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2024年度夏の青春18きっぷ旅行 3日目その2 奥行きのある食材たち(山代温泉 料理自慢の宿 ホテルききょう)

※先に記しておくと、今回の旅の3日目については青春18きっぷは登場しない。1日中、加賀温泉(山代温泉)でのんべんだらりと過ごす予定。


前回のあらすじ

朝風呂。朝食ブュッフェ。猛暑。北大路魯山人の寓居跡。加賀棒茶ときんぺいとう。図らずして山登り。廃墟。眺望。ネッコ。足湯。蕎麦屋定休日。昼食はオムライスとカツ丼の中間。九谷焼。展示館定休日。セレンディピティ敗北宣言。

ホテルにチェックイン

午前中に無理を言って荷物を預けた挙句「15時から16時頃にまた来ますね」とか抜かしたのに早々にネタ切れを起こして14時台に再訪をしたのが俺である。約束の時間までラウンジで待ってほしいと案内され、一安心する。定休日の九谷焼窯跡展示館の前で途方に暮れて暑さにやられて熱中症になるところだった。チェックインの時間までホテルの1階のラウンジで涼む。サービスされているチャージフリーのドリンクで心と喉が潤う。

鷲の彫刻。パッと見たときは山代温泉に縁の深い八咫烏の置物かと思ったけど、どう見ても脚が2本しかない
部屋に通されるまでラウンジで寛ぐ


純和風一般客室

文庫本を読んで待つこと少々、チェックインを済ませて部屋に案内をされる。2階の純和風の一般客室。部屋を見るなり俺が案内係の女性に発した言葉は「広い部屋ですね」だった。12畳くらい。

一般客室。旅館慣れしてないのでこの感じですら豪奢に見える。他のフロアにある半露天風呂付部屋とかプライベートサウナ付部屋とか料理人が目の前で料理を仕上げるダイニング付スイートルームとか、感極まっちゃうだろうな
別角度の写真

1人旅で過ごすには広すぎるが、普段はファミリー向けの客室で使われているのだろう。俺も幼い頃に親にこんな感じの旅館に連れて行ってもらったことがあるな。畳敷きで、4人家族にはぴったりな広さで、その部屋に料理を運んできてもらっていろいろ食べた記憶が蘇る。そこで初めてサザエを食べて「苦いな、こんなものわざわざ貝からほじくって食べるなんてどうかしているんじゃないか」とかいう余計な記憶まで思い出した。果たして俺もいつか親になったときに、俺がしてもらったようなことを子にできるだろうか。まあまずは恋人探しから心配しないといけないのだが。涙拭けよ。泣いてねえよバカ。
荷物を整理しながら懐古しているうちに将来の不安まで思考が巡り、日射しで疲れた身体に追い打ちをかけるように暗澹たる思いが心に影を落としそうになったので、アカンアカン卑屈になるのはアカンわよ、と広縁の椅子に身を投げ出す。気を紛らわすためにキリの良いところまで文庫本を読み進める。

「旅館の妙に落ち着くスペース」こと広縁
広縁でマターリしようや

んで、前回オマケで書いたコインランドリーを挟んで、夕食の時間を迎える。本当は先に風呂に入っておきたかったのだけど、服の乾燥に時間がかかりすぎた。仕方ないね。

和創食処『結び』

旅館3階の食事処『結び』の個室に通される。ここホテルききょうに泊まった最大の理由は食事だ。加賀野菜や橋立港直送の素材をふんだんに使用した料理が振る舞われる。前述の通りスイートルームでは料理人が宿泊客の目の前で料理を仕上げるし、何より宿のホームページには堂々と「料理自慢の宿」と書いてある。期待しないわけがない。席に座ると、目の前には「お献立」と書かれた紙に本日のメニューが記載されていた。

イカれたメンバーを紹介するぜ
食前杯・加賀産柚子蜜じゅ〜す
日本酒・鹿野酒造の常きげん
トップバッターは旬菜の皆さま

特に印象に残ったものをダイジェストで。
▼能登寒鰤へしこ炙り
…「へしこ」というのは、福井の日本海側を中心に伝わる郷土料理。魚を塩漬けし、米糠に漬け込んで1年以上にわたり熟成させた発酵食品だそうで、塩辛さが酒の肴にバツグンである。
▼加賀赤芋茎甘酢漬け
…シャキシャキした歯応えの奥から芋の風味がやってくる。芋の茎も芋の味がするんだな、と感動した。
▼枝豆包み揚げ
…繊細な食感は儚さすら感じる。それとともに枝豆の味が口の中で広がり、上品な印象だった。

温菜・海老たっぷりのロワイヤル以下略

▼お品書きにはいろいろ書いていたけど、要するに海老の茶碗蒸し。優しい風味。

割鮮の皆さま。マグロ、タイ、タコ、ウニ
醤油とゴマでいただく。ちなみに、醤油が日本の食卓に並び始める江戸時代中期以前、刺身には塩を合わせていたらしい
仲居さんに教えられるがままタコにゴマをつける。醤油をつけるのとはまた違う風味だ。家でもマネしてみようかな
マグロの脂の乗り方がすごい

▼橋立港から直送されているというだけあって鮮度も高く、刺身1つ1つの食べ応えがある。

進肴

▼お酒を強いる肴という意味で進肴(すすめざかな)と呼ばれているが、意外にもあっさりした味付け。なんとなく、「食器は料理の着物」って魯山人が言っていたっけなぁと思い出す。比較的大きめの器に色彩豊かな料理が乗る姿に侘び寂びを感じる。

台物、水物、以下略

ごめん、鍋が出てきたあたりから日本酒の勢いもあってあんまり覚えてない。牛肉が国産のもので濃厚な味わいだったことと、デザートで出てきたぶどうの一粒一粒が香り高かったのは覚えている。いやはや、満足。この1食で1ヶ月分くらいの贅沢をした気分だ。味音痴な俺でさえ食材の奥行きを感じて震えるような絶品料理だった。ごちそうさまです。

常きげんで上機嫌ってワケ(激寒)
あんまり関係ないけど、石川って意外と独特な地名多いよね

いしかわインテリアデザイン賞の大浴場

ひとっ風呂浴びようじゃないか

部屋に戻ると布団が用意されていたけど写真は撮っていないので割愛。だだっ広い和室に1人分の布団がポツンと敷かれている様はややシュールだった。
例によって広縁に座って、少し酔いを覚ましてから大浴場に向かう。第44回いしかわインテリアデザイン賞金沢市長賞に選ばれた大浴場が2つあり、時間帯によって男湯女湯が変わる。せっかくなのでどっちの時間帯でも入湯する。例によって入浴シーンは撮れないし需要もないので写真は公式サイトから引用する。

公式サイトより。良い湯でした
浴衣を着てはしゃぐ俺
そりでわ、無限に練りをしまつ。ぽやしみ〜


4日目に続く

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