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Smart-IP社 創業記 その4 ~MVVを作る(前編)~


どんな会社にするか。会社の中身を定義する

ボードメンバーは揃った。箱としての会社もある。
次に考えるべきは「Smart-IP社をどんな会社にするか」。つまり、会社の中身を定義する必要が出てきた。

これまでに何社か会社を経営してみて出来上がった持論だが、会社経営は創作活動に似ている。
一品制作的で、再現性がない。ロジックが大事な一方、ロジックだけでは仕上がらない(少なくとも「おもろい」会社にはならない)。しかも、個人の創作というよりはチームで完成させる作品だ。自分一人が思い描いたものには到底なりえず、しかし誰かが方向性を示さないと、誰も望まない方向に向かってしまったりもする、生き物的な側面もある。
方向性を示すために、会社の中身を定義する。これが経営者の行うべき最大の仕事だと僕は思っている。


経営者、CEOの仕事とは

前回の記事でも示した通り、Smart-IP社のボードメンバーは非常に優秀だ。みんな社長ができるレベルなので(実際に会社を経営している人もいる)、本来CEOがやるべきことも、他のCXOに権限委譲されている。CEOは特定の執行部(社内でいうところの「本部」)の管掌役員にはならず、各執行部はCEO以外の役員がすべて管掌している。CEOのみの専権事項はない。

では、CEOは何をするのか。
CEOの最大の仕事は、会社の経営方針、哲学、行動指針などを定義したうえで、どのような存在価値を持った企業になるのかという「企業文化」を作ることだと考えている。企業文化に社長の個性が重要な要素を占める会社もあれば、歴史的な経緯を重要視する会社もあるが、会社を定義するのは企業文化だ。

経営者の仕事は「ビジョンを示し、それに向かって動くための組織としてのDNAを作り上げる」ことだと思っている。どんなに経営者が「こういう会社にしたい!」と思っていても、その思いが会社で働くメンバーに浸透していかなければ、ただの机上の空論になる。実際そうなってしまっている会社は少なくないとも思う。
どんな企業文化を作っていこう。そして、どうやってそれらを会社に根付かせていくのが良いだろうか。
悩んだ末、”MVV”というフレームワークを使うことにした。


MVVを作る

MVVとは、
 M=Mission(社会に対してどうしたいか、使命)
 V=Vision(組織の理想像)
 V=Value(価値観基準)
の頭文字をとったもので、経営の神様といわれたピーター・ドラッカーが提唱したものだ。

この3つをそれぞれ定義し、社内に文章として残す。各メンバーは常にこのMVVに沿って自分たちの意思決定やふるまい、スキル、コミュニケーションなどが適切に行われているかを判断する。その過程で企業文化が醸成されていくだろうと考えた。
これをSmart-IP社の創業合宿でボードメンバーと議論しながら作った。とはいえ、ノリで作るのもよくないので、まずMVV自体の「作り方」を定義することから始めたのだった。
(つづく、、、かもしれない)

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