発達障害克服してみた 第二章(仕事編)優先順位がつけられない問題の解決

 (この記事は2021/10/23にリライトしました)

 (前回の記事はこちらから)

 自分の場合、優先順位がつけられないというのは正確に言い換えると「全ての仕事・タスクが同価値に見え、全てに等しく全力を注ごうとするために結果として体力と時間の限界が訪れる」というものでした。体力・時間の限界が訪れるため(しかも発達障害者にありがちな体力の少なさと先延ばしによる時間不足もありました)、結果として出来上がる仕事は酷いクオリティで、全く以て仕事の出来ない人間でした。

 なぜ全ての仕事に全力を注ごうとするのか考察したところ、私の場合ミスをしたり、やるべきことをやらなかった時に怒られるのが怖いという理由であることが分かってきました。勉強だけをやっていれば良かった頃は、自分が勉強が得意だったということもあるのですが、問題文中にやるべきことが明確に定義され、かつテストで高い点数を取ることというのが唯一の指標で非常に分かりやすかったので、特に問題を抱えることはありませんでした。しかし、仕事というのは基本的にやるべきことが意外と曖昧であることも多いですし、テストのように明確に点数が算出されるわけでもありません。そのため、一体何をすれば褒められるのか、怒られないのかが分からず途方に暮れてしまったのです。

 これを乗り越えるきっかけとなったのは、前回記した先延ばしを克服するための様々な手法でした。正確にはそれらが直接効果を及ぼしたというよりも、それらをやることで心の余裕が生まれ、思考回路が変化したことによる副産物だったと思います。

 ある時のこと、いつものように自分の仕事に自信が持てず「怒られたらどうしよう」という思考が脳内を駆け巡っているときに、一つの気づきがありました。それは「そんなに自分が怒られることって怖いことなのか?確かに怖いけれども、死ぬまでそれを引きずるわけじゃないだろう。それに、自分さえ怒られなければ周りの人が苦しんだり悲しんだりしてもいいのか?」という心の声でした。そう、自分がミスをしたりやるべきことをやらなかった時というのは基本的に自分が誰かに怒られてしまいます。しかし、自分一人が怒られてそれで済む場合と、多くの人を巻き込んで大ごとになる場合が存在するわけです。

 もし今までの自分のように、「自分が怒られないこと」を最優先事項に置いた場合、基本的に全てのミスが自分の怒られに直結するので一つたりとも手を抜くことが出来ません。しかしこの気づき以降、やるべき仕事をやらなかったときに一体どのくらいの人が困るのかということを考え、自分一人だけが怒られて済むような仕事を後回しにしたり、多少手を抜いたりすることが出来るようになり急激に物事の優先順位が付くようになったのです。

 また、「怒られたらどうしよう」という過度な思考の裏には「怒られなかったら、バレなかったら何してもいいのだ」傲慢な考えが潜んでいるということにも気づきました。自分自身何度も同じようなミスを繰り返す発達障害者にありがちな症状を抱えていましたが、このような考え方があると本当の意味では反省をしていないので、同じ失敗を繰り返すのだなということも分かってきたのです。(勿論それだけでなく、ADHD者にありがちなケアレスミスという面もあります。この辺りは今後お話ししましょう)

 こうして、仕事の優先順位が付けられないという問題も薬なしで克服することに成功しました。


 
 

 

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