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自己矛盾はダメなこと? 「自分」と「自我」を分けると生きやすい_feat.釈迦

ブレる。一貫性がない。

自己矛盾をネガティブにとらえる人は多いですよね。

でも僕は、そうは思いません。矛盾するのは当たり前。僕自身、二律背反する考え方を共存させているし、つじつまが合わないことを平気で言います。

「思想」と「適応」を別にして考える

以前のnote『影響力が大きいのは「行為」よりも「存在」』でも書いていますが、僕は「人は誰しも存在自体に価値がある」と心から思っています。人間は何もしなくても社会的に影響力がある。生きているだけで意味があります。歴史がそう示しているし、僕のベースにある思想です。

一方で、仕事をしているときもこう考えているかというと違います。

はっきりと成果を追求します。起業して「この会社は存在自体に価値がある」と言ったところで、ビジネスで結果は残せないところがありますから。

ここで混同されがちなのが、「成果主義」を僕の思想だと思われることです。

仕事における考え方は、その状況やルールに「適応」しているだけなんです。

登山に行くなら山登り用の靴を履いたほうがいい、サッカーという競技をするなら鍛える筋肉は上腕よりも足腰でしょ、というのと同じです。

『コテンラジオ』(PodcastYouTube)で一緒にパーソナリティーをしている(株)BOOK代表の樋口聖典さんと僕は、ロジカルな思考もその回路もとてもよく似ているんですね。樋口さんは「適応」についてこう表現していました。

「ゲームによってルールが違う。ルールが違えば、物事の優先順位が変わる」

まさに、そう思うんです。

仕事で、一見自分の思想と相反するような行動をとることがあります。でもだからといって、僕の人格は崩壊しません。自己矛盾に思い悩むこともありません。なぜなら、仕事というゲームのルールに適応しているだけだから。

むしろ、どちらの思考も使えるし複数の世界を生きられる。自分が価値を発揮できるフィールドが増えます。

この「思想と適応」を、多くの人は混同させて苦しんでいるように僕には見えます。これを切り分けやすくする方法があって。

それは、「自我の持ち方を変えること」です。このやり方で、僕はいろんなことを乗り越えてきました。

「自分が存在する」なんていうのは勘違い

自我とは何か。

「自分という人間がいる」と、ほとんどの人は考えていますよね。

それが仏教を勉強すると、「自分が存在するなんていうのは勘違い」という境地に出会います。

仏教の開祖である釈迦が古代インドで繰り返し説いていたのは、これまで「自己」と思っていたものは実は自己ではない。「無我を習得することの大切さ」です。

「我」というのは、永遠に不変で実体はない。さまざまな因縁が巡り合って僕たちという存在として成り立ち、たまたま生かされている。世の中のあらゆる要素が奇跡的に巡り合い集まった結果が、僕やあなたです、と。

仏教をこれ以上説明しようとするとぶっ壊れそうなので飛ばしますが(苦笑)、ざっくり言うと、自分という存在を規定している境界線は思い込みでしかないというダイナミックな考え方です。

この、仏教における「無我」の発想にインスパイアされたのもあると思いますが、僕は「自分(身体・人格)」と「自分の操縦者としての自我」を別物として考えています。

自分と、自我が分れているんです。

自分の能力にすごく悩んだ20代

新卒で大手電機メーカーに入社した僕は、まったく活躍できませんでした。周りから認められないどころか、上司に毎日説教され、「オマエ、こんなに毎日ダメ出しされていてよくも毎朝出勤できるよね?」とまで言われる2年間を過ごしました。

自分の能力に、ものすごく悩みました。

人材としての僕は、「できること・できないこと」がはっきりしています。

まず、人の話を落ち着いて聞くことができないところがあります。

僕の思考特性は、グルグルと回転して走っていく注意分散型。1個の内容に留まることが難しく、どんどん変転しています。偉い人が長時間しゃべっている場面であろうが話が聞けません。

そんな自分の特性にも、学生時代は不便を感じませんでした。授業に出なくても勉強はできるし大学に進学できないこともありません。新入社員当初も学生のときの延長で、非論理的なことを言う上司を無視していました。するとめちゃくちゃ怒鳴られました。

「オマエの上司だぞ!」と。

怒られてはじめて、「上司は無視できない存在」「命令系統という概念」をインストールしました。本当の話です(笑)。

ほかの特性だと、僕はとても論理的に思考します。今はかなりマシになりましたけど、雰囲気や空気でふわっと説明されるとまったくわかりません。

いまも憶えていますが、当時の上司にこんな質問をしました。

「この組織における僕の役割と成果は、端的に言うとなんでしょうか?」

そんな質問をされるとは予想していなかったのか、上司はハッとするような顔をしました。そして、出てきた返事はこうでした。

「気をつかえること」。

詰んだ……、と思いました。

気をつかうのは、オレが一番できないやつじゃん。どうしよう……と。

当時の僕は、大企業で出世することしか成功のモデルを知りませんでした。初めての会社だからほかの企業で生きていけるかもわからない。職場では上司から毎日説教をされるし、逃げ場がない状態でした。

