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製造業は外食業から学べ:辞めない経営②

こんにちは!中小製造業応援団のたつみです。

前回の「辞めない経営①」では人が辞める原因を見て、大まかには「キツイ」「給料が安い」「人間関係が悪い」といったよくある理由はありますが、「お客様への思い」「信頼」「ビジョンへの共感」不足による離職が多いと考察しました。今回は、こういった原因を踏まえて

①超短期間で一人前に育て、同時に仲間にするような教育をする
②仕事ぶりを見て褒め合う文化を作る

といった対策を打っている事例のご紹介をします。

動画を使った、進化した新人教育

前回、離職率について製造業9.4%、外食業26.9%と確認しました。さらに入社1年未満の離職率を見ると、製造業が11.2%で、外食業は29.2%と少し上がります。外食業は3割が1年未満に退職するという異様な高さです。

これを下げるために色んな工夫をしている企業があり、一般的な製造業より明らかにすごいだろうと思った事例をご紹介します。

ゴールデンマジックの動画を活用した研修

以前、ゴールデンマジックの山本社長に教育について直接話をお聞きする機会がいありました。

新人の教育が大切と分かっていたゴールデンマジックさんは、こんな課題を抱えていました。

・出店を加速しているので採用・教育が増加している
・特に店長が忙しくて教育できない
・マニュアルを読んで習得しているかわからない

その解決策の鍵は、動画の活用と運用の仕組みです。

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ちゃんと人が接して教えるべきところは人がやり、作業を伝えればいいところは動画にすることによって教える時間を動画で減らしています。でも動画だけで放置しておらず、フォローはするので仲間として教えてもらっている感覚を持てます。

また動画を視聴しているかを確認することにより実施状況を把握し、自撮り動画を撮らせて習熟度合いを確認することまでやっています。仕組み化することにより確実にこのプロセスを踏むようにしているんですね。

そしてこれがちゃんと回ると戦力化が早くなり、成長感や充実感が早く得られるので、人が早期に辞めにくくなります。

ゴールデンマジックさんは、下のツールとちゃんと設計された運用の仕組みで非常に上手に教育されていると思います。

繁盛店や外資系チェーンの褒める文化と仕組み

私の感覚ですが、繁盛店で5店舗以上に展開している飲食店の8割は「褒める文化」があります。それぞれ方法は違うかもしれませんが、一つ一つの作業でも新人が覚えたり上手にやった瞬間を見たら褒めます。

あるお店では、SNSを使って間接的にスタッフを褒めています。

「今日で入店3か月になるRTちゃん。最初はオーダーを間違ったり、メニューを覚えられなくて大変そうでした。それが今は元気で明るくお客様からの評判もすごくいい!そして何より、そっと目に付きにくい場所に気づいて掃除をしてくれている気遣いが素晴らしいです。みなさん、是非RTちゃんに会いに来てください!」

最近はツイッターなどSNSを運用している製造業も多いです。こういったことを本気で書いてくれると嬉しいですよね。会社に対する気持ちも上がると思います。

また、スターバックスには「グリーンエプロンブック(GAB)カード」というものがあります。

自分の接客サービスが見守られ、良いところはGABカードに書かれ、褒められ、確かな評価として記録されます。これは日々の仕事に対して、ある種の緊張感をもたらすと共に励みともなっているようです。
「スターバックスの感動サービスの秘密」荒田 雅之

仕組みとして根付いているのはすごいと思います。スターバックスはGABカードを使っていますが、社内SNSで「いいね」を付けるような仕組みの企業もあります。

褒めることの効果は気分が良くなるだけではありません。教育という視点で考えると、

①自分のいい点を客観的に知ることができる
②褒められる側は見てもらってると思え、褒める側は部下や周囲を具体的に観察していい点を学べる
③前向きな双方向のコミュニケーションの機会になる

といった効果があります。

飲食店は元々職人肌のキツイ職場でした。私も学生時代に飲食店でアルバイトをしていましたが、厨房ではめっちゃくちゃ怒られていました(笑)怒ることも重要ですが、褒める、もしくは認めるということをやって、モチベーションを上げたり習熟度の現在地点を知らせたり、そういうコミュニケーションを通して見てもらえてる感覚を持ってもらうことは重要と思います。

まとめ

効率を上げつつ効果(教育効果、定着効果)を得られる動画とツールと運営の仕組み、褒めるコミュニケーションの仕組み、この2つがあればかなり定着率は上がるのではないでしょうか。中小製造業も簡単な仕組みで文化を変えることはできます。ただ、仕組みは簡単でも文化は一朝一夕に変わるものではないので、取り組みの設計やリーダーシップが重要になります。

余談ですが、ある工場に中途で入った人を見てビックリしました。報連相や5Sなど基本的なことの教育が全くされていませんでした。人材紹介会社の人に聞くとそれが普通だそうです。新人教育は大変だから中途を、があまり意味をなさないことが多いようです。中途採用でも辞めない、基本的なことを教える教育の重要性がどんどん増していると感じています。





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