製造業は外食業から学べ:辞めない経営①
こんにちは!中小製造業応援団のたつみです。
2019年まで約3年間ぐるなびで新規事業開発担当をしており、その時にたった3年ですが、かなり外食経営を勉強しました。毎月恐ろしいほどの外食費も使って・・・笑。私はそれまでは、オペレーションは製造業が一番進んでいると思っていました。ところがどっこい!外食はめっちゃ進んでます。
同じように思っている人もいるかと思いますので、誤解を解きつつ驚いた事例をシリーズでご紹介します。今回は人が辞める原因について大まかに見てみます。
なぜ外食業が製造業より進んでいるか
一言で言うと「外食業界の方が以前からずっと厳しい環境に置かれていたから」です。
非常に大雑把な数字ですが、飲食店は日本に約50万店あり、毎年1割弱(3年で25%)潰れて、毎年4%(3年で12%)開業しています。これに対し、例えば中小の製造業を見ると、48万事業所あり、廃業は2%を切り開業は1%程度。製造業も苦境とは言え飲食店と比べると入れ替わりは非常に少ないです。
飲食店の入れ替わりの大きな理由は、小さい企業が多く、かつ参入障壁が低いからだと思います。その上、新型コロナウイルス以前から、恐ろしいほどの経営環境要因があります。
・外食離れ
・超人材不足
・流行の変化のスピード(近年はより早くなっている)
・コンビニ中食や宅配の拡大
・原材料の高騰
こんな状況で生き残っているお店はそれだけですごいと思います。何年も生き残っている大半のお店は必ず改善をしています。これに対して製造業は、私の感覚では製品の品質は工夫をしているところが多いですが、製造以外の業務を改善しているところや、仕組みまで踏み込んで改善しているところは非常に少ないと感じています。
そして離職率は外食の方がかなり高い!
有効求人倍率も外食の方が高い!
人の問題は外食業の方が深刻なので、当然進化も早くなります。是非学びましょう!
飲食店では「人が辞めないこと」が最重要課題
売上利益は出ているのに、人材不足で閉店するお店も少なからず出ている飲食店。人材不足が業界で最も大きな問題です。人材獲得競争はものすごく激しく、当然みんな採用にはガッツリと力を入れているので、採用コストはどんどん上昇しています。飲食店はパートアルバイトを活用しているので、元々離職率や長期離脱率が高いんです。なので基本的にしょっちゅう採用をしています。
しかし「人が辞めない」ことに力を入れなければ大変なことになります。ただでさえ最少人数で運営しているのに募集やら面接やらに時間が取られ、採用しても教育に時間がかかり、しかも採用コストが高い。本来かけたいところに時間と金がかけられません。だから辞めない経営が最重要になるんです。
人が辞める原因は?
よく言われる人が辞める理由にはこんなものがあります。
・労働時間が長い
・体力的にキツイ(立ち仕事、重いものを運搬など)
・給料が安い
・店長や先輩などとの関係が悪い
・クレームなど接客がキツイ
色々ありますが、ちょっと怒られたから辞める人もいますし、細かい理由が重なって自分でも整理できないけど嫌だから辞める人もいます。
面白い記事があります。
コラム:離職率が高い原因はどこにある?離職率が低い店舗の特徴
最初見たときはビックリしました。離職理由トップ3に「お客様への思い」「信頼」「ビジョンへの共感」が来るなんて、「成長感」がこんな下なんて。項目や離職との因果関係など疑問はあるものの、少なくてもこの項目で1,900店舗のアンケートでこの結果は無視できないなと。
以前、とある工場で工場長が若い従業員に「この(落ちている)ゴミを捨てるように」と注意しました。するとその人が翌日から無断欠勤で来なくなりました。そういうダメな人の離職理由は気にしすぎなくても良く、いい人や育てたい人が辞めないように、と考えると、この離職理由のランキングがすっと腹落ちしました。
解釈すると「ちゃんと自分が共感できる方向に向かってお店が進み、自分も進んでいる」と思えることは、若い人にとって大切だということです。
飲食店が辞めさせないためにやっていること
具体例は今後の記事に書きますので、ここでは注力しているポイントを書きます。
①超短期間で一人前に育て、同時に仲間にするような教育をする
②仕事ぶりを見て褒め合う文化を作る
③元気に楽しく達成感をみんなで持てる施策を打つ
①と②はITツールを使って効率的にやっているお店もあります。こういう工夫を製造業のみなさんはされてるでしょうか。私はこういった工夫をしている製造業はあまり見たことないですね。メディアで少し見たことがある程度です。よく見るのは、用意された研修はサラッと少しだけで現場の裁量任せ、怒る文化、達成感まるでなし、といった現場で、そういう工場はたくさん見ました苦笑
もちろん業務内容や働く人のタイプは違います。100%見習う必要はないですが、役に立ち出来ることを探して見つけ、積極的に実行するぐらいのことをしないと、状況は変わらないのではないでしょうか。