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早期商標出願のススメ

最近商標出願についての相談を受けることが多いので、ビジネスを行う上で商標権の確保がいかに重要かお話します。
結論から言うと、ある程度の規模の売上を見込んでいるのであれば、ビジネスを始める段階で、早めに商標権を取得することをおすすめします。できれば、商品名やサービス名が決まる前に、候補が出揃った段階で動き始めてたいところです。


1.  商標権とは

商標は、商品やサービスの提供主体を表示(一般に、「出所表示」と呼ばれます。)する名称やマークです。商品名(例えば、ビールの「スーパードライ」)や、サービス名 (例えば、飲食提供サービスの「鳥貴族」)は商標です。

商標権は、商標を独占的に利用する権利です。商標権は、特許庁に出願して、登録されて初めて取得できます(一般に、「登録主義」と呼ばれます。)。

2.  商標出願は早い者勝ち

商標出願は、困ったことに早い者勝ちです。ある商標を自社が先に使っていたとしても、後から出てきた別の誰かに出願されて、その商標の商標権を取られてしまうという事態が起こります。
もし、自社がそのままその商標を使い続ければ、商標権の侵害となってしまいます。

3.  商標侵害によるリスク

商標侵害となってまうと、差止請求や損害賠償請求を受ける恐れがあります。
差止であれば当然その商標使えなくなり、商品名やサービス名は変更せざるを得ません。積み上げてきたブランドイメージも当然崩れてしまいます。
損害賠償となれば、その金額は最低でも総売上額の3〜5%となります。しかも、商標を使ってきた期間が長くなればそれだけ賠償額が高くなります。
対応を弁護士に依頼するとなれば、さらに弁護士費用もかかります。
このように、商標権侵害の経済的リスクは極めて高いのです。

4.  商標権取得は費用対効果が高い

他方、商標権取得は(どのくらい広い権利を取得するかにもよりますが)、専門家に依頼した場合でも、一件あたり10万円程度から可能です。

費用対効果をみても、商標権を取得しない理由は無いと思います。私だったら絶対に取得しておきます。

5.  ビジネス開始前に動き始めるのがおすすめ

商標出願にあたっては、ビジネス開始前、商品名やサービス名の候補がある程度出揃った段階から動き始めることをおすすめします。

現実的には、商品名やサービス名が決まった後や、実際に商品の販売やサービスを開始した後の段階で、商品出願の相談を受けることも多いです。

ですが、できればもう少し早めに動き始めた方がよいです。
というのも、既に特許庁に登録されている商標と類似する商標は登録できません。そこで、通常は、商標出願に関するご依頼があった場合、先ず特許庁に類似する商標が既に登録されていないか事前に調査を行います。すると、その段階で、既に類似する商標が登録されていることが判明するということがままあります。
もちろん、その状態からあの手この手を尽くして商標登録できることもあります。しかし、あの手この手尽くすのにお金もかかりますし、上手くいかないことの方が多いです。

したがって、やはり商品名やサービス名の候補が出揃ったくらいの段階から動き始めた方がよいです。候補の段階で弁理士や弁護士等に相談するなどして、きちんと商標権を取れそうな商品名やサービス名に絞っていくという流れが理想的です。







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