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企業成長の鍵、ベア(7/11)

(要約)
1990年代、日経連元会長の日本郵船会長はベアを否定した。給与と景気は比例しないと断言した。それから30年、日本郵船は2024年平均給与を18%引き上げた。軒並み賃上げ企業が増え、プライム上場の1300社対象にした調査では3年前から10%以上給料が上がった企業は180社で、それらの売上は同期間で48%増えた。計測機器メーカーのHIKOKIは、22年給与を3年前比26%アップし、同期間の売上51%増、利益は2.4倍になった。それでもアメリカの課長クラスの平均給与3,600万に比べ半分以下の状況である。また平均年収850〜1,000万の給与アップは業績に比例するが、それ以上の給与体系の企業は必ずしも比例するとは言えなかった。東芝やシャープのようにM&A、設備巨額投資による業績低迷は枚挙にいとまがない。解はキーエンスにあり、給与の50%以上を占める賞与は4半期毎の支給で業績と連動する。従業員の業績意識に繋がり、成果のない人材の底上げも仕組み上手厚くなる。人への投資拡大こそ日本の成長につながる。

(考察)
単に給与を上げるだけでなく、上げ方と継続性を仕組み化する事が必要である。インフレ・円安・中東ロシア情勢は安易な問題ではなく、輸入価高騰や資源不足など様々な問題が発生する。一時の問題ではなく中長期で纏わりつく。そうした中、企業のベアは経営圧迫に直結する。しかも一度変更した価格を変える事は容易ではない。成熟期産業の価格下落同様、上げた給与を下げる事は理解を得るのにかなり難しい。給与をあげる前に、上げ方や継続性を固める必要がある。継続するには利益が必要であり、利益を生むにはシェアを取らなければならない。シェアを取るためには、市場性・認知度・価格設定・業界における優位度・ブランド力など、全てのスキームを見直す必要がある。大企業ほど給与は上げやすい。海外市場での売上も一定数あるから。ただ大企業ほど上げた影響も大きい。時代に合わせたベアではなく、適正なベアを図るべきだろう。

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