見出し画像

丸い名前

元横綱、朝青龍の本名はドルゴルスレン・ダグワドルジである。モンゴル人の名前が割と長いのは、成人してから立派な名前を付けるからだという。

モンゴルでは生まれたばかりの赤ん坊には、とりあえず短い幼名を付けるらしい。それも「バカ」とか「クソ」とか、汚い意味の名前を付ける。それは悪魔に取られないため、つまりは幼くして命を落としてしまわないようにするためのおまじないであるらしい。この子は「クソ」です、命を取ってしまうような価値のある子供じゃないんです……ということだ。子供が健康に育つことが難しかった時代の親の願いが込められた、とても興味深い文化だなぁと思う。

この話を知った時、てっきりモンゴル独自のものだと思っていたのだが、全く同じことが日本にもあることを知って驚いた。一番有名な例は「牛若丸」である。ご存知の通り源義経の幼名なわけだが、この「丸」というのが、子供用のトイレを「おまる」と言うのと同じ、「うんこ」という意味なのだ。「牛若丸」は、「牛の出来たてほやほやのうんこ」なのだ。モンゴルと全く同じ理由で、日本でも子供にうんこという名前を付けていたのである。

「なんとか丸」という名前は、船や刀などにも見られる。たくさんの人の命を乗せて走るもの、武士が魂と見立てて大切にしたもの。子供のように大切なもの、なくなって欲しくないものに同じ法則で名前を付けるのもとても興味深い。

僕はどうやら、名前というもの、語源というものに非常に興味、関心があるらしい。どうして上野じゃなく植野なんだろう、どうして長男なのに龍二なのだろう……そうやって自分の名前のルーツに興味を持つ子供時代を過ごしたせいなのかもしれない。日本やモンゴルだけじゃなく世界中にきっとそれぞれの名前の付け方があるんだなと思うとワクワクしますね。

よろしければサポートいただけると、とてもとても励みになります。よろしくお願いします。