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アンパンマン

アンパンマンの『アン』が、アンナチュラルやアンビリーバブルと同じ否定の接頭語の『アン(un)』なのだとしたら、アンパンマンは『パンにあらざる者』という意味になる。「あやつはかつてパンであった。しかし今のあやつはもはやパンではない。パンを超越し、パンのために戦う、『パンにあらざる者』。あやつは我らを守るために自らパンであることを捨てる道を選んだのじゃ……」ということだ。

この理論を当て嵌めるなら、アンパンマンの必殺技であるアンパンチは、『パンチではない何か』になる。「なんて威力だ……あれはもうパンチの域を超えてやがる。あれはパンチじゃねぇ……もはやパンチではない何か、『アンパンチ』だ」ということだ。

かつて世界には三賢人と呼ばれた偉大な賢者がいた。賢者の長であった若者は、パンから生命を創るという夢を持った。生命を生み出す……それは人類が決して抱いてはならない、神の理に背く邪な夢であった。若者は邪な夢を抱く自らのことを自虐的に『邪夢(じゃむ)』と名乗った。邪夢の研究には、2人の賢人たちも協力した。2人は自らの魔力リソースを惜しみなく邪夢に提供した。2人は魔力を使い果たし、1人は小さくか弱いただの女性になり、1人は言葉を失い犬となった。しかし三賢人は、邪夢は、ついにパンから生命を生み出すことに成功した。パンから生まれた、パンにあらざる者……アンパンマンの伝説はこうして始まったのだ。

嗚呼、パンにあらざる者、優しい君よ。
行くのだ。皆の夢を守るために。

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