらいは離れていた。

僕は彼を一瞥した後、特に注意を向けるべき対象でもないと感じて、すぐさま向き直り、また歩き始めた。程なくして、人影が目に入ってくる。「えっ?」と思った僕は、再び後ろを振り返る。するとそこには、さっきまで10メーターぐらいは離れていたはずのサラリーマン風の男性が、僕の眼前まで来ているではないか。

僕は声を出さなかったものの、心の中では「歩くの速過ぎるだろ・・・ワープでもしたのかよ・・・」と呟いていた。それぐらい速かったし、それぐらい気配を感じなかった。もしも彼がヒットマンだったならば、僕は間違いなく殺(や)られていたはずだ。

彼は僕が狼狽するのを気に留めることもなく、スーッと僕を追い抜いて行って、スタスタと歩みを進める。僕は、なぜだかはわからないが、彼に置いていかれたくないと思って、歩く速度を早めて、なんとかついていこうとする。「早歩き」どころか「小走り」の速度で、必死に歩いた。

しかし、距離は少しずつ遠のいていく。彼は平然と歩いているだけなのに、ハァハァと息を切らし始めた僕よりも、歩く速度がはやい。訳が分からなくなってきた僕は走り始めた。ルール違反だと分かりながらも、どんな手を使ってでも彼に追い付きたかったのだ。そもそもルールなんて存在しないはずなのだが、いつの間にか、僕と彼との間で、競歩をしていると思い込んでいたらしい。

走っていると、ジワジワと彼に近付くことが出来た。僕は既に息も絶え絶えだ。彼はやはり平然と歩いているまま。あまりにも対照的な二人に嫌気がさしかけたが、すぐに考えを改めて、彼に追い付き、追い抜くことだけを考えた。僕は走ることだけに集中した。

ついに彼を追い抜くことが出来た。僕は達成感でいっぱいになった。そして今度は、彼の表情が気になった。平然なイメージしかない彼にも、追い抜かれた直後であれば、少しは狼狽の色が見えるんじゃないかと期待していたからだ。だから僕は、追い抜いた瞬間、走りながら、後ろを振り返った。

「危ない!」

彼は、狼狽というよりも、慌てたような表情を浮かべながら、咄嗟にそう叫んだ。目の前の僕に向かって叫んだように思われた。僕は反射的に前に向き直った。

右側からトラックが僕に向かって走ってくる。スローモーション状態に陥った僕は、どうすることも出来なかった。トラックを眺めていることしか出来なかった。しかし実際は、スローモーションではなかった。あっという間に、僕の目の前まで、トラックが近付いて来た。クラクションの音とブレーキの音が耳に入ってくる。しかし、トラックは止まる気配が無い。

死を悟った瞬間、目が覚めた。

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