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発達障害克服してみた 第5章 人間関係編 ⑥ クレクレ星人克服法

 過去の自分を振り返ってみると、タイトルにあるクレクレ星人だった時代が長かったなと。クレクレ星人というのはその名の通り、相手に対して何かを「クレクレ」と与えてもらうことを待っているだけの人を指します。もうちょっとカッコよく心理学用語(正式なものかは知らない)を使うと「テイカー(taker)」と言います(逆に与える人のことをギバー(Giver)という)。これをやってしまうと、人間関係が軒並み上手く行かなくなってしまいます。
 全クレクレ星人が発達障害者でもないし、逆に全発達障害人がクレクレ星人であるわけではないのだけど、少なくとも過去の自分がそうだったように発達障害者人はクレクレ星人になりやすい土壌があると思っています。なぜなら、前回までに書いたように発達障害の人は自己が肥大しているので、自分がどう思われるかとか自分に何を与えてくれるのかなど自分のことばかり考えてしまうからです。

 世間でもクレクレ星人はあまり良いものとは認識されておらず、「親でもないのに一方的に他人に対してクレクレ言ってると、周りの人はやがて与えるのに疲弊して離れていきますよ」って良く言われます。これはケチの付けようがない全くその通りな正論なんですが、この正論はクレクレ星人を変えるだけの力はありません。
 だって、かつての私のような本物のクレクレ星人たちはこれを聞いても、「ふーん、じゃあ与えてくれる別の奴を探すか・・・」となったり、「クレクレ星人だと思われたら、自分が嫌われてしまう!」みたいに、自分の行いに反省や焦りを見せつつも結局は自分が嫌われるかどうかという自分に注目した状態が続いてしまうのです。そして仮に頑張って与える側(ギバー)になろうとしても、「これだけ与えたんだから返してくれるよね?」という与えるフリをしたクレクレ星人が爆誕してしまうのです。

 じゃあどうすればいいか?まず大事なことは「自分で自分を満たすこと」です。当たり前ですが、人に対して何かをクレクレと言うのは自分で自分を満たすことが出来ていないからです。そしてなぜ満たすことが出来ないのかというと、自分が何を望んで何が好きなのか分からないというのが最大の原因です。
 これを聞くと、「クレクレ星人って自分にしか興味がないのに自分の好き嫌いが分からないの!?」って思うかもしれません。一見確かに矛盾しています。しかし、自分を知るには他人を鏡として学んでいく必要があるので、他人に興味が無ければ自分を知ることは結構困難です。また、自分ばかり見ていると書いていますが、正確には自分を見ているというよりは、他者・世界と自分との境界線に大きな壁を作り、そこの維持に多大なエネルギーを費やしているというのが本音です。そのため、意外と壁の内側である自分を知るということにエネルギーを費やせておらず、まるで自分を知らないということも多いのです。
 だからこそ、ちゃんと自分と向き合って自分が何者か知るということが重要なのです。世の中にはクレクレ星人のせいで周りの人間から敬遠されて独りぼっちだと嘆いている人もいるかもしれませんが、これはまずは他人よりも自分と向き合うための大チャンスを神様から与えられていると考えても過言では無いでしょう。

 さらにですけど、他人から与えてもらうというのは実は意外と大変なんです。だって他人は相手から言ってもらわないと相手が何が好きかなんて分からないからです。ただでさえ自分で自分のことが分かっていないクレクレ星人さんのことなので、相手にちゃんと「これが欲しい」と言うことも出来ず、指を咥えて待つことしか出来ません。そんな中で相手から何かを貰ったとしても、大抵の場合満足の行かない結果に終わり不完全燃焼に終わるでしょう。

 自分で自分を精神的に満たすことが出来れば、そして何が好きか分かれば、自分から相手に正しくアピールすることも出来ますし、満たされた自分は今度は自然な形で相手に与える真のギバーになれるでしょう。








 

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