見出し画像

書けないことたち

日常生活で感じたこと、思ったことはなるべく鮮度が高いうちにネタに昇華してここに書けるといいなと思って日々過ごしている(まあ毎日書くネタには困っているからね)。それでも様々な理由でこれは書かない方がよかろうと引っ込めたものが多々ある。今日はそんなネタたちを少し、お蔵入りにした理由も添えて蔵出ししてみようかと思う。

・嫌いな人の話
こういうタイプの人が嫌い、こういうことを言う人は苦手、こういう言動をした時点で一段階信頼のレベルを下げるよね……みたいな話。 ネガティブなことを読んで面白くなるように書くのは難しいし、書きながらもネガティブな気持ちになりそうだし、読んだ人も、「これ私のこと?」とか「これあの人のこと?」とか邪推されても面倒だなという理由でお蔵入り。

・都知事選の話
政治のことなど分からぬなりに、流石に今回ばかりは色々と思うところがないわけではない。が、これまた様々な主義主張、思考が複雑に絡まり合う話題である。あんなやつに投票するやつなんているのか!?と僕が思うような人の支持者がすぐ隣にいたりするものなのだ。変な反論コメントが付いても面倒だなというのがお蔵入り理由の一つ。あとは『政治とお金』みたいな話はちらほら書いたし被っちゃうな、という理由もある。直近だと辺野古の基地の事故の話なんかも同じような理由で書けなかった。

・映画『関心領域』の感想
大変興味深い映画で、詳細に感想をまとめたいなと思いつつ、戦争、中でもアウシュヴィッツ収容所という大変なもの(という書き方もあまりに陳腐だなという自己検閲が入る)を描いた作品を、エンタメとして面白かったという方向で感想を書くのも違うのかもしれないなと思い、あっちに配慮しこっちに角が立たぬようにと文章をこねくり回した果てに自粛。そうこうしているうちに鑑賞から時間も経って鮮度も落ちてしまった。

・性的な話
自分にとって性やセックスというものはとても大きなものだ。これまでにもそこそこ書いてはきたが、それ以上に様々な悲喜こもごもを書かないまま胸にしまっている。掘り下げようとすればするほどセンシティブになること、具体的なことを書こうとするとそこには相手も存在する場合があり、そこのプライバシーに配慮する必要があること、様々な理由によりお蔵入りしがちである。物語にうまく落とし込み、主人公の性別を女性にしたりして、あくまで架空の話ですよという体で書くのはよく使うやり口だが、それでも書けることと書けないことは出ちゃうのよね。

・インプロの話
即興演劇の劇団にいて、当然ながら日々即興演劇に取り組んでいるわけだが、この辺の話も難しくてあまり書いていない。そもそも即興演劇とは……というところから説明した上で書くと冗長になってしまうこと。細かい専門用語やならではの悩みや取り組みなどについても随時注釈を入れるとなるとやはり冗長になってしまうこと。即興演劇についての知識を多少なりとも持っている人とそうでない人、両方の人が読んである程度面白い塩梅が見出せずに結局日々の稽古で感じたことなんかはまるまる書けずにいる。逆に僕なんかよりもずっと知識や経験がある人が読んだ場合のことを考えるとより面倒で、そこもまた筆が重くなる要因である。

・極私的な話
例えば、「昨日彼女にフラれました」みたいなレベルのプライベートな話は、流石にこんなところには書けないし書いていない。それはそうだ。とは言え一番心が大きく動いた瞬間であるのは間違いないので、オブラートに包んだり、砕いてバラバラにした上で小出しにしたりして書いたりもしている。いっそここから先は有料ですなんてことにして洗いざらい書いてしまってもいいのではと思わないでもないが、まあやらないでしょうね。

と、思いつくまま書き並べてみたが、たぶんこの並びでさえ書けないようなことがまだいくつかある。それはいつか書ける日が来るものなのかもしれないし、こんなところには書かないまま永遠にしまっておくことなのかもしれない。表現活動というものは須らくそういうものだ。これからも出来る範囲で身銭を切り崩してなんやかんや書いていきますので、どうぞ楽しんでいってくださいまし。

よろしければサポートいただけると、とてもとても励みになります。よろしくお願いします。