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作り手がかけた時間を壁一面の本棚へ

春に東京でTHE TOKYO ART BOOK FAIRに遊びにいった。私は本屋が大好きで、小さな本屋から大型書店まで幅広く見に行っている。でも、ART BOOKというものを知らなかった。”芸術関係の本”くらいの認識でいた。会場にはいって、ISBNコードがない本たちが展示台に「オレを見ろ!」とばかりに主張していた。「これは本なのか?」と考えてしまうような、カレンダーだったり写真がはりつけてあるだけ、または紙1枚の情報誌だったり。紙質もさまざまで、透けているものからラメ入りでキラキラしているものまで。形も大きさもテーマもそれぞれで、”芸術関係の本”ではなくて、それぞれが”芸術的な本”だった。

秋田に暮らしていると、大型書店しかないので、zineやART BOOKを見かけることはない。松本にそんなART BOOKの専門店があると聞いて足を向けてみた。

お店にはいって、すぐに大きなテーブルで届いたばかりのART BOOKを整理しているのが見えた。なにごとも「作りだす」場所には、大きなテーブルがある気がする。大型書店とこのお店の違いは「完成」しているか「途中」かだと思う。まだ完成していないART BOOKがここにきては、体裁をととのえ、表紙からだけではわからない中身を店主が確認して、2階の販売スペースにもっていく。

壁一面にタンスの引き出しが打ち付けてある。それぞれの引き出しに本がおいてある。どれも数冊しかない。大量に印刷できる本ではなく、小さなロットでしか製造できない本ばかりが丁寧に置いてある。1つ1つの本を大切に扱いたい、作り手の思いにより沿っているような本棚だった。作り手に向けた愛を感じる本棚だったし、このお店自体も一緒に作りたいと願っているようなお店だった。ともに手をかける時間を惜しみなく出しているようなところ。

栞日

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