ご主人様の優越性

昨日はめんどくさいメンヘラと化していた僕。思い出しただけで恥ずかしい(苦笑)し、彼女に迷惑をかけてしまって申し訳ない…。

昨晩は精神衛生が良くなかった。思考や認知が歪んでいた。そこで、今日は彼女の家に緊急避難することにした。

ステータスとしての彼女ではなく、特定個人としての「彼女」は不思議な存在だと思う。彼女の家に泊まれることが決まっていたから、それだけで心が上向きになっていた。

一般的には「たったの」4日ぶりに彼女に対面した。けれど僕にとっては、たったの4日間が、かなり長い時間のように感じた。やっと会えたのだ。

彼女の笑顔はとびきり可愛い。話し方が僕を擽ってくるし、無意識の海中で選び抜かれた言葉は快い圧をかけてくる。感受性はフレッシュで、こちらまで高揚感を共有してくれる。
僕は結構腹黒いし性格が悪いけれど、彼女の「精神力」が、僕の頭と心を浄化する。彼女に対して僕が抱く感情は濾過されたように綺麗なものになっている気がするのだ。

彼女の接吻が、僕に衝撃を与える。散らかった脳内を整頓するような感覚。僕に「思考停止」という安堵と安らぎを瞬間的に与えるような感覚も伴う。

(特定個人としての)僕の「彼女」は、とても不思議な存在なのだ。

今日は、彼女の家で、彼女の隣で、眠りに落ちることができる。僕はもう彼女の虜になってしまった。3日会えなかっただけで、禁断症状が出てしまう。僕はヤンデレだし、きっと彼女のそばが僕の居るべき場所であり、彼女は犬の僕にとってご主人様である。

ところで、昨日の退勤間際、彼女の上司と先輩が2人で話していたという。コロナ騒動が彼女の職場での業務を明白に奪っている。いよいよパートさんは出勤停止になり、新入社員である彼女の勤務について相談していたようだ。上司曰く、「このご時世に仕事を与えられるだけ有難いと思って欲しいね」という。

そもそも、彼女は某有名大手企業に内定を貰っていた。しかし、彼女には「野望」──陳腐な言い方で「目標」、明るい言い方で「夢」──がある。その達成したいと願う「野望」を実現するため、もう1つの内定先に入社したのだ。
そして、加えて申し上げたいのは、現在勤めている会社はそもそも人事である上司からのヘッドハンティングを受けて入社したということ。言うなれば、「お願いします」という形で入社を打診されたのだ。そして、彼女は「野望」の達成のため受諾した。

ところが、いざ入社して間もないのにもかかわらず、「働かせてやっている」という上から目線な物言いである。いただけない。認められない。到底受忍し難い。「お願いします」から「働かせてやっている」への姿勢の変化は、慕っている女性への献身の後めでたく婚姻したところ悪しき亭主関白へと豹変するクソ男の様を呈している。

彼女が「野望」を実現した暁には、彼女は今の会社に用はなく、転職するという。雇用契約というのは、相互に・両者が「よろしくお願いします」と握手をしてWin-Winの関係で締結されるはずのものだ。「雇ってやっている」という人を兵隊の様な扱いをする上司の下で、彼女が大きく羽ばたけるはずがない。彼女は手先として使われる小さい人間ではないし、そんな人間にはなれない。彼女が伸び伸びと「戦力」「キーパーソン」として欠かすことできぬ存在として活躍する未来が待ち遠しい。

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