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GoTo47都道府県(ご近所旅行)

観光庁の旅行取扱状況によると、コロナが蔓延しだした2020年2月からの1年間は8~9割減の業績ダウンになっている。
東京のGoToトラベルが解禁された10月でも-65.7%だ。
未だ収束の見えないコロナ禍。
日本の旅行業界に生き延びる道はあるのか。

マイクロツーリズムという言葉をご存じだろうか。
マイクロツーリズムとは、自宅からおよそ1時間圏内の地元や近隣への短距離観光のこと。
観光業界を救う手段として、星野リゾートの代表・星野佳路氏が提唱した。
人の移動と「三密」を避けながら観光を楽しむための手段として注目されている。

長年同じ町に住んでいると、自分が住んでいる土地の良さになかなか気づきにくいだろう。
また、観光地の魅力は観光客に比例しているわけではない。
メジャーな観光地に行かなくても、旅行は十分に楽しめることができる。
そこで、この1冊を紹介しよう。

観光とはなんだろうか。
著者は観光をこう定義している。
『観光の真髄は、すごいもの、奇妙なものを、見ることだと考えています。日々の生活ではお目にかかれないすごいものを見に行くこと。それによって今までの自分の価値観に揺さぶりかけ、わずかでも新しい自分に生まれ変わって帰ってくるわけです。』

本書は、旅行エッセイストとして活躍する宮田珠己氏による正直な観光案内である。
メジャーな観光地を省き、本気でいいと思ったスポットを厳選している。
また、なんともいえないユーモアの漂う作風は失笑噴飯を誘う。
例えば、私の住んでいる高知県の序文を見てみよう。

高知県の印象をひとことで言い表すとすれば、それは「知らんぜよ」です。土佐弁これで合っているでしょうか。関西弁でいうと「知らんがな」、東京だと「知らねーよ」のことです。<中略>地図を見ればこのことは一目瞭然です。高知県は太平洋に向かって両手を広げる一方で、全日本に対して背を丸めて拒絶しています。

一般的なガイドブックには大人の事情が混じっている。
逆に個人目線で忖度のないガイドブックを作ろうと、完成したのが本書である。
まずは自分の住んでいるページを開いてみよう。
新しい発見があるはずだ。


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