野生のマイバッグ

目が悪いというのは実に不便なものです。両眼で視力0.1未満の僕は、たとえ街で絶世の美女とすれ違ったとしても気付きません。眼鏡をせずに運転をすると捕まります。目が悪いというハンデを課せられている上に罰金を取られます。基本的には損しかありません。

ところでみなさんは「野生のレジ袋」を目にしたことがあるでしょうか。風に身を委ねて路肩を彷徨っているあれです。要するにポイ捨てされた袋です。カス視力の僕は、あれをよくネコチャンと見間違えます。猫だと思い、癒しを求めて近づいたらレジ袋だったときの虚無感は図り知れません。特に夜間に多いです。

夜中にレジ袋に話しかけている成人男性です。こんばんわ。

とはいえ、何度もそういったことがあると、徐々にネコかレジ袋か見分けがつくようになります。僕の経験上、9割くらいの確率でレジ袋です。今ではどうせまたレジ袋だろくらいの感覚です。

高校生の頃、深夜にチャリで下り坂を滑走していたら、10メートル程先方に白いレジ袋が落ちていました。その日は無風で、風に揺れ辺りを漂う気配もありません。こうなってしまうと完全にただのレジ袋です。命は宿っていません。私は構わずチャリを飛ばしました。

猛スピードで2メートルくらいまで近づいたところで、私は気付きました。

これレジ袋じゃなくて猫だわ。

本物の猫でした。いや逃げてくれよ。
間一髪のところで避けきりました。危ねー。
僕は法律をよく知りませんが、猫を殺傷することはたしか極刑に値する罪だったと思います。そのくらいは知ってます。六法全書の猫に関するページにも書いてあると思います。

あれから数年、世は空前のマイバッグブーム。レジ袋が完全有料化されてからはや半年。今ではシティボーイもシティガールも、オシャレな奴はみんなマイバッグを携帯していることでしょう。これからは優しい奴が勝つ時代です。地球にも優しくあらねばなりません。

こうして「野生のレジ袋」が世の中から少しずつ姿を消している矢先のことです。先日ついに「野生のマイバッグ」を発見いたしました。レジ袋ではなくマイバッグです。運転中だったので写真撮影できなかったのが悔やまれますが、僕は確かに見ました。緑色のマイバッグが路肩を彷徨う姿を。これでネコチャンとも見分けが付くようになります。安心です。

僕もそろそろマイバックを買わないとな。

こんなの作りました。よかったら買ってね。

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