家具職人のロゴデザインプロセス(後編)
前編からの続き。
家具職人のロゴデザインを決めてWebページのデザイン入った。
ある日、自分のブログを読んでTwitterでフォローしてくださったWEB屋のりーりーさん(@saimari02)という方がDMで挨拶してくださった。それがきっかけで何件かメッセージをやりとした。
TwitterのDMでデザインレビューしていただけることに!
りーりーさんは元々グラフィックデザインをやっていた方だった。やり取りの中で今友人のWebサイトのデザインを考えているんですという話をすると「デザインができあがったらぜひ見せてください」と言ってくださった。というわけでWebページのデザインとロゴデザインを見ていただけることになった。
ロゴに込めた思いもお伝えした。
・友人が初めてオリジナルでデザインして作った椅子を見て感動したこと
・椅子は家具の中で一番人に接するもの
・お客さんと打ち合せをも椅子に座ってする→ひとりひとりの人と向き合う
(こんな感じでDMでとっても丁寧にレビューしてくださった!神様)
ロゴデザインについて、りーりーさんからいただいた指摘は以下の通り。
・「adge」と読んでしまう
・世の中に読めないロゴはたくさんあるが、読めないなら潔く全く読めないほうが良い
・誤認されるのは良くない、中途半端に違う情報を伝えてしまうのはBAD
・badgeは小文字で良いのか?
また、Webページとロゴに使っていた書体(DIN)に関する指摘もいただいた。
・書体選定は適切か?
・今回サンセリフ体を使っているが、それは家具との相性が合っているか?
・数年前にブルックリンスタイルが流行ったがそういうテイストを目指しているのか?
・オーダーメイドで重厚感のある雰囲気であれば、セリフ体でシックなイメージにするのもあり
「これでいいか〜」と腑に落ちないままロゴデザインを決定してしまっていたけど、そのもやもやをズバッと言葉にして指摘してくれた気がした。ありがたや〜!
というわけでもう一度考え直すことにした。
もう一度ヒアリングすることに
レビューでいただいた指摘を踏まえて、家具職人の友人に再度ヒアリングすることにした。質問の内容は以下のような感じ。
・自作名刺は大文字で「BADGE」と表記してたけど小文字で「badge」となっても良い?
→問題なし
・作りたい家具はブルックリンスタイルではないよね?
→ブルックリンスタイルとも違うし欧米でもなくてミッドセンチュリーでもない。形はシンプルなんだけど大事に使い込まれてアンティークの雰囲気が出てる家具のイメージ。国でいうならイギリスのアンティークに近い。
上記の回答+友人がイメージするアンティーク系家具の画像をLINEで送ってくれた。
デザインレビューの指摘をロゴに反映
レビュー指摘とヒアリング結果をロゴに反映した。
・「adge」と読んでしまう件→ちゃんと読めるようにbadgeに変更
・書体はサンセリフ体(DIN)で良いか→アンティークの雰囲気に合うようにセリフ体(Anziano)に変更
・椅子のロゴマークはしっかり「b」の字に見えるように変更
前よりスマートでしっかりと読めるようになったものの「b」のマークがシンプルすぎて「これでいいんだろうか......」という気持ちが消えなかった。ここでも「まあ、いいか」と妥協してしまった気がする。
もう一度デザインレビューしていただく
新しいロゴとともにWebページデザインも更新し、りーりーさんに再度レビューしていただいた。
りーりーさんの指摘は以下の通り。
・セリフ体(Anziano)について
→しっくりきて良い
・ロゴマークの「b」
→あとひとひねり欲しい。なにかブランドならではのこだわりが感じられるとロゴとして一段とパワーアップすると思う
やっぱり「b」シンプルすぎますよね......もうひとひねりがんばって考えることにした。
アンティーク家具からのインスピレーション
友人に送ってもらった椅子の写真を眺めているとあることに気づいた。
大体の椅子って脚と脚をつなぐ部分がある(脚貫というらしい)。あ、家の椅子にもある。このとき初めて家の台所にある椅子をじっくり見た。これがロゴに使える!
ロゴマークの椅子の背もたれの部分は座りやすくするために少し斜めにすることにした。ロゴだけど座りやすさを考えるという点もこのロゴのポイント。
ドラッグストアで得たインスピレーション
ロゴを考えながらドラッグストアに行くと、そこで見かけたヘアワックス(OCEAN TRICO)のロゴが上品で控えめですごくかっこいいな!と思った。
badgeの家具のイメージにも近いので文字間隔などを参考にすることにした。
椅子のマークや文字間をイラレに何パターンも書きながら調整していった。
完成!
完成!一番最初の案に比べてかなりスマートになりアンティーク家具のイメージに合うロゴデザインになったと思う。レビューしていただいたりーりーさんからも「すごいかっこよくなりました!」と褒めていただき、家具職人の友人本人もすごく気に入ってくれた。がんばってよかった......!
まとめ
苦労したけど最終的に納得のいくロゴが完成してよかった。今回ロゴデザインを作成したり、noteでいろいろな方のロゴデザインプロセスを読んだりしていると、デザインって試行錯誤するほどやっぱり良いものになっていくし、ロゴデザインってこの試行錯誤の過程こそが価値になるなぁと思った。
できあがったものだけ見てしまえば誰でも簡単に作れそうだけど、お客さんの理念や思想を形にして、長い間会社の看板として使われるロゴデザイン(CIデザイン)の仕事って責任重大だし、アイデアを固めていくまでにかなりの時間がかかる(そしてとてもしんどい)。
なぜロゴが重要なのか?なぜ時間がかかるのか?をお客さんにきちんと説明できる人が良いデザイナーであり、しっかりとお金をもらえるデザイナーなんだと思う。
知り合ったばかりの顔も見たこともない私にものすごく丁寧にレビューしてくださるりーりーさん(@saimari02)には感謝しきりです。いつも本当にありがとうございます。こんな素敵な繋がりを作ってくれるTwitterすごい。
また今制作中の家具職人Webデザインが落ち着いたら「家具職人のWebデザインプロセス」についても書こうと思う。
スキとかフォローとかしてもらえたら僕は幸せです。