そんな追い込まれた20代の僕が生きのびるために編み出した考え方こそが、自分と、自我(自分の操縦者)を分けて考えるやり方。

『機動戦士ガンダム』式です。

『ガンダム』シリーズでは闘いの際に、お互いがモビルスーツという有人操縦式の人型ロボット兵器(機体)に搭乗し、機体を駆使して攻撃し合いますよね。同じように、モビルスーツ(自分)と操縦者(自我)と2つに分けてとらえます。

ここで僕が書いている「自分」とは=人としての特性「自我」とは=意識・感情・思考です。

自分の機体特性を知り「操縦者スキル」を上げる

これができるようになると、仕事でミスっても落ち込まなくなります。

たとえば、主人公で才能あるパイロットのアムロ・レイに替わって、自分が「ガンダム」に乗って戦闘したとします。アムロ以外が超高性能のモビルスーツに乗ると機体を傷つけてしまうかもしれません。でもそれは、性能がズバ抜けて高い機体と操縦者とのミスマッチが原因。操縦者が傷つく必要はないし、落ち込まないですよね。

「自動車と運転手」でもイメージできます。自動車が自分で、車を運転する自我。

軽自動車は燃費はいいけどエンジンが弱い。急勾配の坂道に出くわして、上れないことが起こりました。軽自動車という車体の特性から、「あぁ、この坂道は上れないんだ」と次どうしようか考えるとは思います。でもそれは車としての特性が原因なので運転手とは関係ない。

ここで「機体と自己」「車と自己」を同一視していたら、人は落ち込みます。そこを、機体(車体)の性能と自我は別と切り離す

自分はできないヤツだとか落ち込む必要はまったくないんです。

自分を乗りこなすときに大事なことは、操縦者としてのスキルです。

人間の活躍も、機体で決まるのではなく操縦者で決まります。

僕がそうでしたが、機体がポンコツでも操縦者のスキルを上げていけば闘えます。機体特性や機体の環境特性を理解すればより活躍できるようにもなります。

逆に、はじめから優秀な機体に乗れている人は操縦が下手であることが少なくないと思っています。機体自体が優秀だと、操縦スキルを伸ばす必要性を感じないからです。

機体(自分)がちょっとしょぼくても必ずオリジナルの特性があって、ほかの機体(他人)よりもどこかのパラメーターが秀でている。

機体としての自分の特性理解を進め、その特性はどの場所やシーンならより活きるのか。自分がフィットする環境はどこなのか。試行錯誤していくといいと思います。

この概念をインストールできたら、場面場面で適応して思考を使い分けられるようにもなります。こんなふうな人間理解に基づいて自分という存在を構築していくと、すごく楽にもなりますよ。

僕もまだ途上ですが、昔に比べるととても生きやすくなっています。



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このnoteでは、歴史を学ぶことで得られる「遠さと近さで見る視点」であれこれを語っていきます。3000年という長い時間軸で物事をとらえる視点は、猛スピードで変化している今の時代においてどんどん重要になってきます。

何千年も長い時間軸で歴史を学ぶと、自分も含めた「今とここ」を、相対化して理解できるようになります。世の中で起きている経済や社会ニュースとその流れ、ビジネスシーンでのコミュニケーションや組織づくり、日常で直面する悩みや課題まで、解決できると僕は信じています。

人間そのものを理解できたり、ストーリーとしての歴史のおもしろさを伝えたくて、歴史好きの男子3人で『COTEN RADIO(コテンラジオ)』も配信しています。PodcastとYouTubeとあわせて聴いてもらえたらうれしいです。

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(おわり)
編集・構成協力/コルクラボギルド(平山ゆりの、イラスト・いずいず

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COTEN代表 深井龍之介

株式会社COTEN 代表取締役。人文学・歴史が好き。複数社のベンチャー・スタートアップの経営補佐をしながら、3,500年分の世界史情報を好きな形で取り出せるデータベースを設計中。

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COTEN代表・深井のアカウントです。『コテン深井龍之介の レキシアルゴリズム』では、「遠さと近さの視点」で世界史上のエピソードや偉人たちといまをつなげていきます。COTENは、約3500年分の歴史を整理しデータベースをつくる事業を展開中。https://coten.co.jp/