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書く少年(眠ることが赦されない獅子)

彼とは純潔、いや、高潔である。他を寄せ付けないのではない。
彼の世界とは他者が皆無、それだけである。己こそが至高など感覚はない。
他者が介在していないのだから。彼が自己以外の存在、違和感を認識する時はそれが挫折なのである。

最初は純白の無地の布に薄い「染み」、何色さえも判別できない。いや、気づかない。いつ気付くのか。それは自己を認識したとき、世界に一人しかいないと気づいた時に「染み」に気付く。初めは物珍しそうに、怪訝に、好奇心から、「染み」と対話をする。それは非常に愉快。初めての話し相手。しかし、それが相容れない隣人とは気づかないだろう。彼を阻害するのではなく、飛躍的な成長、進化手助けてくれる。今まで、自己で物足りた世界に自己以外の介在。これほど違和感がある屈辱感はない。しかし、この屈辱感がない限り前途は無い。限りない不安は眠りのまま、未来は訪れないだろう。


「詩とは神話的であり、先導性の諧謔心で包まれた、ささやかな一縷の望みなのである」

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