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アニメスタッフのセンスが光る、『義妹生活』アニメ化の工夫

こんにちは。ふんまつスープです。

突然ですが、皆さんは現在放送されている夏アニメ
『義妹生活』
をご存じでしょうか。

「恋愛生活小説」という独自ジャンルを掲げている作品で、
何気ない日常と共に変化する、義理の兄妹の関係性を描いた異色作です。

本作はライトノベルの原作をアニメ化したものになるのですが、
そのアニメ化の手法がこれまた独自性の強いものとなっており、

いい意味で非常に印象的な作品となっております。

というわけで今回は、『義妹生活』に見られるアニメ化の特徴とその魅力について、紹介したいと思います。


シーンの厳選によって実現した、ハイクオリティな長尺シーン

この作品、原作を読んだ後にアニメ版を視聴すると、
大幅に省略、もしくは丸々カットされたシーン
がかなり多いことに気付くと思います。

ラノベ原作のため、もちろんカットはあって当たり前なのですが、
『義妹生活』の場合、「あ、結構バッサリいったな」と感じるような省略の仕方が特に多いです。

例えば悠太と栞が話すシーンは、会話の量がごっそりと減らされていますし、最新の第八話では、とある重要キャラの初登場シーンが丸ごとスキップされており、個人的には衝撃的でした。

このように、アニメ化に際して描かれるシーンがかなり厳選されているのですが、

この作品の場合、大胆な取捨選択が良い方向に作用しています。

なぜなら、ストーリーの根幹である兄妹が一緒に過ごすシーンを、とても魅力的に描くことに成功しているからです。


というのも、原作のメイン二人は頭の中で色々考えてから発言するタイプなので、声に出すセリフがシンプルかつ、セリフの数そのものも少ないのです。

これは製作側にとって、アニメ化における最大のネックだったと思います。

もし何も考えずアニメ化したら、セリフ数の多い真綾・栞のインパクトが、
必要以上に強くなってしまう。

しかしこのアニメ版では、不自然に主人公たちを饒舌にするのではなく、
映像全体で、キャラの心理やシーン特有の雰囲気をゆっくり丁寧に表現することで、セリフが少ない問題を解決しています。

例えば

  • キャラの細かい動き

  • 環境音、音楽

  • 背景や会話シーンに映り込むもの

などなど。

このような説明不足・描写不足にならないギリギリを狙ったシーン厳選は、
『義妹生活』という作品の本質的な魅力を把握していないとできないものです。

製作チームの作品愛が感じられました。


原作ファンを楽しませる、アニオリ要素

本作では、原作を知っていても驚かされるような、アニメオリジナルのシーンが時々挿入されています。

原作ではあまりクローズアップされていなかった、映画『蒼い夜の隙間』の映像が挿入されていたり(しかもかなり長尺)、
沙季がローファイヒップホップを聴くシーンでは、夜の渋谷の様子がバックで映されていたり。

また原作の二人はあまり過去について話さないので、
回想シーンはほぼほぼオリジナルです。

この作品のアニオリシーンはどれも、文章ではできない手段で原作の雰囲気を表現していたり、原作では描き切れなかった部分を補完していたりと、

「アニメ版だからこそ描く意味がある」と納得できるものばかりなのが素晴らしい。

ただ単に原作をアニメに落とし込むだけでなく、
「アニメという媒体で『義妹生活』を表現するための最適解」
が模索されているのが、映像から伝わってきます。

繰り返しになるのですが、製作側の愛が感じられるんですよね…。
原作の一読者としては、本当に嬉しい限りです。


まとめ

アニメ版『義妹生活』は、ただ原作を忠実に映像化するのではなく、

アニメだと冗長になる要素をバッサリ切り捨てた上で、一つの独立した映像作品としてのクオリティが追求されていた、良いアニメ化だと思います。

原作で知っているシーンであっても新鮮な気持ちで見れたり、
悠太目線では見られなかった補完的なシーンに驚かせられたりと、

終始「そう来たか!」と思わせる場面が盛りだくさんで、
見ていて非常に味わい深いです。

アニメからこの作品に触れたという方は、ぜひ原作小説も読んでみて、違いを楽しんでみてほしいと思います。

またアニメ公式サイトの「Staff Diary」コーナーでは、アニメスタッフの皆さんの並々ならぬ努力について知ることができるので、ぜひ閲覧してほしいです。

というわけで、今回はここまで。

お読みいただきありがとうございました。

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