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企業のブランディング

 メーカーからコンサルティングファームに転職を果たしてゆく人は多い。理系として大学院まで進み専門性を身につけ社会に出てゆく、
その後ファーストキャリアとしてコンサルティングファームを選ぶべきなのかそれとも自分の専門性を活かした職種につくべきなのか一長一短なこの問いに答えが出ることはおそらくない。
 
ただそんな中でもこの答えのヒントは講義の中に転がっていた。それは、クライアント企業が顧客のウェルビーイングを考える際に自社の世界観を拡張するというアプローチである。
例えばJRは駅と駅を繋ぐ企業であるが、そこの世界観を拡張しドアからドアへの移動を叶えるリーディングカンパニーとなってゆく話や、
渋滞問題を解決する際に車や高速道路のシステムだけにアプローチをかけるのではなく、高速道路周りの街やホテルなどを巻き込みステークホルダーを増やして問題解決を推進してゆく、そういった包括的なアプローチが自分の中では非常に新しかった。
このように既存のイメージにとらわれずに会社や事業のあり方を柔軟に拡張してゆくことは現在の社会においては重要なのかもしれない。
 
アメリカからいくつか例を出すと、確かにアップルは創業当時からスマホメーカーとしてだけではなくタブレットやウェアラブル端末が人間の生活を変えていくような世界をユーザーに見せていたし、車を作っているイーロンマスクのテスラは自らを電気のインフラを支える企業であるとブランディングしている。最早企業の持つ世界観は製品だけではなく人々の生活そのものと化している。
 
このようにブランディングや世界観を作る上で大切なのは、作る手としての視点と経営側としての視点、いわばコンサル的な視点なのだと思う。
顧客や社会に刺さるようなストーリーや世界観が無ければいくら良いものであっても淘汰されてしまうし、逆に企業が見せるストーリーと製品との間にギャップがあればその製品はすぐにマーケットから飽きられてしまう。日本においてブランド設計と製品の良さが成功した事例として良品計画がよく挙げられるが、これは経営側と作り手が対話を欠かさず同じ方向を向いて世界観を作り上げたことが成功の要因であるのだと思う。ユーザーのインサイトを掘り、無印良品としての「生活のあり方」をマーケットに提供した、これこそ自分が考えるコンサル的視点の役割だと思う。
 
そのため、メーカーに入るのか、はたまたコンサルティングファームに入るのかはおそらくさほど重要ではない。ものを開発したり製品を世に出す人はそれがどのように人々の生活を変えたり世界観を構築するべきか考慮に入れるべきだし、コンサル側の人間も企業の損得勘定を考えて算盤を弾くのではなく、クライアントの企業がどのようなブランディングをしておりそれが今後5-10年でどのような世界を作っていくのかを一緒に検討すべきなのだと思う。
 
目の前のことに縛られるのではなく、より全体を見通し多くを巻き込む姿勢。自分がキャリアを描くにあたって大切なことをまたひとつ学ばせて貰った。

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